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今回の任務の作戦は俺は乗り気じゃなかった。潜入する屋敷の主人の監視役に乱数がつくと決めた辺りから。ここ数日間で屋敷の内部と主人の情報をそれなりに集めてきたが主人についてはろくなものじゃなかった。この屋敷のセキュリティは徹底してる上に主人が男色好きという危なすぎる情報に俺は乱数を任務につかせるのを拒んだが乱数は僕がいないとどっちみちこの三人だけでは無理でしょと言ってきた。仕方なく受け入れたが今になって不安になってくる。手に入れる目標の主人の書斎のPCからの情報のコピーをしてる間イヤーカフの無線から乱数の苦戦してる声がここまで聞こえるからだ。


『オニーさん、まだここにいない?オニーさんの作ったお洋服見てたいな』
『でも着てみたいだろう?どれか一つをあげるよ』
『えとこれもいいなぁ…あ、でもこれも』


嫌な予感しかしなかった。ロビーではついさっきまで行っていたパーティーの片付けをやっているが潜入した乱数を一目で気に入りお持ち帰りするつもりなのかロビーから離れて今は衣装室にいる。ここの主人は名高いファッションデザイナーだ。だがもう一つ顔がある。人身売買を大幅に取り締まってる裏の顔が。乱数も服が好きでその点気が合うのだろうが自分が今からその服を着せられて何をされるか分からない状況に冷や汗ものだろう。
PCの重いデータ量を一つの容量高いUSBに移すには時間が掛かった。その間、乱数が上手くかわしてくれればいいのだが。


『どれにするんだ。もう何でも持って行っていいから寝室に行くよ』
『オニーさんちょっと待って…あの』
『私の衣装室は滅多に他人に見せないんだ。君は特別だよ。早く…しなさい』
『まって…ま』


待ち切れずに行動に移してしまうのか乱数の手を掴んで寝室まで無理矢理連れ込んでる姿が脳内に浮かんでしまう。此方も「早く早く」とノロノロ動くPCの液晶を睨みつけながら呟く。主人は此方には来ないだろうが乱数が危ない。苛々していると無線が屋敷から少し離れた位置にいる車の中の幻太郎に繋がる。


「まだかかりますか、帝統」
「あとちょっとだ…よし!」


データを全て移し終えた完了の文字に大事なデータの入ってるUSBを取り出して引き抜く。後は乱数をどう救出するかだ。乱数と主人のいる寝室に駆けて行く。その内にも無線で乱数の苦言が聞こえてくる。


『オニーさん、まって!ダメ、やっ』
『可愛いな…乱れる姿見せておくれ』
「乱数!」


寝室の扉前までやって来るとこの際ソロリと入って行く気も失せて脚で蹴って豪快に開ける。ベッドの上には乱数と主人の姿…だと思ったのだが主人だけがベッドにのびている。乱数はベランダ前で逃げ道を確保していた。


「お、おい。襲われてたんじゃ」
「の予定だったみたいだけどそうなる訳にはいかないからね。ほら、帝統掴まって」


銃で遠くの建物にワイヤーを張って先を読んで逃げ道を作っていた乱数は俺に建物に移るワイヤーの持ち手を差し出してくる。俺は「先に行け」と言うと乱数がデータ持ってる方が先と言って仕方なく先に向こう側へと移る。直ぐに乱数も移ってきて着地する寸前で俺が抱き留める。二人で向かい合わせになり見つめ合うと乱数が抱きついてくる。


「帰ったらいっぱいハグしようね」
「おう。…可愛がってやるよ」
『私の前でハグ宣言するのやめてくれませんか』


無線から聞こえてくる幻太郎の呆れ声に笑い合う。異変に気付いて騒がしくなってきた屋敷にまだ残ってるワイヤーの残りを取り外して今はここから抜け出すのに専念した。



(24.11.25)





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