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村の用事を済ませて森の中へ入って行く。森の入り口前では狩人の大柄な男達が屯っていて男の一人の手にはナイフがあり宙に上げ下げしてはこっちにニヤつき顔を見せてくる。この村を囲んでる森には様々な生物が住んでいる。普通の獣から時には獣人まで。多分だけどこいつらが狙っているのは後者の方だろう。人間にとっては脅威でしか無い獣人を狩る為に村長が他の村から狩人を雇って何年かここに滞在させている。次から次へと新しい狩人を雇っては村を完全に獣達から守り抜きたいという強い思いが読み取れる。でも今の獣人というのは獣よりかは大体賢くて人間としての常識もちゃんと持ち合わせてる。どちらかというと狩人の方が怖い。こいつらは狩る事、狩って金を稼ぐ事しか頭に無いからだ。
でもそんな狩人からも自分や弟達を守る為に武器の使い方や護身術を学ばなくてはならなかった。そうしないと生きていけないからだ。

入り口から森の中へと足を踏み入れると深々と被った赤のフードを下げる。ぐるりと木々を見渡しては深呼吸一つ。森と村とでは空気が違う。いつ喧嘩になってもおかしくない警戒心の強い村人達と人外の住む森。人外や獣人を悪く言うつもりは無い。唯どちらが平和かというともう既に森だった。
少しでも弟達と離れたくなかったが森には肉以外の食材も手に入る。そこで薬草などを採ったりするのだ。今日はそれが目的でここに来た。
枝を手折って木の実を採っていると獣人の気配がする。腰の銃に触れる。直ぐ様「俺だよ」と声がして安堵の声をこぼして銃から手を離す。木の実の袋を手に持って村の方へと戻って行く。横についてくる獣人の彼、朱浪さんを隣で歩きながら見やる。


「村の人達には関わるなって言われてんスよ」
「アイツらに関わるなって言われたからそうしてるのか?」
「そう…ですね。家族もいますし」
「じゃあ」


朱義さんの手が俺の肩に触れようとする。が、急に俺から飛び退いて俺に触れようとした自分の手から身体にかけて連撃された攻撃から避けたのか彼は自分の身が完全に隠れるくらいの大木の後方へとまわる。俺は銃が発砲された方向を見る。左馬刻だ。村の雇われた村人の中で最も適格に目標を仕留め長く村と関係を持ちそして冷酷だった。
俺は朱浪さんの隠れてる木を威力の強い弾を装填して木ごと焼こうとしてる左馬刻の視界に阻止するように立つ。


「お前はどっちの味方だァ!ああ?!」
「この人はそんなに酷い人じゃねぇって」
「誰がテメェに銃の扱い方教えたと思ってんだ」
「俺だ」
「俺様だろが!いいからその変態獣人から離れろ!」


木の後ろにいる朱浪さんの笑い声が聞こえる。そして「どっちが酷いんだかなぁ」と呟く彼に左馬刻は銃で根本辺りを撃つ。左馬刻の低音の声が森の中にはっきりと響く。


「お前の首とったっていいんだぜ」
「そういう事か」
「何笑ってやがる」
「俺が敵意を向けられてるのは一郎に恋してるからなんだな」


また発砲する。朱浪さんは木から出てくると前転して俺らと会話しやすい近くの木に移動する。その移動中も連撃する左馬刻に俺はこのままだと埒が明かないと朱浪さんのいる木の横について逃げて下さいと叫び掛ける。その行動に左馬刻は更にキレて「テメェはどっちの味方だっつってんだよ!」と此方に駆け込んで来る。朱浪さんも俺も急に近付いてきた左馬刻から避けようとするが左馬刻の標的は俺だったようで俺の上に乗り上げてくる。銃を出すと左馬刻の顳かみに銃口を突き付ける。左馬刻も同じように同時に突き付けてくる。左馬刻の口元がつり上がっている。


「は、俺様の方が上だって分かってんだろなァ」


ニヤつく左馬刻の脚を思い切り蹴る。痛みで短く声が上がり地面に倒れ込んで左馬刻の上に俺が今度は乗り上げる。形勢逆転した状況に左馬刻を見下ろしたまま口元を上げて「俺が上だ」と言えば怒髪天の左馬刻の赤い瞳が鋭く俺を捉える。そのまま暫く二人で転がって取っ組み合いになってしまった。


二人がじゃれついているのを赤目の美人くんに撃たれてボコボコの木に寄り掛かりながら見つめて俺は呆れ笑いをする。


「どっちが獣だよ、これじゃあ」





(24.11.01)


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