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*適切で無い描写があると思われます。


中央区のダンスパーティーには思ってたより招待されたダンサーやシンガーが集っていた。MTCの舞台の順番はまだ先でその間に何か飲むかと左馬刻に聞かれたから頷くと広いフロアに何個か設置されてる内の一つのカウンターバーの席に座りそこでお酒を一杯頼む。透き通ったターコイズブルーのカクテルが直ぐに出てきてそれを写真にでも収めようかと思ってスマホを出そうとすると左馬刻が私の腰を引いて自分の膝に私を乗せる。これでも大人の身体だから無理があると思って遠慮しようとするけど腰を掴まれていて何だか楽しげに笑っていた。


「ちょっと、もうほろ酔いなの?」
「酔ってねぇよ」
「この後出番なんだから、脚つっちゃうよ」


左馬刻のカクテルが手元に届く。真っ赤なやつ。私を片手で抱いたままグラスを傾けていて私の意見なんて耳に入れてないようだ。溜息をつくと私達の隣に大柄の男の人がやって来て座る。左馬刻の知り合いらしく軽く互いに挨拶を交わすと久し振りだなと言っている。話を聞いてるとどうも昔の友人らしかった。


「中央区のパーティーの舞台に立つとは大物じゃねぇか」
「今更かよ。ヨコハマで俺様の名が通ってんのは知ってんだろ」
「知ってるさ。どうだ?また俺んとこのクラブでパーティー開かねぇか?」
「別にいいが、銃兎や理鶯達にも許可を取らねぇとな」
「MTCのメンバーだな。中々良いチームじゃねぇか」
「警官と元軍人っつぅ異色なチームだけどな 」


笑い合う二人。二人の会話を聞いてる限りこの人もクラブ持っていてそこで久方振りにクラブでパーティーしないかって話を持ちかけてるみたい。歌って踊れる人って出来る事多くていいよねきっと楽しい。二人の話を左馬刻の膝の上で聞いていると友人さんが「彼女ともラブラブそうだしなぁ」と茶化してくる。左馬刻は私の首元に顔を埋めるとキスをおとす。その動作だけでも周りから注目を浴びてるように思えてきて照れ隠しにカクテルを一口飲むと口紅がおちてしまう。私は左馬刻が腰に回してる腕に触れる。


「ちょっとお手洗い行ってくる」


左馬刻は私を離す。カウンターバーから移動して近くのお手洗い場に入る。そこで化粧直しをして紅を唇にひいていると女の人数人が鏡に映る。その女の人の一人が鏡の中でこちらを睨み据えていて私の方に近付いてくる。何か嫌な予感はしてたけどリップのキャップをしめて振り返る。女の人達の今にも殺す勢いの視線。それだけで分かった。左馬刻のファンの女の子だ。それも過激なタイプのファン。その視線と視線を合わせているのも気分が悪くなってバッグに化粧ポーチをしまうと肩を強く押される。身体が大きくよろめく。


「何?見せつけてんの?私は左馬刻くんの彼女ですとでも言いたいわけ?似合ってねーのに、無駄に見せびらかしてんじゃねーよ!」


モデルのような綺麗めの女性の外見とは裏腹に出てくる言葉は辛辣なものだった。というより事実かもしれない。でもここで怯んだら色々と負けのような気がした。


「私の彼氏よ。それが何」
「!この!」


手が振り上げられる。でもその手をいつの間にかやって来ていた左馬刻が当たる寸前で掴み上げる。突然現れた左馬刻にか弱い女性を装ってコロっと表情や態度が変わる。…あーあ。どうしようもない所見られちゃったな。あっちに一方的に仕掛けられた女の喧嘩に、左馬刻も巻き込むなんてさ。何が彼女だって話だよね。


「俺の女に手ぇ出してんじゃねェよ」


俯いてた顔を上げる。思ってもみない言葉が左馬刻から出てきて女達は見る見るうちに悔しそうに顔をクシャクシャに歪ませる。悲劇の女性に早変わりしたらしい女達は早足で駆け去って行く。私はさっき押された肩の部分の服のヨレを直すと左馬刻は鏡台に座り私を見下ろす。凄く可愛くない顔してるんだろな私。


「俺様の女はそんな自信ねぇ顔はしないぜ」


メイクがよれるのもこの際気にせず少し濡れた目元を指先で拭う。左馬刻の手が私の顎をすくって顔を上げさせる。自信を持てとはっきりと言い聞かせる彼に私は小さく頷いた。





(24.10.14)



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