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机の上には大量の食べ物が散乱している。ちょっと前に流行り出したウーバーイーツとか言うシステム。注文した調理品を家に届けてくれるというお手軽な一言で言えば配達飯。今日は帝統くんの誕生日だからパッと何か頼んで祝いましょうかと言ってしまったのが引き金になったのか目を輝かせてあれもこれもと乱数と一緒に選んで注文し出した。それが今続々と届いて机の上に集結している。よくもまあこんなに色々と頼んだものだと品を見下ろしていれば乱数は気遣ってかこれは僕が出すからねとか私のお金の重荷を微妙に軽減してくれる。


「なあなあ!今ゴジラ映画やってるぜ」
「えー観る観る!」


ピザや寿司等を頬張りながら勝手にテレビをつけてチャンネルを変えロードショーのゴジラ映画にしてしまう。丁度主役のゴジラが画面一杯に出てきて乱数と帝統は食い入るように眺めていて背中を光らせパワーを放出している姿や口から光線を吐く姿を見て「すっげぇ!」と帝統は楽しげにはしゃぎ出す。


「かっけぇなぁゴジラ!」
「かっくぃーね!あ、このゴジラって良い方のゴジラかな?」
「ん?ゴジラって悪いやつじゃねーのか?」
「今は良い方のゴジラもいるんだよ。キングギドラが最大の災獣になっててそれを倒してくれるから良いってこと」
「すげぇ!でもキングギドラって何だ?」


帝統は映画に興味を示すくせに疎いらしく乱数に色々な情報を聞いてはうんうんと頷いて知識を得ていく。乱数も律儀に教えていて何だか何時もより優しげに見える。帝統の誕生日だからか。でも私にとっては今この机上のほぼ私の金で買った物を食べ散らかした怪獣の方が堪えている。この二人がゴジラに見えてきてしまう。


「あ、なんかすげぇのもう一匹出てきた」
「これはモスラ。可愛い蛾だよ」
「蛾ぁ?」
「蝶々じゃないんですか?」
「え、どうだろ。ごめんごめん、間違った情報だったかも」
「おお、そか。それはそれとしてコイツは悪か?」
「モスラは良い子だよ。ゴジラと仲が良い」


その情報は合っているのだろうか。ゴジラとモスラは何かしら関係はしているのだろうがパッと見てこの二匹に友好性があるとは思えない。というよりモスラは怪獣の一種なので良い方とは言えない気がする。
すると最後のピザの欠片を食べ終えた帝統がカツ丼を食べ終えた乱数の傍に寄るとひょいと抱っこする。乱数はいきなり抱き上げられたのに少し驚いている。


「俺の最終形態ウーバーイーツを食らうかな」
「ゴジラだぞー!」
「俺がな」
「え。じゃあボクはモスラ?」


何度も乱数の頬にキスをしまくってイチャついている二人がよく分からなくなってくる。私にしてはゴジラとモスラが良い怪獣なのだとしたらこの二人はキングギドラ級なのだが。どうだろう。考え過ぎか。
私の寝室に入って行こうとする二人に私は「待ちなさい」と呼び止める。振り向く二人。


「後片付けをする余力を残しておきなさい」
「おう。幻太郎、俺のポテト食っていーぞ」
「小生はお蕎麦だけで結構」


乱数を抱いてて両手を使用している帝統に近付きその口に残りのフライドポテトを詰め込んでやる。もごもごとあっという間に噛んで飲み込む姿を前に乱数は帝統の口元にキスする。


「帝統、お誕生日おめでとう」
「あーそれは二人でイった後に言わせるつもりだったのになぁ」
「えっちだ」


軽く年齢制限のある惚気を言ってのける帝統に乱数は嬉しげに胸に顔をうずめている。私は自分も控えめに「おめでとうございます」と小さく言うと帝統は花束を貰った様な幸せそうな表情をしてよっしゃと気合を入れる。


「今夜は寝かせないぜー」
「それはボクのセリフ!」


幸せそうに笑う二人に、私は立ち入れない雰囲気を察してこれ以上呼び止める事無く部屋に入って行く二人を見つめる。
画面のゴジラはキングギドラを倒して王として君臨していた。




(24.07.08)


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