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イケブクロ内で俺達BBが知れ渡った事でそこから波紋のように萬屋ヤマダの情報も拡がって初めたばかりの頃と比べると随分仕事が増えたと思う。二郎も三郎も最初は何から初めていいか分からず戸惑ってたのが今は自分達の行動に自信を持って動けるようになってる。ラップバトルでも萬屋の仕事でも弟達に自分の隣を任せて本当に良かったとは思っていた。
今回の萬屋の仕事であるとある店の改装手伝いに三人でやって来れば既に俺達を待ち構えていたように店長さんが改装に使用するリフォーム道具を一式揃えていた。ずらりと並ぶ見た事無い塗料やニスや大小様々な筆を見て俺達が行う作業はペンキ塗りだと分かった。一番驚いたのは塗料の数だった。こんなに沢山の色を扱ってアートでもするのかと尋ねればちょっと買い過ぎちゃったかなと言う所も店長さんの御愛嬌というやつだろう。


「なあ折角だからここの看板、ちょっと作り込まないか?」
「いいね。好きなようにやってくれ。BBが手を付けただけでも集客数が増えると思うから」
「大袈裟ッスよ。でもいいんスか?俺達が店の大事な看板に」
「いいんだよ。君達には何時もお世話になってるからね」


相変わらず親しげな笑顔を向ける店長さんに俺等も笑顔を返すと店長さんは私は中を片付けているからと言って店内に入って行った。二郎がよし!と気合いを入れて塗料の蓋を開けようと早速手を付けようとしていてそれに三郎が小さなペンチを持ってきて「これで開けるといいんじゃない」と手助けし合いながら協力して初めてのペンキ塗りに挑戦しようとしている。それを横に俺も看板のサイズを測っていると突然パシャとカメラのシャッター音が響く。誰かが写真を撮ったのは分かって三人でその方へ向くと零がいた。それに二郎が開けたばかりの持っていた塗料を下に置いて「隠し撮りかよ」と口をとんがらせて言い出してしまう。


「おいおい。今日が何の日か知らねぇみてぇだなぁ」
「誕生日だろ」


携帯手に笑う零に二郎は間を置かず答える。零の誕生日だって二郎と三郎もちゃんと分かってたようでさして惑う事も無い二郎の口調と眼差しに逆に零の方が目を丸くしていて豪快に笑い出す。


「こりゃやられたねぇ」
「プレゼント目当てなら俺からはねぇぜ」
「今頂戴した。可愛い息子達の成長振りってやつをな」


零の手の中の携帯がユラユラと揺れる。してやったみたいに勝ち誇って笑ってる零に二郎と三郎はそのまま構ってる時間も無いと作業に取り掛かり仕事の手を進める。
零の傍に寄る。二郎と三郎から俺の方に注目する零は「よぉ」とここでやっと挨拶をし出す。俺は手に持ってた巻き尺を戻す。


「後で渡すもんがある」
「お?何だ。また何かくれんのか」
「酒。一升瓶」
「今年も酒だな。どうだ?山田家で一杯やるってのは」


何気無くその気じゃなかったとしても誘われるとは何となく思っていた。二郎と三郎を見る。ペンキをどこに塗るか少しモメてる二人を見て俺は小さく「いいけど」と言葉にする。すると零は今度も本当に意表を突かれたような表情をしていて俺の発言が予想外のようだった。そのままのってくるかなとも思ったけど零は携帯を上着にしまって帽子を被り出す。


「それはまた今度にするぜ」
「じゃあ、後で事務所寄れよな」
「おう。誕生日おめでとさん」


笑みながら何故か自分でおめでとうと言う零に俺はすかさず「アンタがな」と付け加えてやると、零はそれ以上は何も言わずに被ってる帽子のつばに触れて自分の今の表情を隠すようにこの場を後にした。



(25.01.23)



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