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簓は決まった気に入ってるお好み焼き屋にしか行かない、と思っていたが最近出来たチェーン店のお好み焼き屋に行こうと言い出した時は意外で驚いてしまう。あいつの事だから老舗のお好み焼きにうるさいと勝手に考えていたのも崩れ何でも地元のチェーン店でお好み焼きなら良いという理由らしかった。なら行くかという話になってすんなり受け入れた此奴と二人で行ってみると開店したばかりだからか客が思ってたより多く簓は俺よりも感心していた。入店して席に着くとテーブルに設置されてるオーダー機で注文を済ませる。スタンダードのお好み焼きセットにトッピングを色々。そんで飲み物は俺は烏龍茶、簓はメロンクリームソーダにした。簓と落ち着いて会話を交わすよりも先に注文品の飲み物が先に出てくる。それに子供みたいに嬉しそうにしてる簓はウェイトレスにおおきに、と礼を言うとグラスの中の鮮やかな緑とアイスフロートをストローで楽しそうにかき混ぜる。お好み焼きセットもまもなくと運ばれてくる。率先して俺がお好み焼きを作る事になり手を動かしてればソーダを飲みながら他席をぐるりと見渡している簓が頬杖をつきながら呟く。
「今日はえらい混んどるなぁ」
「…ぎょーさん人が来ればなんぼやろ」
「まあなぁ。そーいや前に山田一郎と例のブラックタコ焼き作ったんやろ?」
「四十物もおったで」
そうやったなと四十物が此奴の中でさり気なく会話の中に忘れられているのに少し呆れてしまう。まあそこはあまり触れないでおいてブラックタコ焼きを本当に作ったのかと二度聞きしてくる簓に軽く相槌を打って良い頃合いでこんがり色がついてきた生地をひっくり返す。
「作った。驚かれて…まあ正常な反応やと思うたな」
「俺にもタコ焼き作ってな今度」
「今作っとるやろ」
「お好み焼きは別やー。盧笙の作るもんは何食うても旨い」
「冗談もネタだけにしとけ」
表面が出来れば裏面は表面よりじっくり焼かずともだ。後は生焼けには絶対ならないように注意して作ればとヘラで生地の層を確認して中のトッピングやキャベツがしんなりしてきた時を狙って良いタイミングで簓の手元の鉄板スペースに簓の分のお好み焼きを分けて寄せる。そこで話すのと作ってるのに集中してて気付かなかったが簓が隣の席の子供をジッと見つめている。凝視し合う二人に簓は表情を崩さず見つめ合うのを止めない。
「アカン、めっちゃ見とる」
子供用の椅子に座って簓をジィと眺める真ん丸の黒い眼。その睨めっこのような見つめ合いを続ける空間に耐え切れず俺は口を抑えて笑うてしまう。簓はやっと子供から視線を外すと少し困ったように眉を下げる。
「何や笑うとこ、ここなんかい」
「笑うつもりは、なかったんや、けど」
「めっちゃ笑とるやん」
なぁオニーちゃん笑とるよなぁ?と子供にまだ言葉と意味は分からないとは思うのに話し掛けてる簓。それに子供はどんぐり眼をもっと興味あり気に開き向けてきて簓は今日が俺の誕生日だからか誕生日の歌を口ずさみ出す。この歌は分かるのか子供がここで反応する。
「ハッピーバースデートゥユー、ハッピーバースデーディあ!」
確実にハッピーバースデーの後に俺の名前デカい声で話されると思って言われる前にツッコミを入れておく。そしたら歌を中断させられた簓が頭を上げて「何すんねーん」と言い両手をパアと開いて戯けて見せる。それに子供は手をパタパタさせて嬉しそうに笑う。簓の満足気な表情といつの間に始まってた成功したコントに俺も抑えきれず微笑む。
「今和んだやん」
「和んでない」
「和んどったやろ〜?ええ誕生日になったんとちゃいまっか?」
「阿呆か!ほら食え!」
簓と子供に気を取られながらも次のお好み焼き作りはちゃんと続行していて簓はやっと箸でお好み焼きを摘んで口に入れる。けどずっと鉄板の上に乗ってたからか熱を持っていて熱そうにリアクションして声を出すと子供の笑いのツボをもう一度掴む事が出来たのだった。
(25.03.03)
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