hpmi
部活も終えて学校から帰ってくると家の中に入って直ぐに机の上の分厚い本が数冊目に入る。三郎がまた何か買ってきたのかと思って側に寄って本を見てみると「GIFT BOOK」と書かれた表紙。それに疑問を浮かべてジッと見つめていると三郎と一緒に椅子に座って本を読んでいた兄ちゃんが「株主優待だ」と言う。それだけでも理解に繋がらない為、言葉が出てこずそれに三郎は読んでた本を閉じて溜息をつく。
「ギフトカタログだ」
「あ?…ギフト?」
「三郎が株やってるだろ?それのだよ」
それだけでも分からなくて三郎のやってる株のとこだけは何となく理解出来た。三郎は俺の無知さに苛々してるのか馬鹿が極まって笑えないと言ってくる。それに何時もながらも言い返そうとするけど自分に知識が無いのが悪いしそこは馬鹿にされるのも仕方ねぇなと割り切って俺もカタログの一冊を広げてみる。中には食器とか調理器具とか食べ物とか。有名なメーカーのも入ってる。
「ギフトって事はタダで貰えんの?」
「んー… ちょっと違うが。二郎はどれがいい?」
「えっとね、えっと…これ!」
パラパラと見てた本の頁を開いて指差して見せる。それに三郎が俺の差してる指を退かして「早いんだよ!」と言ってもっとちゃんと選べよとも言ってくる。まあ確かにそうだな。三郎の株何とかだし。
「あ?じゃあ…これ?」
「適当に選ぶな。理由は」
「旨そうだから、牛」
「旨いけど、単純だな」
牛肉の希少部位の結構ランクが高いと書かれてはいる写真と文字を見てこれだけじゃ価値も何も俺には分からないけど今読んでるカタログを閉じて違うカタログも開く。それも本のデザインは違うが同じような品の写真がずらりと載っていた。俺はその中の今度は食品では無い家具の頁で手を止める。
「これってさ、物でもいーの?」
「ん?いいぞ」
「サッカーボールの収納ボックスが欲しい」
「お前の欲しい物優先じゃないんだよ!」
「じゃあ三郎は何がいいんだよ」
さっきから俺の発言に苛々してる三郎に開いてたカタログを一旦どっかに退けて問い詰めるように真っ直ぐに見て聞くと三郎はごもごも喋りながら少し困ったような表情をして目を泳がせて頁を見ている視線が迷子になっている。それに「ないのかよ」と笑うと三郎はムキになったのかいきなり頁を素早く開いて見せてくる。どれどれ。
「皿?」
「皿か。もしかしてこの頁のか?」
「はい!その皿、絵柄模様が細かく描かれててとても価値ある物らしくてこれでご飯食べれたら良いかなって…」
兄ちゃんも同じカタログが二冊あって見てたのか皿の頁を出して見せると三郎はこくこくと頷く。三郎は兄ちゃんに頭を撫でて貰い嬉し気に表情を浮かべる。兄ちゃんがペラペラとカタログを捲り出す。俺もその頁の行く先を隣で目で追う。
「俺も候補出してもいいか?」
「はい。どうぞ」
「缶詰セットが欲しい。ツナにコーンに、紅鮭に…鯖の味噌煮」
最後ので分かった。というより最後のが目当てなのが伝わってきた。兄ちゃんの好物が入ってたのに三郎も気付いたのか微笑んで頷く。
「宜しいですよ。では第一候補に…」
「サッカーボックスは?」
「うるさいなぁ。…頼んでやるから」
よっしゃあと両手を挙げる。調子乗って椅子ごと後ろに弾みで倒れそうになるけど持ちこたえて気を取り戻す。小馬鹿にしてくる三郎に「サンキューな」と言うと兄ちゃんも三郎の頭を撫でてやって「いい子だな有難う」と伝える。三郎は嬉しそうに笑ってて兄ちゃんに続けて頭を撫でて貰っててちょっと兄ながらに羨ましく思ってしまった。
(25.01.12)
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