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釣り以外でアウトドアする為に一二三と先生と色々案を出したけどやっぱり夏時期もあってか結局場所は海になり俺達が釣りの他に海でやる事といったら何なんだと考えてしまう。考えてみれば麻天狼は、俺達の絆は深まってる筈なのに活動範囲がそんなに広くない。それでも何故か海にいきついて一泊二日で海の側の宿とって楽しもうって事になったのに何をするかあまり思い付かない。というより先生への気遣いや一二三の女性恐怖症の事もあってやる事が限られてくる。特に一二三はこの夏休みという海水浴客で密集するハードな時期によく海に行こうと自分から言い出せたなと思ってしまう。無理だけはして欲しくないけど。
海で着ていく俺のお洒落服があまりに無いからと服を選ぶ為一二三とアパレル店にいる。ハワイアン調の服や涼し気な服を見ながら一二三は俺の身体に服を当てがう。


「バーベキューなんてどうよ」
「バーベキュー?」
「そ。肉食って野菜食って海鮮食って、シンプルに素焼き料理」
「ああ、いいなバーベキューか。でも一二三、大丈夫なのか?」
「何が」
「何がって。…きっと女の子沢山いるぞ?」


一二三はさっきから店の中に女子が入って今は自分の方には来ないかずっと怯えたように道行く人で行き交う外を見ている。それにお見通しかと一二三は笑ってあてがってたシャツを戻して今度は半ズボンをあてがってくる。


「いざとなったらジャケット持ってくから」
「はあ…このうだるような暑い時期にジャケットか」
「持ってた方が独歩にも先生にも迷惑は掛けない」
「でもなぁ…。一度先生に相談しよう」


服を戻して一二三は頷く。でもバーベキューか。良い線はいってるんだよな。この路線でいくと後はバーベキューの場所をよく考えればもしかしたら上手くいくのかもしれない。そんな事を考えていたら飴村くんが店の横を通り掛かるのを見かける。一二三も気付いたようでそのまま行っちゃうのかなと思っていたら戻ってきてここまでやって来た。一二三が困ったような顔をする。


「なになに?夏服選び?」
「そーだよ。…俺等で選ぶからお呼びでねーのね」
「海に行くとか?じゃあ海コーデだね!」
「はっ!?何で分かったんだ」


独歩、と一二三が思わず反応してしまった俺の口を手で塞ごうとする。カマをかけてきた飴村くんはニンマリ笑って俺の服を選び出す。彼は手慣れた様子で選ぶと彼がコーデした一式を鏡の前であてがってくる。一二三よりカラフルでとにかく派手だった。


「おい、ピンクいの。独歩の服は俺が見立てるからいーんだよ」
「ごめんごめん。職業病ってやつだよ」


職業病か。分かる気がするけど。飴村くんは一二三の視線にあまり良くない空気を察して入ったばかりの店から出て行こうとする。でも歩み出して足先を止めてクルリと振り返る。


「何だよ。まだ何かあんのか」
「あいつに伝言いいかな」
「あいつって誰」
「寂雷。この前家に来た時にネクタイピンそのままだったから取りに来いって」


開いた口が塞がらずに数秒フリーズ。でも直ぐに我に戻ると一二三は「自分で言えよ」と伝える。飴村くんは苦笑いして、そうだよねと飴をくわえ直して今度こそ出て行く。俺は小さな背中が去って行くのを追い見ながらネクタイと言いかけると一二三は口止めする。


「言うなよ。それ以上」
「そ、うだな」


二人の関係は何となく俺等が思ってるより複雑で深いものだと知っている。一二三は飴村くんがコーデした服を持ち上げて上から下眺める。そしてどこか悔しそうに自らの口元を結ぶ。


「ぐぬぬ。派手だけどセンスはあんだよなぁ。さすがファッションデザイナー」
「選んでくれるんだろ?」
「もち。任せんしゃい。あのチビちゃんより独歩にぴったりの決めちゃるから」


変な所で自信をつけてる一二三に笑ってしまう。それに「張り合うなよ」と言い返してやると一二三も自分の事なのに愉快そうに笑って、ちゃんと飴村くんと自分とは次元が違うしセンスも人それぞれだと理解してるのか「でも参考になんだよな」と言い、勉強にはなってるようだった。



(25.05.22)



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