hpmi
仕事柄、男だが付き合ってる凛とはあまり会う時間を作れなかった。SNSメールでやり取りする度に生きてる?等と生存確認されてしまう程で。俺は凛とここの所ずっと会ってはいなくて心配かけたり寂しがらせてしまっているのは自覚しているしここらで機嫌を取っておかないといけないような気がして休日を何とか見つけて会うか?と聞く。そうすれば凛は即答してきて「じゃあ俺の別荘に行こ?」と提案された。携帯の画面を見ながら仕事帰りに買って呑んでいたビールと摘みのチーズに手を伸ばす。
凛の家はとにかく裕福な家だった。別荘を何件か持ってるくらいは金に恵まれていた。一件幸せそうに見えるが持ってないものが二つある。友人と健康的な心だ。凛は精神病を患っていてたまに波のある心情というか別人のように的外れな発言をする事がある。正気な時にそれはわざとか?と聞いてみたが確かに言ったけど冗談に思えない愚痴を言う時は頭の中が色々とグチャグチャで纏まってなくてあまり何を言ったか覚えてないと言うのだ。最初この症状を見た時は薬をやってるのかと疑ったが処方薬と発症時期の話をちゃんと見て聞いて納得している。精神病というのも難しく思うようにいかないものだ。
凛の別荘に着くと別荘を管理している管理人には二日休みを与えて二人だけで広い新築のような家の中に入る。来る時に買ってきた何時もより値が高めのチーズの袋を机の上に置くと外から海が見えるのか波の音がここまで聞こえてくる。
「シャワー浴びてもいい?」
「ああ。お前の家なんだから好きにしろよ」
凛は笑って鞄の中から持ってきたアメニティを出しているがここに用意されていた物の方が良い物だったのか鞄に戻して結局使わないようだった。バスローブも用意して洗面所の扉を閉めるとシャワーの湯を出す水音が向こう側から聞こえてくる。
ベランダの外へと出て景色を眺める。中々別荘というくらいだから見晴らしが良い。遠くの砂浜ではカップルや海水浴を楽しんでいる親子も見える。手摺に寄り掛かって暫くその様子を眺めていたが何かがベランダにある事に気付く。
「(ハンモック?)」
ハンモックを見たのは随分久し振りだった。上から括られているロープを引いてしっかりとしたものかを確認する。ここで寝そべって海を眺めたら心地良い事だろう。
「銃兎さん」
「…何だ。もう出たのか」
凛の声がして振り返ればバスローブを用意していたが着なかったらしくいつの間にさっきとは違う普段着に着替えていた。凛は俺の横を抜けるとハンモックに上手く寝そべる。これはハンモックの常習犯だなとハンモックの布に包まれている凛をクルと回してやる。凛は楽しそうにはしゃぐ。子供だな相変わらず。
「あ、そだ。良いもの見せてあげるよ。来て」
「良いもの?」
凛はハンモックから起き上がり下りると何処かに俺を誘っているのか先導して前を歩き出す。ついて行くと別荘の地下のようで階段を降りて少し薄暗い廊下を歩く。とある部屋の前まで辿り着くと中に入る。ワイナリーのようだった。
「…成る程。だから管理人が何人もいたのか」
「何がオススメか聞いておくんだったなぁ。これじゃあどれが呑み頃か分かんないね」
ワインのボトルを一つ手にしてラベルを眺めてる凛。ワイナリーを歩み一番奥の埃を被ったワインボトルを一本手に取る。おい、これかなり質の良い高級ワインだぞ。これらやここのワイナリーを凛に丸々やっていいのか。なんて驚愕していると凛は俺に手にある赤ワインを取り上げる。
「ディナーに呑みたい所だけど、この近くに銃兎さん連れて行きたい店あるから…後でね」
凛は笑みを浮かべて自分の白ワインのボトルと俺の選んだ赤ワインのボトルを両手に持ってワイナリーから出て行く。凛の行きたい店というときっとイタリアンのパスタ店辺りだなと推測して二人で外出の支度をし始めた。
(25.05.19)
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