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幼い子供の成長が分かる時その一つはジェットコースターの身長制限を通った時だと思う。目の前で制限目盛りのある棒のちょい上だった私と空却くんの子供の宙はキャストさんから身長制限をクリアした印としてシールを貼って貰っているのを前にとにかく嬉々の感情が隠せなくて。だってここに来る前からそれの事で三人共、頭一杯だったんだもの。宙とジェットコースターに乗れるなんて夢の様だし嬉しい。人一倍ガッツポーズして宙をよくやったなと抱きあっている空却くんってば本当に二人共可愛いんだから。
でも今度はまた一つ試練にぶつかる。ジェットコースターに乗れる権利を貰った次はやっぱり「乗車」すること。自分が乗る車体が側を駆け抜けて絶叫の声を上げて楽しむ人達の声を聞いてか宙はすっかり怯えきってて私にしがみついてくる。それにさっきまで褒めていた空却くんが然り出す。


「いいか宙、男ってのはな。こういう時には泣いちゃいけねぇんだ」
「あーもう、あんまり怖がらせないで」
「分ーってるよ。宙いつまでも実莉に引っ付てちゃ駄目だ」


説教してた厳しい声から優しげなトーンに変えると宙は掴まって私の脚から手を離し頷く。それに満足してる空却くんに私は大事な事を思い出す。十四くんに宙の身長制限通った事を告げておかなくちゃ。十四くんも結構心配そうにしてたから手の空いてる今でも教えてあげられるといいなと思いスマホのカメラアプリを開いて宙の方に向ける。宙は撮られる事にもう慣れてはいるからピースのポーズをしてくれてその撮った写真を早速SNSトークで十四くんに送る。するとほんの数秒で既読がついて十四くんからお祝いの文が届く。そこには「凄いッスね!宙くんおめでとう泣けてくるッス〜。初のビッグサンダー楽しめるといいッスね!」と可愛いスタンプと共にのっていた。それを横から見て空却くんは自分のスマホも取り出す。


「その写真こっちにも寄越せ」
「あ、うん。送ったよ」
「獄にも見せる」
「獄さん?遊園地行く事知ってたの?」
「ったりめぇだろ。獄も宙のこと心配してたからな」


宙を密かに心配してくれてる獄さんを想像する。何だか可愛いなぁナゴヤディビBAT。三人共宙のこと考えててくれてて優しさと温かみが伝わるのよねぇ。風船ガムを膨らましながらスマホを眺めSNSトークで獄さんも直ぐに反応してくれたみたいでニヤける空却くんを見てこっちまで笑ってしまう。


「獄の奴にも十四の奴にも土産買わないとな」
「何がいいかな」
「十四はハロウィングッズって決まってんだ。獄は…菓子でもあげておくか」
「二人にはお世話になってるからね」


「ねー」と宙の小さな両肩に手を置いて宙に話し掛けるとまた近くを駆け抜けて行った段々と近くなるジェットコースターの車体にやっぱり怯えや不安を隠せない宙。私の脚にまたしっかとしがみつく。


「ママー!すっごくはやいよー!」
「そうね~。でも大丈夫よ」
「甘やかすな実莉!男ってのはな男ってのは」
「空却くん声デカいよもう少しトーン落としてよ皆に見られちゃってるし!」


空却くんのよく通った声があまりにも大きかったからか周囲の並んでるお客さんとキャストさんが此方を注目してしまっている。微笑ましそうに笑う人達もいて何だかちょっぴり恥ずかしい様な気にかけてくれて嬉しい感じ。
今日の事波羅夷ファミリーの思い出になったのは間違いない。これから先どんどん宙が大きくなっていってもここでの出来事少しでも思い出してくれたらいいなぁって思ったり。





(24.07.21)


実際の公式様、団体様、会社、人物、商物、場所、組織等とは一切関係御座いません。



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