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一二三と休日が重なった日に寂雷先生も休みだったのだけど、急遽午前診が入ったとかでその間にシンジュクで買い物したりして時間を過ごし先生の仕事が終わったら釣りの帰りによく通りかかるファミレスで集合する事になった。時間が過ぎるのはあっという間で会う時間になって集合地のファミレスへと向かうと先生の座ってる窓際の席の隣に誰か見知らぬ男性がいて顔を見合わせるなり一二三は躊躇なく「誰?」と言ってしまう。それに俺は一二三の肘を小突いて失礼な事を言うなと動作で伝えると一二三は笑いながら二人の向かいの席に座って俺も一二三の隣に座る。


「この子は黎戸くん、同じ勤務先の看護師だよ。丁度彼も仕事終わりでね」
「あ、そうだったんですね。お仕事お疲れ様です」
「お疲れっしたぁ!なんか食おーぜ。…え、マジか」
「一二三、此方の自己紹介がまだだろ、って…どうした」
「この量でこのカロリーは高過ぎるっしょ」


メニューを開き見ながら顔を顰めてる一二三に俺は溜息をついて唖然としている黎戸くんに小さく、料理にうるさい奴なんですと言うとメニューのデザート頁を見ていた一二三が「なんだとー」と俺の肘を小突き返してくる。それを見て先生は何だか楽しそうに珈琲を飲んで笑っている。
それから一二三のメニュー選びに時間がとにかくかかって結局ランチセットを頼むのを止めて悩みに悩んだ挙句リゾット一品にしたらしく程なく料理が運ばれてくる。四人で会話しながら昼食をとっていると自分の脚に誰かの脚が絡んできて食べていた口内のステーキ肉を塊のまま飲み込んでしまいそうになる。隣を見れば一二三がニヤニヤと笑っていて今度は手を握ってくる。にぎにぎと握られている手の温もりに食べる手を止めてしまえば先生と黎戸さんがちょっと変であろう俺を見て「どうしました?」と聞いてくる。


「え…と、ステーキ美味しいなって、で!」
「独歩くん、本当に大丈夫ですか」
「だ、大丈夫です…お気遣い無く…へへっ」


へへっじゃないだろと作り笑いをして誤魔化している俺に言い聞かせて隣のイタズラ彼氏を見る。一二三は俺の脚を踏んだのにリゾットをスプーンで掬って窓の外を見てて何事もなかったようにしていて一瞬握られた手ももう離れていた。
それから先生と黎戸さんと少し話して二人はこの後用事があるとかでここで解散という形になる。会計を済まして店から出る。別方向の道を歩き出す二人を見送ってから一二三が笑い出す。俺は一二三を細目で睨み付ける。


「だってぇ独歩、マジで、ウケるぅ」
「急に手握ってくるのはどうなんだ!あと脚!」
「にへへ。独歩可愛かったしー。でもウケるって、マジ」
「いつまで笑ってるんだよ。ったく…ああ、もういい。腹空いた」
「げ。あんなに食べるもんあったのに独歩の腹ブラックホールだな!」
「一二三のが食べたくなったんだ」


一二三が俺にちょっかい出してた意味はここにあるんだろなと思って、一二三の料理が恋しくなったと口に出せば一二三は一拍置いた後に俺から離れて後方に戻って走って行く。そして何を思ったかまた駆け寄って来て俺の背中に飛び付いてくる。助走つけたらしい。それに前に屈んで潰れたような声を出せば一二三はご機嫌に笑って飛び付いたまま擦り寄ってくる。


「観音坂独歩ぉ!二十九歳サラリーマン!」
「でっかい声で個人情報言うなよ!」
「独歩。今日はカルボナーラな」


楽しげに笑ってた一二三が少し落ち着いた口調でそう言うので何故カルボナーラなのかを聞く。聞けばさっきのメニューで見てたカルボナーラよりも自分のが上手く作れると断言していた。料理となると色々と何か比べ合ったり競い合いたくなるものなのかと納得してしまう。


「パクチー乗せよ」
「パクチーかよ?!」


一二三を背中に乗せたまま歩いてるから周りの視線が気になって仕方ないけど、この茶目っ気ある彼氏のやる事なら全て受け入れたくなるし愛しくなるんだよな。



(25.01.16)



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