hpmi


新年に入って一月末くらいに空却くんの寺院に行こうと思ってたのに計画が大幅に崩れて結局二月中旬頃になり寺院で彼と顔を合わせても久し振りに会ったというのに彼の表情は変わらなかった。言い訳にはしたくなかったけど実家に戻らなくちゃいけなかったり引っ越しを手伝ったりとバタバタして大変だったとちゃんと告げる。空却くんはそれでも特に普段と変わらずでじゃあこれはどうだと手に持ってた袋を渡す。それを受け取り中を覗き見る空却くんは「ああ?」と苛々しながらもやっと反応してくれる。


「漬け肉ってなめてんのかよ!」
「嬉しいくせにー!」
「うっせぇ!いいから獄達にも挨拶に行くぞ」
「え?二人共来てたの?どこどこ」


土産品の肉の入ったビニール袋の口を縛って誘導するように歩き出す空却くんについて行く。裏庭にいるようで開けた場所に出るとバサと白い鳥が一羽飛び立っていく。それが白い鳩だと分かって先を歩いていた空却くんが振り返り二人がいる方を示すとそこには何羽もの鳩に囲まれた十四くんとそれを離れた位置から見ている獄さんがいた。それに驚いていると十四くんが此方に気付いて笑顔を向ける。


「あ!実さーん!お久し振りッス」
「久し振り!凄いね、身体の周りにいっぱい鳩さんいるけど」
「餌貰ったんであげてたんスよ」
「そのうち糞されるぞ」
「えええ?!ウンチは困るッスよ!自分、このコートは新調したばかりなんで」


慌てながら十四くんはコートを守ろうとして手にまだ残ってる餌の置き場所に迷っているのかウロウロとし始める。それにさすがに可哀想だと思って私は十四くんの側に寄ると囲んでる鳩達の間から自分の手を寄せて「交代しよっか」と十四くんの手の中の餌を自分の手に移し替える。その途端に鳩が十四くんから私に興味が変わってバサバサと激しく羽を広げて餌に群がってくる。


「うわああ!前が見えないい」
「そのうち糞」
「だから言わないでって!可愛いけど勢いがああ」


十四くんから餌を移し替えたは良いものの今度は私のコートが危うくなり、さっきセットした髪がボサボサになってくる。それに空却くんは大きな溜息をつくと私の傍に寄って私の手首を掴んでその手の中の餌を全て空に撒く。その餌につられるように鳩達が一斉に空に舞い上がってまるで天使の翼が寄り集まってるように見えた。それに真っ白白だねと言えば空却くんは一瞬だった天使の瞬間から下に落ちてる餌をつつく鳩を見下ろす。


「白に決まってんだろ」
「あ、空却くんの肩についてるよ白い羽」
「あ?」
「ホントだいっぱいついてるッス!空却さんも真っ白白ッスね!」
「はあ?いいから取れ」


いつの間に白い羽が沢山ついてる空却くんが可愛くて写真におさめようとすると空却くんが近寄ってきてまた手を掴まれる。そしてグイと引き寄せられて私の身体にもついてる羽の一つを取って指先で弄る。それよりも空却くんの動作にドキとしてしまうのは言わないでおこう。


「人の事言えねーだろ」
「……うん」
「っておい、獄ァ!なに鳩無視して人の貰いもん見てんだ」


獄さんに十四くんと餌交代する前に渡してた袋の口を開けて中を覗き見ている獄さん。空却くんが勝手に見たとかで怒ってるけど獄さんは慣れてる様子で漬け肉のパックを出して袋のラベルを見ている。


「これイイとこの肉っぽいな。今から焼くか」
「いいッスね!」
「勝手に決めんじゃねぇ。この俺がルーラーだ。肉奉行すんのは俺なんだよ」


べーと獄さんにあっかんべしてしまう空却くん。それに獄さんも動じずに笑みを浮かべる。


「焼くのは俺だ。味付けも俺だ」


獄さんと空却くんが顔を見合わせる。そして互いに笑い合うと空却くんは身体に沢山羽をつけたまま寺の建物の中へと入って行く。それに思わず私も笑っていると十四くんのお腹の音が鳴り私のお腹も同時に鳴る。どうやら今日の昼は焼肉と炊きたての白ご飯になりそうだった。



(25.01.25~02.13)



実際の公式様、原作者様、団体様、会社、事件、人物、商物、場所、組織等とは一切関係御座いません。政治組織の勝手な創作物の悪用、持ち出しはお止め下さい。解釈違いの苦情は受け付けておりません。



62/100ページ