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クッションに顔をうずめたまま何かブツブツと喋ったり叫んだりしている情緒不安定なFP我がリーダーは今日は特にご機嫌斜め。一体何があったのかなんて今日みたいに愚痴をここ毎日聞かされてれば察し等無くとも理解出来ようもの。読んでいた本が読み終わり新しい本に手を伸ばす。奇怪な行動を取る乱数に帝統も気に掛かってるらしく手の中で転がし遊んでいた二個の赤い賽子を中に宙に上げてまたキャッチし机に手放す。
ソファーにいる彼の元まで行ってその丸まった腰を擽る。乱数はクッションに顔をうずめたままその手から身を捩っている。クッションを解放する気は無いらしい。


「乱数ぁ、いつまで拗ねてんだ〜?」
「ゔー」
「乱数ぁ」


中々話し相手を帝統に移してやらない乱数。コショコショと弄る手を強めるとさすがにこれは堪えたのかやっと顔を上げて擽っていた帝統にクッションを投げつける。キャッチする。


「僕のお得意様がまた持ってかれたのに拗ねずにはいられないって!」
「その乱数の客ばっか狙ってくる奴って誰なんだ?」
「他のデート部員ですよ。紅塚泰雅くんです」


乱数の不機嫌の原因を告白してやると帝統は「あ?」と本気で分かってなかったのか首を傾げる。まさかここからなのか。乱数がどうしてこんなに機嫌が悪いのかは分かっている筈なのに原因の元の名を出した所でその人物が詳しくは理解出来てはいない。これじゃあ乱数の宥め役には向いてない。取り敢えず帝統に教える所までは教えてやろうと「8-Aの」とヒントを出してやる。それでも分からないのか幻太郎と同じクラスか?と聞いては言わずとも分かる所をしょうもなく聞き返してくる。何とも鈍い男である。いやただ単に人の名を覚える気が無いのか。
帝統と話しても意味が無いと思ったようで乱数は本を読んで返事を返している私の側まで寄ってくる。空いてる椅子を引いて隣に腰掛けるとずいと私に顔を接近してくる。


「そいつに言っといて。嫌がらせすんなら部活に直接来いって」
「でえ?!呼んでどーすんだよ。喧嘩とか厄介事は勘弁してくれ」
「帝統に対してじゃないんだからちょっと黙ってて」


完全に帝統はこの話題の仲間外れにされてしまう。何だよと拗ねて帝統は深くソファーに座る。私は隣で見つめかけてくる乱数と目を合わせる。乱数は未だ解決してない問題に不機嫌そうに返答を待ち続けている。仕方の無い。本の頁を捲る。


「宜しいですよ。ですが」
「何」
「これは嫌がらせなのでしょうか?」
「は?」
「嫌がらせにしては乱数に熱烈な視線を送っていると思われるのですが」


乱数が直ぐ側の机の上のクッキー缶からクッキーを取り出して口に入れるが歯に挟んだクッキーが真っ二つに割れる。また「は?」と聞き返してくる。声と目が据わっている。その紅塚くんに向けてデート部としての敵意向き出しな乱数の態度に座っていた腰を上げて帝統は震え上がる仕草を取る。


「怖ぇよ!幻太郎…乱数の奴なんかいつもと違うぜ」
「僕に熱烈って… どういう事?」
「本当に分かってないんですか?」


帝統も分からずでこれにしては唯の知識不足かもしれないが乱数は紅塚くんの本当に伝えたい真意が分かってないようだ。
二つに割れて床に落ちているクッキーを拾っている姿を見下ろして帝統が三秒ルールだぜとか子供っぽい事を言い出している。それに乱数は落ちたクッキーを手に取って何かを考えているのか半欠けのクッキーを見つめている。


「やっぱり僕から言いに行こうかな」
「その方が宜しいかと」


本の文字の羅列から目線を上げて彼を見やると乱数はクッキーの埃を指先で取ってから口に入れた。



(24.07.05)


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