hpmi
長く見続けていたPC画面から目を離して上向くと疲れた目を休ませる為目頭を押さえて解し椅子から立ち上がる。自室から居間へと出ると一兄と二朗のはしゃぐ声がここまで聞こえる。何をそんなに盛り上がってるんだと近寄れば机の上に広げてあるTシャツに二人は興奮しているようだった。そういえば今日は二朗がコミケに行くって言ってた日だったなと思い出す。机の上のアニメプリントされた如何にもな美少女キャラを見てこのアニメなんだっかなと記憶を辿る。二人は嬉しそうだが何より嬉しそうなのは一兄だった。
「すげぇな!これ限定物だよな?!」
「手に入れるの大変だったんだ。皆ルナルナのTシャツ目当てだったから争奪戦だよ」
「よくやったな二朗」
「あの」
二朗を何時も以上に褒めちぎって頭を撫でている本当に嬉々としている一兄。二朗がどこに行ったか分かってはいるが敢えて僕は褒められて鼻高々になってる二朗に行った場所を聞く。二朗は「見りゃ分かんだろ」と一兄に甘えていた声色を変えて僕を見つめ返してくる。何だよ僕を会話の除け者にする気か。
そんな僕の表情から汲み取ってか一兄は微笑しながら二朗の肩を抱く。
「二朗がな。コミケに行ったらしいんだ。そこで最高の戦利品を手に入れてくれてな」
言われてよく見てみると男物サイズのTシャツの他にもコミケでは欠かせない薄い本やシャツと同じキャラのグッズを見てこいつが一兄の
お土産にどれだけお金出費したのかがよく分かる。でも僕が二朗の立場ならやってるかもしれない。ここまでアニメにのめり込めるかは別として。
「二朗はこれが出来るからズルいよな」
「何か言ったか三郎」
「一兄の好感度を上げる為にやっててもこれはカウントされないからな。僕との真剣勝負は…萬屋の仕事成績だ」
「ああ?」
二朗に狡いと一言はっきり言ってしまえば態度には態度でやり返す気なのか少し睨み付けてくる垂れ目。喧嘩するつもりは無かった。けど何時もの流れでどうしてもこうなってしまう。本当は萬屋の仕事での張り合いをしたいんじゃなくてもっと僕は…二人と。
「三郎」
「は、はい!何でしょう一兄」
「ちょっと頼みたい事があるんだが…聞いてくれるか?」
二朗との微妙な空気の中を晴らすような一兄の絶妙なタイミングの一声。もしかして僕の事を気遣ってくれてるのかと期待してしまう。
一兄は二朗が買ってきたTシャツのアニメキャラの紹介の載ってるチラシを僕の目の前に出してくる。
「このキャラの新作アクスタの情報が欲しい。出来れば詳しく」
「はい。任せて下さい!」
チラシを受け取り了承の返事をすればちょっと上擦った声になってしまった。それに二朗は一兄とのやり取りを横で見ながら笑いを堪えている。おい、笑うなって!二朗のくせに!
「これはカウントに入らねぇぞ〜?」
「一兄に頼りにされてればいいんだよ!」
「だよな」
二朗と顔を見合わせてお互い同時に笑みをこぼしてしまう。一兄はそんな僕らを見てアニメ戦利品に囲まれ幸せそうにご機嫌そうに僕等を抱き寄せて「二人共ありがとな」と伝えてくれるのだった。
(24.08.03)
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