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乱数から呼び出しがあって幻太郎と二人でその指定された場所のハチ公前に行けば、乱数の友人のおネーサン達が屯ってて俺と幻太郎と目が合うと「あ!来た来た」とはしゃぎ出す。そこには乱数はいなくて何か仕組まれたかと構えていると、女の一人がはい、と何かを手渡してくる。星型のキーホルダーだった。
「あ?何だこれ」
「乱数ちゃんからここに二人が来たら渡すようにって言われてたんだ。だから持ってて」
「ちなみにねあと2箇所二人には行って貰わないと行けない所があるみたいだから次のポイント地点の場所を教えるねー」
そう言って女は俺達に次のポイント地点の場所とやらを教えてくれる。聞けばシブヤを詳しく知らないと分からなさそうな場所で取り敢えず俺等はそこが一応分かるから行く事にした。キーホルダーを上着のポケットの中に入れて一つか二つ疑問が浮かぶ。乱数は最終的に現れるのかという事と何故こんな手の込んだ遊びをいきなり始めたのかという事だ。よく分からなくて歩き出そうとすると女の一人が俺を呼び止める。
「帝統くん、おた」
「ダメ!乱数ちゃんが先に言うなって言ってたじゃん!」
「あ、うん。じゃあバイバイ二人共」
おネーサンらは何か小声で話して手を振っていなくなる。俺と幻太郎は早速2ポイント地点へと入り組んだ細道を抜けて到着するとそこにはまた乱数のおネーサンが数人。俺等を見つけると手を挙げて「こっちこっち!」と分かるように教えてくれる。
「思ってたより遅かったなぁ。まあいっかぁ」
「制限時間とかあんのか?」
「無いけどー。乱数ちゃんが次の次くらいの場所で待ってるから待たせちゃ悪いんじゃないかと思って」
どうやら乱数は上手く指示通りにいけば会えるらしくてこの女達は皆で協力してのシブヤを使ったイベントらしい。俺は女達から近くにある屋台の今川焼きを買ってねと言われる。意味が分からないが金が無いので幻太郎にヘルプを出せば幻太郎は仕方ないですねぇとか言って今川焼きを一個買ってくれる。その丸型の生地の中央に星の判子が押してある。それと店の幟旗の字を見て今日は七夕なんだと思い出す。
「これ食べていーのか?」
「いいよ。でも店のロゴのプリントされた包装紙は取っておいてね」
「次はどこだ」
女達から次の3ポイント地点を聞き出す。早くしないと乱数がいなくなってしまう。さっきより早足で急いで向かうとそこにもイベント参加中の女が二人。俺に星型のシールの貼られた手紙一通を渡すとその中身を開けて読む。
『よくここまで来てくれたね!褒めてつかわそう、そこで待機せよ』
と短文で書かれている。全然何が意図でやってんのか分からなくてさっき思い出した七夕に意味があんのかとも思ったが前の年は七夕について少しも触れなかった。今年は何か違うのかと手紙を手に辺りを見渡しているとトントンと背中を突かれる。振り向けば乱数がいた。真っ黄色の絵の具を零したような星をイメージしたデザインのパーカーを着て。
「やあやあ!帝統、会えて嬉しーよハッピーバースデー!」
「あ、マジか」
「帝統くんをずっと隣で見てきましたが本当に鈍いですねぇ」
「あ?!幻太郎お前グルかよ!」
「何ですかその言い方は」
和服の袖で口元を隠して笑いを堪えている幻太郎。幻太郎に反論しようとすれば乱数が抱きついてくる。それは素直にめっちゃ嬉しくて抱きしめ返そうとしたら幻太郎が乱数を俺から引っぺ剥がす。そんで乱数を横取りするように抱き包むと二人は抱き合ったまま俺を見てくる。おい何だ。俺はわざわざイベントを熟してここまで来たってのに乱数と会うなりこんなオチかよ。
耐えきれず二人の間に割り込むべく飛び掛かろうとし、幻太郎がさっきの今川焼きの包装紙を俺の顔前に見せてくる。そして微妙に笑みを浮かべる。
「さっき買ってあげた借りがあるでしょう」
「ぎにゃあー!仕組まれたー!」
「げんたろ…今日、帝統のお誕生日だから許してあげてね?」
「いいえ。譲れません」
「くっそぉお!大人気ねーぞ!」
何の為にここまで馬鹿みたいに何も分からないでついて来たと思ってんだ。それも乱数見たさ会いたさの為なんだぞと言いたい感情を抑えて俺は二人がイチャつくのを悔しそうに見つめていた。
不意に1ポイント地点目で貰った星型のキーホルダーを思い出して取り出す。中はロケットになっていてシブヤで撮った三人の写真が入っていた。それを見て燃え上がった嫉妬が一時静まったが二人が目の前で頬にキスし出すものだからまた二人の妨害に走ってしまうのだった。
(24.07.11)
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