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俺達の事務所から少し距離はあるがイケブクロ内にある出来たばかりの猫カフェに荷物を運んで欲しいという依頼を承って向かえばカフェの店長さんが店の前で待ってくれていて安堵の表情を浮かべる。明後日の二月二十二日は猫の日。その日はここの猫カフェではニャンニャンフェアという期間限定のイベントをするらしくそれに使用するグッズを仕入れて持ってきたというわけだ。グッズの中身は知らないが猫達と遊ぶ玩具なのだとか。それを一通り聞いていると二郎と三郎が店の中に入りたそうに看板の猫の写真を眺めている。それに店長さんは笑って「猫達見ていくかい?」と弟達に声を掛けている。二人は目を輝かせて頷き中に荷物を運ぶ為に荷物を車から出す。車を運転したのは山田三兄弟では無いが仕入れ先の人が手伝ってここまで連れて来てくれたので俺達の仕事といったら後は荷物を降ろすだけなのだ。時間も有り余っているしこのままカフェに少し滞在しても大丈夫かと思ったらいつの間に死角に人が立っていてギョとする。


「何だよ左馬刻か」
「んでテメェがここにいんだよ」
「仕事だって見て分かんねぇのかよ」
「あ?ンだよその態度はァ」


会って早々に食い付いてくる左馬刻に俺も負けじと言い返すと左馬刻は何時もの野郎相手に話す鋭い口調になり俺を目一杯睨み付けてくる。それにカフェの危機を感じ取ったのか店長さんが「ここでの騒動はやめて下さい」と事が始まる一歩手前で止める。それに俺等は睨み合ってた視線を互いに外すと左馬刻は舌打ちをこぼす。不穏な空気にはなったままだがちゃんと店長さんには謝る。店長さんは俺から左馬刻に視線を向ける。


「どうですか、碧棺さんも猫達を見ていきませんか?」
「あ?」


店長さんと左馬刻が向かい合って視線を合わせるが左馬刻の近寄り難い雰囲気に猫背気味になって肩が竦んでいる店長さん。店の危機は止めたが左馬刻には恐縮なようで俺は微妙な二人の間に入って「此奴は」と代弁して言ってあげようとする。と思ったのに左馬刻の奴、店の中に返事もせず先に入って行く。此奴が猫カフェという場所に脚を踏み入れたのが意外過ぎて話を聞いていた二郎と三郎も目をパチクリさせている。店に続く階段を昇っていく左馬刻の後ろからついて行き肩を掴む。その肩を肩で振り退かされる。どうやら猫は嫌いでは無いようだが俺は何時もの扱いらしかった。


「お前が何かしでかさないように目光らせてねぇとな」
「ここヨコハマじゃねぇんだけど」


横に睨み付けてくる視線が俺を射抜くと店の扉を開けて中へと入って行く左馬刻。中に入れば種類様々な猫と猫が遊びやすそうな客が猫とリラックス出来る造りが上手く取り込まれた部屋になっていた。続いて入って来た弟達が楽しげな声で早速猫と戯れているのを視界に俺は近くのソファーの上にいる一際オーラのある毛並みの灰色猫を見つけて運んで来たばかりのグッズを受け取って戯れようとする。けどこの猫は俺を嫌がっていてそれに左馬刻は俺から猫じゃらしを奪い取るとそれで灰色猫の前にチラつかせる。猫はすんなりと左馬刻を受け入れて懐いている。それを見て左馬刻はくつくつと俺を見て笑って俺は床に胡座をかいて座る。


「こいつオッドアイだな」
「え」


ソファーに座ってる左馬刻は猫を俺に見えるように抱える。言われてみればこの猫オッドアイだ。オッドアイといえば俺達山田兄弟もオッドアイだけど別にそういうのとは違って類は友を呼ばないらしい。プイと顔を逸らし相変わらず嫌そうにしている灰色猫に俺は溜息をつくと左馬刻は手に持ってる猫じゃらしを俺の顎下にチラつかせ始める。二人目線が合う。


「うりうり」
「…何してんだ」
「ここにもでけぇ不良猫がいると思ってな。ぼっちみてぇだから構ってやろうと思って」


ソファーに肘掛けに頬杖をついて猫じゃらし手に笑みを浮かばせる左馬刻。それに胡座を直して目の前の皇帝みてぇな男の座るソファーに手をついて上目で見上げる。左馬刻は口元をつり上げて互いに無言で暫く見つめ合ったままでいると店員の女の子が小さく声を出して直ぐにいなくなる。俺は我に返って左馬刻から離れる。


「何やってんだ俺…」
「まだ何もしてねぇだろ」
「………」
「おら、猫撫声してみろよニャン郎」


完全に馬鹿にされてて益々こいつの思うようになってはいけないと思って顔を横に逸らす。そして「そっちこそ」と言い返せば左馬刻の機嫌の悪さが顔全体で表れる。それにしてやったと笑えば左馬刻が首元を猫じゃらしで弄ってくる。擽ったくて身を捩り、また睨み合うの堂々巡りなのだった。



(25.02.24)



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