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*前に書こうと思ってたパロディのネタ
左馬刻の奏牙としての特訓中に連れて行きたい所があるからと話を切り出されて、その日の夜にヨコハマの街を二人で歩いてとあるバーに行き着く。その店に入ると左馬刻はカウンター席の隅で一人お酒を飲んでる女性と一言交わす。何を話しているのかなと耳を傾けようとすれば左馬刻が戻ってきて私とこの女性の二人きりで話せと言ってくる。最初は意味が分からなかったけど詳しく聞くとこの女性も奏牙らしくて今はフリーとかで私に色々と教えてくれるらしい。ここに連れて来られた理由が分かって頷き手招きしている女性の隣に座る。左馬刻は外で待ってると煙草を上着のポケットから出して吹かすのか一旦離れる。
隣にいる女性と向き合う。女性はそこまで厚化粧とかじゃないのにきちんとメイクが施された顔で私と見合わせる。そして「かわいい」といきなり第一声がこれだった。
「いや、可愛くないです」
「星川家の奏牙なのねぇ」
「あの」
女性がどこまで左馬刻から私の個人情報を聞いているのか分からないがいきなりこう話し出されてもどう対応していいか迷うというか。星川の血は流れてるけどこうはっきり面と向かって言われるのは左馬刻の他無かった。
女性は特に自分の名を名乗ることも私の名前を既に知っているのか聞くこともせずにお酒の半分入ってるグラスの縁のリップの跡を指先で拭う。何か飲む?と聞かれてメニューを寄せられたが殆どお酒で私は飲めないとちゃんと伝えると女性は笑ってメニューを元あった位置に戻す。
「左馬刻短気だから…手短に奏牙のクリティカルヒットの秘策だけ教えてあげる」
「クリティカル?」
「幸せな事や肯定的な感情で能力を発現するとパートナーの闘牙に力を倍送れて敵にダメージを多く与える事が出来る」
奏牙指導がいきなり始まってスマホのメモに書き留めておいた方がいいかなとバッグに手を入れようとすると女性が大丈夫とそれを制する。
「けどその反対もある。負の感情も私欲の思いも私達奏牙には倍力にはなるの」
「………」
「でもそっちは出来るだけやっちゃ駄目。基本中の基よ」
話を聞いてると大体分かってきた。つまりあれか。後者の負の感情の方をやってしまうと闇堕ち化してしまうという事だろうか。もしかしてそれを左馬刻は知ってて自分の口から言わずにわざわざこの女の人の口から言わせたという事?でも何で自分から言わないのか。もしかして私にこの女の人を紹介したかっただけ?そうっぽいけど。
「だから左馬刻の恋心が大きい程力も倍増するってこと」
「は?!」
「それがってわけじゃないけど。個人的には二人にもっと仲良くなって欲しいから頑張ってね」
女性はにこりと笑うと飲み終わったグラスを手元から離して勘定する。そして水しか飲んでない私を連れて左馬刻の待ってる外へと二人出て行く。左馬刻はプカと吹かしていた煙草を携帯灰皿でもみ消すと「早ぇな」と言う。確かに言いたい所だけかい摘んだって感じ。
「私は大したこと話せないわ。もう奏牙としての知識はそれなりにあるみたいだし。左馬刻貴方やっぱり優秀ね」
「……」
「彼女と同契するって事は私とは暫く共鳴出来ないって事よね」
「そう…だな」
左馬刻の目線が一瞬泳ぐ。女性はそれにあまり感情を表に出さないタイプなのか笑って私達の横へとつく。
「仲良くやってってね。可愛いコンビ同士」
ウィンクを多分だけど左馬刻に送って闇夜のヨコハマの街に女性は消えて行った。
私は女性の後ろ姿を見送ってる彼に「ねぇ」と声掛ける。
「アドバイスを与えたいからわざわざあの女の人と会わせたの?」
「…行くぞ」
「ちょっと、答えてよ」
スタスタと女性と反対方向へと進んで行く左馬刻の後を追う。何気なくこの後の夕飯の話になってどこかで食べてく気分なのか私に行きたい所を聞く事もせずに自分の行きたい店へと行く俺様な彼に唯ついていくのだった。先が思いやられる。
(24.08.15)
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