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兄ちゃんが外回りの仕事に出ている間に今日の当番の雪かきを済ませろと三郎にうるさく言われて渋々事務所の外に出ると事務所前に誰かいるのを見つける。誰だろうと思って見れば同級生で俺達山田三兄弟とも顔見知りの如月だった。如月は何かをジッと見つめているようでその視線の先を見ると兄ちゃんが早朝に作ってた三つのミニ梟雪だるまがあった。如月は身体を屈ませてたのを戻すと俺と目を合わせて「これ山田家三兄弟?」と聞いてくる。それに兄ちゃんが作ったと教えればずばり梟と言い当ててきて雪って思ってたより何でも形に出来るんだなとも話す。


「何か用事とか?」
「あ。そうそう。これ」
「?」
「蜜柑。良かったら食べてくれ」


如月が出してきた袋の中を見ると蜜柑が入っていた。聞けば旅行に行った土産で沢山買ったからお裾分けだそうだ。マジ助かるよと何時もの感謝を込めて礼を言うと如月は事務所を見上げて用事が済んだからもう行くようで一言告げて背を向けて歩き出す。如月がいなくなると俺は事務所の上の階に上がって窓際の方に行く。そこから街中に消えていく如月を目で追ってはあと溜息一つ。


「何がはあ、だよ。雪かきは」
「する。いずれは」


三郎の手が俺の肘を小突く。相変わらず喧嘩腰な奴だななんて思って今やるんだよ日課だろと言ってくるのに、俺はそんなに言うなら自分がどうぞと言い返してやる。それに少しばかりの腹を立てたのか三郎はジト目で睨みつけてきてその視線を他所に外にまた目をやろうとすると扉が開く。兄ちゃんがいつの間に帰って来ていた。


「あ、兄ちゃん。如月から蜜柑貰ったよ!」
「一兄、こいつ雪かきサボってます!」
「おいおい二人同時に言うなって。…あ、如月くんならさっき会ったぞ。今年も宜しくって」
「俺には言わなかったのに…」


しょんぼりしている俺に兄ちゃんは俺達の傍まで来ると「そういう意味じゃないぞ」と言って肩を撫で袋中を確認して蜜柑を一つ手に取り早速剥き始めて実を口に入れる。


「蜜柑旨いな」
「え。じゃあ俺も」


兄ちゃんに続いて俺も袋の中から蜜柑を取り出すと瞬時に三郎に手の中の蜜柑を取られてしまう。それに今度は俺がジト目になる側だった。


「雪かきするんだろ。行って来いよ」


悪戯っぽく言う三郎に一々苛々するのもちょっと気が引けたがそれでも何時もの流れで言い返そうとすると兄ちゃんが剥いた蜜柑の実の一つを「ほら」と言って俺の口に入れてくれる。酸味があってでも甘味が一粒にぎゅっと詰まってて美味しかった。蜜柑を口に運んでくれた兄ちゃんに笑い掛けると兄ちゃんも微笑んでくれる。それを見てか三郎が機嫌を顔全体で悪くし始める。気付いた兄ちゃんが三郎にも口に入れてやっている。


「お前、蜜柑持ってるだろ」
「うるさいな」


兄ちゃんに口に入れて貰いながらも手には俺から取り上げた蜜柑もある。全くまだまだ此奴も子供っぽくて甘え上手な弟だなと思っていれば兄ちゃんが如月にお返しにあげるのは何がいいかなと考え出す。渡すものが何であれども、挨拶に行くのは俺が役目を引き受けようと心に決めていた。



(25.02.17)



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