hpmi (Ⅱ)


何十年も使っていればガタがくる枕をもうすぐ新しいのにしようと一二三に言われて二人で朝一からホームセンターへと行った。入るなり一二三が一階フロアに展示されてるインテリア家具に興味を示し出し俺の枕がメインじゃなかったのかよと話し掛けても聞いちゃいなくて仕方なく先導するようにエスカレーターの方へと行くと置いてくなよとか何時になくマイペースな一二三を後ろに二階の寝具売り場に行く。並べてある様々なメーカーのベッドを見て座ってみたりマットの弾力を試したりしてみれば一二三が隣の食器コーナーの方に行きたそうにしているのに気付く。


「行ってきていいぞ」
「でも枕」
「枕は俺一人でも選べる」
「ホントかよ。柔らか過ぎる枕とか選びそう」
「自分に合った枕を詳しく調べてもらうから店員さんに相談するよ」


そうこう言ってる間に店員さんが俺達の方へとやって来て「枕をお探しですか」と話し掛けてくる。その店員さんが女性だったらの時の為にジャケットを持ってきていたが男の人のようでジャケットの出番は無く一二三はやってきた店員さんに勧んで説明し始める。


「じゃあ合いそうな枕の型を見るので此処に横になってもらっていいですか」
「はい。一二三」
「何?」
「食器売り場行ってきていいぞ」


近くのベッドに横になると俺を見下ろしている一二三に此処を離れてもいいからと告げておく。一二三は食器売り場を見ると俺に視線を戻して「じゃあ行ってくる」と行きたがってた場所へと移動する。店員さんが型を見る一式を持ってくると横になってる俺の首元を測ったりして質問の受け答えをしながら自分に合った枕を探す。


「硬めの方が良さそうですね」
「そうですか。じゃあ…」
「独歩〜!」
「硬めの枕でも何個が種類があるので」
「独歩!なぁ独歩!」
「枕ってその…」
「独歩!聞いてんのかー!」


俺と店員さんのやり取りの内にちょくちょく一二三の大声が遠くから混じってきて店員さんもやりづらそうに食器コーナーの方へと視線を向けてしまう。俺はすみませんと謝って身体を起き上がらせる。


「一二三!まだやってるからちょっと待てよ!」
「独歩、終わったら此方来て」


ひょこと棚の間から顔を出す笑顔の一二三から目を逸らすと終わったらなと一言また横になる。その俺等のやり取りを一通り見ていたというより見てしまっていた店員さんは小さく笑っていて俺はもう一度謝る。俺が騒いでる訳じゃないが俺の事のようにちょっと恥ずかしくなってきてベッドの上で項垂れると店員さんは笑みながら枕の見本を何個か用意して「お客様に合う良い枕と食器が見つかるといいですね」と言ってくれる。優しい店員さんで良かったなと思い枕選びを再開して順調に枕を選び終えると俺は言葉通り一二三の元へと行く。茶碗を見ていた一二三が俺の方に向く。


「枕どんなのにした?」
「やや硬めだよ」
「そうかぁ。あ、これ見て。これ良くね?」


一二三は手に持ってた茶碗を戻すと食器売り場の中の棚のフォークとスプーンを指差す。それはゴールド色の食器で俺は見て直ぐに拒む。


「良くない」
「何で?」
「食器までゴールドだと落ち着かん」
「どういう意味だよー」
「…とにかくシルバーにしろよ」


隣のシンプルなシルバーのスプーンとフォークを手にして普段は俺の意見を主張すると一二三の意見に添うのだが今回は譲れなかった。一二三は口をとんがらせて自分も意見を曲げない。


「やだ!ゴールド!」
「シルバー」
「ゴールド!」


お互いの意見を曲げないのは一二三と暮らす中で今までに何度があったけどこのままだと喧嘩に発展する可能性がありここで問題は絶対に起こしたくなかった。一二三の真っ直ぐな一二三が選んだ食器のような色の瞳に負けて目を逸らす。


「ゴールドでいいよ」


折れたように半ば投げやりに呟く俺に一二三は黙ってしまうが持ってたゴールドの食器を元に戻す。そして俺が選んだシルバーの方を手にする。その行動に少し戸惑う。


「一二三の好きなやつでいい」
「独歩とご飯食べるやつなんだから独歩が選んだやつがいい」


眩しく笑う一二三に俺はそれ以上一二三以上の言葉が出なくて俺の意見に合わせてくれた一二三の優しさに嬉しくなって互いに笑い合った。



(26.01.06)





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