hpmi
昼頃に寂雷先生とシンジュク中央病院で会う約束をしていて一二三と待ち合わせ時間に行くと先生から着いた直後にちょっと遅れますとメールが届く。先生が来るまで院内のカフェで一二三と待つ事に決めてカフェで珈琲を二つ頼み人の少ないテラス席へと移動する。席に着いて一二三は手に持ってた紙袋から何かを取り出しそれが一二三が今朝作ってたサンドイッチだと分かると俺の腹の音がタイミング良くなのか鳴る。一二三は作ってきたのはシンプルなやつだから腹持ち良くないかもとか言って笑い、俺にチーズとレタスの本当にシンプルなサンドイッチを差し出してくる。
「ん…旨。何だこの味付け」
「普通のチーズレタスサンドじゃないかもな。秘伝のタレが入ってんだよ」
分量と何が入ってるのかが分かればこれは誰でも作れるやつとヒントをくれるがやっぱり料理に疎い俺じゃさっぱり分からなくて無言のまま今は腹を満たす。サンドイッチも食べ終える所で先生がやって来る。手に珈琲を持っていてそれをテーブルに置いて俺等の座ってる席の空いてる席に腰掛ける。
「すみません、遅れてしまって」
「いいんですよ。お仕事お疲れ様です」
「これはサンドイッチですか」
「あ、良かったら食べちゃって下さい。残ってんの明太チーズなんですけど」
先生もサンドイッチに手を付けて食べれば味付けに気付いたらしく味の中身を聞いているが秘密と言って一二三は口元に指を添えて上品に笑む。会ってすぐに腹拵えになった時間を淡々と過ごしていると、通りがかった母親に押してもらってる車椅子に乗った男の子が「わあ麻天狼だ!」と声を上げる。俺は普通にびっくりして男の子を見ると母親は慌てて大きな声出さないのと男の子を叱る。でも先生はそんな事で怒らないし男の子に笑顔を向ける。
「こんにちは」
「寂雷先生!オレ、先生達の絵を描いたよ!」
男の子の膝の上にあったスケブが開かれて全面見せてくると色鉛筆で描かれた寂雷先生が。絵は上手いとはあまり言えないが見せてくるものが殆ど先生でその中に時折俺達も入っている。先生は屈んで見ていた身体を起こして男の子と目を合わせる。
「よく描けているね」
「一二三と独歩もいるよ」
一二三が口元を押さえて笑いを堪えている。笑う所じゃないだろ。先生は頁を捲りながらマイクを持って戦ってる姿をラフで描かれた頁に手を止めて驚いている。マイクの細部とかは合ってないんだけど一度も見たことない男の子の空想の世界のようなものできっと戦ってる所をイメージして描いたんだろう。先生はスケブを男の子に返す。
「オレ、麻天狼が優勝するように応援してるよ!」
男の子は目を輝かせて言うと母親は周りが注目してるのに耐えきれなくなったのかすみませんと会釈して車椅子を押していなくなる。手を振って去って行く姿を見ながら先生は席に戻る。
「すけぇ麻天狼推しだったなー」
「これは次、勝たないとですね」
「じゃあこれから俺っち達の家で作戦会議はどぉッスか?」
「そうだね。そうしようか」
「あ。家の中は心配しないで下さい。独歩の部屋も入っちゃって大丈夫」
おい、大丈夫って何だよ。と言い返してみると先生なんだからいいだろと笑う一二三。
「ちょっとだけ色っぽい女性の本も俺が隠したんで」
「!勝手に部屋ん中の物隠すなよ…って隠すべきか」
「そんでもって売りに」
「出したのかよ!何してんだ!」
やっぱ未練あんじゃんあの本に!と一二三は口を尖らせて言って睨んでくる。俺もジト目で睨み返すと夫婦喧嘩みたいな俺等の言い合いに先生が笑う。近くの桜の木が風で舞って花弁が花吹雪になると桜をバックに微笑む先生に一二三も俺も見惚れてしまう。
「桜と合わせて神々しさ増々だな」
一二三の言葉に同意しかない。後方を向き髪を押さえて桜の木を見上げて振り返る先生を見てその所作の一つ一つや存在が美しくて暫く静かな空間でその姿を見ていれば先生は「良いチームメイトを持ちました」と言うものだからそれに此方こそと小さく心の中で呟いた。
(25.04.18)
実際の公式様、原作者様、団体、会社、人物、事件、商物、場所、政治、組織等とは一切関係御座いません。政治組織の持ち出し、悪用、改変、閲覧はお止め下さい。