hpmi
シブヤの色んな店を手伝う仕事をぼちぼち始めてから手伝った店に色々と貢献してるような気さえする嬉しさでどんどんやってみる事にして僕の知人の泰雅の和菓子屋を今度は手伝う事になった。その店が今まで手伝ってきた店と比べると結構お堅い様で老舗というのがしっくりきた。泰雅が事前に店主の父親に話をつけようとしたのだけどそれが中々了承が貰えなくて今回は諦めようかという話になって引き下がろうとしたら予定してた日の一日前に来てもいいと知らせがきた。帝統と幻太郎を連れて急いで向かう。
店に来て思った事は店の従業員の売り子の服が和服で第一印象で可愛い所。泰雅も僕に着て貰いたかったらしくその服を着て一通りの接客や仕事内容を聞いて僕と泰雅は売り子、幻太郎と帝統は菓子作りに励む事になった。そうして開店時刻を回ると外で僕達がいるのを聞きつけて来てくれたオネーさん達がカッコいいとかカワイイとか優しい声を掛けてくれる。お菓子も順調に売れて午前中の客波が一旦落ち着く。隣で頬杖をついて僕をニヤニヤと見ている泰雅と目が合うと泰雅は僕を見つめながら呼んで良かったと言って似合ってるとも話す。僕はその場でくるりと回ってみせる。可愛いけどきっちりめの可愛いさなんだよな。僕が何時も作るデザインタイプもジャンルも違うし柄も勿論和柄だし。
泰雅は一昔前のレジを確認して「俺がさ」と話し出す。
「いないとこの店、客足増えねぇんだよな」
「何時もは少ないの?」
「なんつーか、菓子は悪くねぇのに客を呼ぶ力が親父にはねぇっつーか」
レジの引き出しを閉めて溜息をつく泰雅。確かに泰雅のお父さん厳しそうだし人付き合い良い方だとは言えないんだよなぁ。僕の言いたい事が分かったのか泰雅は小さく笑んで奥の真剣に二人に菓子作りを教えてる気難しそうなお父さんの方を見る。
「やっぱ日々笑顔で接してねぇと、この人の作るもんは食べたくないとか言われちまうからな」
次にかけてあげられる言葉が思い付かなくて黙ってしまう。泰雅は僕の肩に触れると軽く撫でる。そして背中に落ちていく手。その手を誰かが掴んだのか「わ、びっくりした」と言って泰雅は振り返る。幻太郎がいて僕に触れようとしていた泰雅に怒ってるようだった。…これでも僕と幻太郎はこっそりとお付き合いしてる。それをこの一瞬の行動でバレてしまって幻太郎はバレるのも構わず泰雅を睨み上げている。それに泰雅もやり返すのか何なのか笑みを浮かべる。
「何時もは夢野くんの和装姿しか見てないからテンション上がっちまって」
「…小生の服装を馬鹿にしているのですか」
「別に」
「おい、それ以上はやめとけよ。幻太郎に服の事悪く言うのはマジで性格捻くれてんぜ?」
品出しをしている帝統が間に入って注意する。泰雅の顔色を伺い見る。泰雅は分かってそうで分かってなさそうな表情をしていて、でもそれ以上は幻太郎に服に対しての悪い言い方はご法度と理解したのか怒んなってと投げやり気味に言う。けど幻太郎の掴む手の力は緩まない。泰雅は苦笑いする。
「あの、いつまで掴んでらっしゃる?」
「貴方が小生とチェンジするまでですよ」
「チェンジ、ねぇ」
本気で喧嘩になりそうな気配がしたのかお父さんも此方に近付いて来る。すると幻太郎が泰雅の手を離して僕を抱き寄せる。それに素直にドキドキしてしまって幻太郎の腕の中で見上げると幻太郎は僕を見てなくて泰雅を睨み付けるのを続けてる。でも抱きしめられてるってだけで心拍音が聞こえそうな伝わりそうな程で恥ずかしがってる僕に追い打ちをかけるように客が入ってきてしまう。何故か彼女らから嬉々とした声が上がり益々バレる事になりそうと思ったら幻太郎は笑顔で頭を柔く撫でる。
「お客さんがいなくなるまでこうしてましょうか」
それは何処か幻太郎の泰雅への仕返しを兼ねても含めてそうで今は苦笑いしか返せなかった。けど久し振りに抱きしめられて嬉しかったのは確かだ。騒々しい店内を見てか泰雅の父親は呆れた様子で「最近の若いもんは」と呟いていた。
(25.03.10)
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