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混み混みしてるイケブクロの街中を二人歩き抜けて一郎がよく行くという電化製品店へと入る。中も外の人の混み具合と同じように商品が間なく敷き詰められて置かれていて面白い店だなぁと眺めていると、一郎が二階へ寄りたいと言い出す。階段を上って上へと行くとそこは下の大きな電化製品とは違って細々としたものが売られていた。アニメのゲーム売り場でゲームのソフトを見ている一郎から離れてイヤホンコーナーへと向かう。そこには一郎が普段つけてるメーカーのヘッドフォンとか売られててイヤホンは見てもヘッドフォンが売られてるの見たのいつ頃だったかなと思いながら外でも走ったりしながら手軽に活用出来るイヤホンなんてのを見つける。手にとってよく見ようとすると一郎が私の名を呼ぶ。慌てて棚に戻してソフトは結局買わずに下の階へ降りて行った。
外でまた人の密集する道を歩き出して一郎が不意に「何か欲しい物ある?」と聞いてくる。私は小さく笑う。


「一郎が欲しい物が欲しいかな」
「な、何スか。そのジャイアニズム」
「ちょっと!」
「冗談スよ。あ、ここの店入っていいか?ゲームセンターなんだ」


いいよと答えて中へと入る。イケブクロに結構立ち寄るのに一郎のブクロ知識にはさすがに敵わない。分かってはいるけど一郎は私といて楽しいのかな。一郎が私の為に景品取ってくれてるUFOキャッチャーでアームに紐がくっついた猫の人形を見て思う。一郎は何でも出来ていいな。私ってこんな凄い彼とつり合うのかな。不安になっては自己嫌悪に陥ってしまう。猫の人形が取り出し口に落ちる。此方に振り返る一郎に笑顔を向けて「ありがとう」と人形を受け取った。


***


一郎とデートした日から数日後。午前中にバイトを済ませて今日一日の失敗ばかりだった事を思い返しては反省する。机に突っ伏して夕陽に染まっていく茜空の紅の光の筋に自分が買ったラッピングされた小箱が照らし出される。今日は一郎の誕生日だ。迷いに迷ってこのイヤホンを買ってしまったけど買って直ぐにこれで良かったのかなと考えてしまう。


「(絶対アニメの物、欲しがるのよね)」


椅子を顔をくっつけてプレゼントを指先で控えめにつつく。アニメは殆ど分からないし今になって思えば録画ちゃんとしてもっとよく勉強して見ておくべきだったなと後悔している。でもきっと見ても上手く話題を作れないって思うからその気にならなかったんだろう。うとうととうたた寝をして数十分。日が暮れるのはあっという間で携帯の着信音で目が冴える。


「え?一郎?!」


今から行くからって書いてあるけど。え、ダメダメ。来られても今は部屋の中片付けて無いし今日は忙しいって言ってたじゃん!そう思っても嬉しいのは確かで髪を一つに結わってセットしようとするとチャイムが鳴る。髪は諦めて急いで扉を開けると一郎がいた。


「いきなり押し掛けて…ごめんな」
「いいの。中入って」


一郎を中に通すと早速目に留まったのか机の上のプレゼントを見て一郎は静止する。慌てて一郎に説明し出す。


「これ、一郎にプレゼント。今日は忙しいって聞いてたから」
「………」
「ご、ごめん。欲しいものじゃないよね。今なら返品出来るから」
「ありがとう」


言葉が上手く出なくてでも何とか伝えようとすれば一郎は私が言い終わる前に私を抱き寄せる。窓から差し込む夕陽の光が細くなっていくこの時に私達は抱き合ったままでいて。こんな私に何時も有難うって伝えたいのは此方なのにと心の中で不器用に思いながら彼の背中にそっと触れた。



(25.05.11)




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