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シブヤに新しく出来たばかりのチョコレート専門店でバレンタインフェアをする事になり早速行ってみれば予想していた通りの女性の長列。ここでバレンタインのチョコを買っていく人がいるようだが店長さんに聞けばバレンタインの一週間前くらいが一番混んでてこれでも少ない方なんだと言っていた。ならもっと増やそうと店の前でプチライブをする事になった。小さな円陣を組んで何を歌うよとマイク手に集まり出す女性達の視線の中で選曲をし、取り敢えず今まで作った曲の順から歌っていこうとマイクを起動するとステージは無いがライブ感は出てくる。そのまま歌っていると人がゾロゾロと集まり出し手拍子まで入る程に。チョコもう買ったけど自分用に買っていこうかなと声まで聞こえてああ成る程そういう客の増やし方もあるものだな等と思ったりもした。
一時間程歌って喉が渇いて一旦休憩に入ろうと飲み物を購入をする為に自販機へと移動する。その途端に乱数の周りに女性が集まり出し次々にチョコを渡し出す。乱数は手に抱えきれない程のチョコを貰っていて嬉しいなぁなんて甘えた声を出している。そう、今日は乱数の誕生日なのだ。


「出たな、Mr.バレンタイン」
「えっへん」
「夢野さんと帝統くんにもあるよー」
「え、マジ」


はいとチョコを洒落た紙袋の中からチョコの箱を頂戴した帝統。はい私からも、これもと乱数に続いてチョコを貰っていく帝統は目を輝かせて興奮気味に笑った時に見える少し尖った歯をチラと覗かせる。


「うおお!これなら一週間は持つぜ。助かるぅ」
「甘味で一週間保たすのですか」
「おうよ」


帝統も手にチョコを抱えてえっへんと胸を張る。いや自慢する所が先ずズレているけれどこの男にとってはそこはどうも重要らしかった。サバイバルというのはやった事が無いので理解し難いが。乱数は小さな手と身体で何とか持ってるチョコの山で顔が此方からはよく見えないが女性らに笑顔を向けてるようで「わぁい!」と嬉しげな声を出す。


「これも皆がいつも支えてくれるからだよ。有難うねオネーさん達」
「ホントサンキューな」


後半も歌っていくから良かったら聴いていってねと乱数はFP代表としてリーダーとして言うとオネーさんらが可愛いとハートマークを飛ばして乱数を囲むかしこから反応する。メロメロ状態の乱数目当てかFPのファンであろう彼女らに今年も感謝を込めて歌を披露した。



***


店の客呼び込み手伝いのプチライブの帰り道。私達は人気が少なくなってきた道を選んで戦利品のチョコを抱えて並んで歩いてる途中で帝統が「凄ぇよなぁ」と呟く。何が凄いのかと尋ねる乱数に帝統は貰ったチョコの紙袋を一つ一つ確認しながら隣の乱数を見る。


「チョコの数やっぱ敵わねぇと思って」
「え、なに競ってたの?」
「幻太郎もだけどな。勝負する気はそんなねぇんだけど。食料手に入りゃあそれでオールオッケーよ」
「あはは。帝統らしー」
「それにボク、Mr.バレンタインだもんね!」
「ちょっと〜!確かにバレンタインが誕生日だけどさ」


乱数の声真似と顔下に両手を添えてキャピと効果音と共にポーズを真似てみせると乱数がちょっと恥ずかしそうにポカポカと小さく叩いてくる。それに帝統が笑って「まあ何だ」と手に持ってたチョコを袋の中に戻して乱数と向き合う。


「俺からは大して何もあげらんねーけど」
「けど?」
「好きだぜ」
「何を?」
「でっ、分かってんだろ!」


今度は帝統くんが恥ずかしそうにする番だった。乱数は弄るように帝統の顔を覗き込み帝統はあんま見んなよと言っているがお構い無しに乱数は手に持ってた袋を持ち直して私と帝統を各々両側から自分の方に抱き寄せる。


「二人共大好きだよ。ボクの大切な仲間だもんね!」


してやられたような表情を浮かべている帝統。けれども不意に私と合った視線にアイコンタクトして私と帝統も乱数を両側から耳元に口を寄せる。そして目一杯囁く。


「我々も大好きですよ」
「大好きな」


乱数の肩が跳ね上がる。囁いた一拍の後に私達を弾けるように押し退かして少し離れた位置から両耳を押さえて取り乱している。何ともやり手そうで初心な子であった。


「ズルいよ!なんか、えっち!」


子供がするような口調で駆け出す乱数に帝統は笑って「こら、逃げんなよ〜?」と更に弄りたそうにその後を追い始める。私の周りをグルグルと回り出した二人によくこれだけチョコを手に持ってるのに動き回れるなと意味も無く感心したりもした。



(25.02.14)



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