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テスト期間ってのは本当に憂鬱だ。殆どの事が制限される。それは外でも家でもだ。兄貴は期間中は勉強に励めって目を光らせてるし三郎は俺が赤点取ってくるのを待ち構えているのように嘲笑うし、学校では講師がここテストに出るぞばっか連呼してきて色々なストレスが一度に押し寄せてくる感じで脳内はち切れそうだった。多分俺が最も苦手なものだ。テスト。余程の物好きじゃない限りこれには食い付かないだろ。
そんなこんなで迎えたテスト当日。無駄に多い教科全て終えて解法されたと思ってたのにもし赤点取ったら追試だなんてテスト地獄のリターン極まって限界がじわじわせり上がってくる。でも俺の恐れも時間は掛からずに現実になってしまう。数学と古文の追試が決まってしまった。一人落ち込む暇も無く家に帰宅すると三郎が兄ちゃんにテスト答案を見せてしまって益々これはヤべぇなって。兄ちゃんのキレっぷりといったら。でもさ、俺これでもテス勉やってた方なんだぜ…って言っても言い訳だなんて言われちゃうのかな。
その事を放課後の教室で生徒会長の如月に話すと如月は笑って聞いてた。そりゃ此奴からしたら今回のテスト勉強なんてチョロいし、俺の苦悩なんて分からないだろうけど。
「はあ…。終わったらサッカー部のダチとサッカーの試合観に行く予定だったんだ…なのに」
溜息をついて後ろの席で俺の髪の先を弄ってる如月の手が止まる。数学の追試勉強を必死でしてる俺を見守ってるとか言いながらも構って欲しそうに甘えてくる如月。でも此奴も此奴で生徒会長なんて役職ついてるから忙しいだろうにわざわざ会いに来てくれんのは何でだと考えてたら如月が肩をまた小さめにつついてくる。振り返るとポッキーが目の前に。それを寄り目で見てからニコニコ笑んでいる如月からポッキーを受け取り口に入れる。
「今日、何の日だ〜?」
「…バレンタインだか何だか知らねーけど俺は追試で追い込まれてんだ。構って欲しけりゃ後で構ってやるから」
前を向いてポリポリとポッキーを食べて数学の読解に挑もうとすれば如月は再び肩をつついてくる。投げやりに振り返ると口にまたポッキーを突っ込まれる。あ、何だ。眉がちょっと上がってる。この顔は不穏な予感が。
「あー!分かったよ。食べるから寄越」
ポッキーを一々振り返って貰ってたんじゃキリが無いと箱からごっそり頂くからと手を出せばその手をギュと握られて顔が近付いてくる。俺のくわえてるポッキーの片端に如月もくわえるとそのまま食べ進み長さが短くなって距離が狭まる。その途中で俺はポッキーを名の通りポキと折った。如月が顰め面になる。
「折るんかい」
「キスすんならいきなりすんのは反則だろ!」
「別にジロちゃんと勝負なんてしてないしー」
「そういう意味じゃねぇって!」
ガタンと椅子が引かれて如月が立ち上がる。持ってたポッキーの箱に何かを書き込んでそれを俺のノートの上に置く。どうやら丸ごとくれるらしくてもう生徒会に行く時間のようだ。
「じゃあな」
如月が俺の頭を撫でて教室から出て行く。ポッキーの箱を持ち上げて見る。裏の自由に書き込めるメッセージ欄を見る。そこに油性ペンで「誕生日おめでと。後で可愛がってやるから」と書かれていた。それを見て俺は今日は誕生日だったんだとやっと気付いた。
(25.02.06)
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