hpmi
クラスの女子や他のクラスや学年からの女子が俺にやたらと構うのは俺が山田一郎の弟だからという理由なのかもしれないけど最近ではBBとして活躍してるし認知度も増えているからそれもあるのかもとは思っていた。でも一人の男子生徒から「二郎だから皆寄って来るんだよ」と言ってくれて今では有頂天にならない程度には抑えて学園ライフを楽しめていた。けど俺に言葉を掛けてくれた子、如月が俺が人気者になるにつれて段々と遠のくような心地があって。ギクシャクした関係や環境もあってか学校で言葉を交わす事は殆ど無い。
「(何で…)」
窓際の後ろの隅の席に座る如月を見て思う。俺はこうなっちゃったのはもしかして俺が原因なのかなって。俺が注目されてるのがいけないのかなって。でも分かってるんだ。互いに惹かれ合ってるのならそんなしがらみだって他人だって気にする事なんて無いって。それを如月にも分かって欲しかった。
授業が終わって日直である如月が担任に資料を片付けておいてくれないかと頼まれて資料室に向かう後を追い掛ける。室内に入り棚に一冊一冊しまってる姿を見つけてその後方に近付く。振り返ろうとした如月に上の棚にしまいかけてるる本の上から手を添えて代わりにしまう。今度こそ振り返って目を合わせる。
「じろ…?」
久方振りに声が聞けて名前を呼び掛けられるような感覚に俺は耐えられず如月を後ろからハグする。如月は慌てて俺の腕の中で身動ぐけど人がいないのに気付いてそこまで抵抗する事はやめて大人しくなる。如月の行動一つ一つが互いに放置してせき止めてた感情を爆発させるように「あー限界!」と叫ぶと如月はやっぱり慌てて口を手で塞ぐ。俺と向き合う形に体勢を変える。
「人気者の二郎さーん?」
「うん」
「何で自信満々に言っちゃうかな」
如月が俺の鼻を軽く摘んでくる。それにぬがと声を出して息が出来なくなりそうになって手を退かす。
「あー分かったって!あんまり弁当とか貰わないようにすっから」
「それとこれとは話が別」
「それで拗ねてるくせに」
うぐぐと悔しそうにしてる如月。でも俺と張り合おうとはそういう無駄な勝負心とかが無いのは分かっているから如月とはこれからも上手くいくような気がしてる。俺は如月をハグしたまま身体を左右に少し揺すって強請ってみる。
「次の休みの日、サッカー観戦に行かないか?」
「いいけど…水族館はどうしたんだ?」
「それも行く。如月とならどこだって全部行きたい!」
ハッと声にして気付いて咄嗟の声の大きさを抑えれば如月は楽しげに嬉しげに笑う。俺は如月の蜂蜜色の前髪を指で梳いてでこを少し出す。
「どうしても人前ではこんな感じでいられないね」
「何でだろうな」
「恥ずかしい?」
「…というか変化を恐れてる。ほら、男同士だし…それに如月に何かあったらヤダしさ」
思ってた事を口にする。自身の変化を恐れてるのもあるけど如月を守る為でもあるって、分かっちゃったから。だから俺らは隠し通すんだろうをそれを如月にも分かって欲しい半分、全てのしがらみをぶっ壊して二人で抜け出したい感情もある。それもままならないのが俺達なんだ。
如月は俺の想いを知って顔を手で覆うと溜息をつく。…嫌になっちゃったかな。
「やっぱりこう言われると、困るよな」
「違うよ。…ホント、二郎ってば優しいなって」
如月に潤んだ瞳は俺が優しくてなのもあるけど二人には大きい障害があるって事に再認識した事への哀しみや不安もあったんだと思う。俺だってそうだ。
でも今は笑い合っていたくてその小さな温もりを感じていたくて、俺は如月を抱きしめて如月も抱きしめ返してくれた。
(25.04.11)
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