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プカプカと水中に浮かんだ大きめの浮き輪に乗っかってるというより挟まって二週目の流れるプールの周回を遊ぶ我等がリーダー。それについてやって俺も満喫してると隣で乱数がひえんとか急に声を出すので声を掛けると乱数はさり気なく自分の腕を見せてくる。見るが何を伝えたいのか分からなかった。そのまま恍けていると「日焼け!しちゃう」と美容に関しての悩みを口に出してくるものだからああと軽返事して自分の腕や肩も寄せる。


「俺なんかもう丸焦げだぜ。日焼けサロンなんていらねぇよな」
「メラニン色素の沈着が!」
「あ?よく分かんねぇんけど、一旦上がるか?」


乱数は頷くと俺に両手を広げてくる。それも意味が分からなくて聞くと抱っこして欲しいとか言い出すもんだから仕方ねぇなとその広げた腕に腕をこっちも広げて少年のような身体を支える。そしてグイと引き摺り出すとそのまま勢いよく後方に浮き輪が抜けて流れていってしまう。乱数を抱えたのはいいが浮き輪が漂流してしまう事態に乱数はプールから出て取りに行こうとする。
視界に頼れる人物の登場に乱数を止める。いつの間に一周してきてたのか幻太郎が俺らに気付いてくれて浮き輪を取りに足早に行き、掬いキャッチする。俺と乱数は小さく拍手する。


「何時まで漂流してるつもりですか。ふやけてしまいますよお二方、休みなさい」
「げんたろー。ボクも帝統も日焼けしたよ」
「まだお前はいい方向だろな。俺は多分こんがり焼けるぜ」
「…取り敢えず上がりなさい」


はぁいと二人でプールからやっと上がる。此処の大型プール場「プール天国」に僕達FPがやってきたのは理由があった。乱数がおネーさんにプール行かないかと誘われたらしくそれにオッケーしたら笑われて「私とじゃなくてお友達と行っておいでよ。あげるね」とチケットを四枚恵んで貰ったらしい。そう、ここで気付いた通り四枚なのだ。一枚はどうすんだって話になってその枠は…。
上がった乱数に近付く泰雅が乱数にだけタオルを掛けてやる。舌打ちをしたくなるのを抑えてサングラスを着けている泰雅が笑う表情がよくここからでも分かる。


「おい、お前。FPのオマケで誘ってやったんだからな。有り難く思えよ」
「有り難いでーす。どうも」
「この…」


泰雅は乱数のファンと言ってもいい程下心丸出しの男好きの乱数好きだ。だがそれもよく分かるのだ。乱数は魔性だから俺もFP結成のこの数年ですっかり丸め込まれた一人である。それくらい可愛いのだ。そこは同士なのだが、どうしても泰雅とのライバル心が勝って仲良くなれねぇ。というより…恋敵だ。
パラソル下に移動すると身体に日焼け止め塗り追加しようとしている乱数に背中は俺がやってやると言っている泰雅を阻止しようとする。
すると爆音が上がり乱数が立ち上がり俺達もその方へ注目する。この爆発…マイクだな。乱数がぴょんと椅子からマイクを持って降りるとその方へ駆けて行く。俺等もついて行くとマイクを手に持った如何にもギャングのような男数人。乱数はそれを見て「ヒプノシスマイクかな」と耳打ちしてくるが「違うだろ」と答える。多分、あれは違法マイクだ。こんな公共の場で無差別にかますなんて迷惑もいいとこだ。男達は此方に目を合わせると「飴村ァ!」と声を上げる。


「俺の女誑かしてるガキがァ!どんだけお前に金使ったと思ってんだ!アァ゙?!」
「え?ごめん何」
「ここでぶっ潰す!」


ヴォンと起動音が鳴り後方にマイクが現れる。俺もマイクを起動する。乱数も起動するとスロットルとキャンディースピーカー達が宙を舞い幻太郎も起動しようとする。けど乱数が「いーよ、だいじょーび」とそれを制する。


「ボクと帝統で2バースくらいで全滅させちゃうよ」
「このタラシがぁあ!!」
「おニーさん悔しいのぉ?」


乱数はくわえてた飴を口から離して不敵に笑んでみせる。乱数に挑発されて怒りに震えた男達が攻めてくる。乱数の言った通り短いバースで片付けるのに成功した。乱数は地面に伏せて動けない男の側に寄って来てしゃがむ。そして彼女さんにサイン書いてあげよっかと言って火に油を注ぐような事を言ってしまっていて拳を振り上げたその手が乱数に到達する前に泰雅が掴み上げ捻り伏せさせる。男はやはり最後まで悔しげな表情をしていた。

その後プールの施設長さんやスタッフさん達と話して感謝の言葉を貰った。
泰雅の運転する車の帰りの車内でウトウトと目を閉じて眠た気な空間で俺の隣に座ってる乱数が俺に凭れ掛かってくる。手をぎゅと握ってきて眺めていた窓からその方へ向く。


「ボク、ラップしてる時、帝統とが一番楽しいなぁ」
「……マジか」
「うん。だからこれからもいっぱい歌おうね」


ほらな、こういう事言ってくるんだぜ?ホントに参っちゃうよな。



(24.09.01)



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