hpmi (Ⅱ)
今朝はすっきり起きれなかった。一二三に起こしてもらって何とか起きて朝飯抜きで家から出ようとしたらちゃんと食えって怒鳴られてこれじゃあ結局遅れるなと駅に着いた頃には人が集まっていた。何があったんだろうと案内板を見ると遅延しているそうで、おいおいお前もかよなんて携帯を取り出し遅延情報を調べようと思ったら隣に来た若いサラリーマンっぽい青年が「四十分くらい程だそうだよ」と教えてくれる。誰だろう親切に教えてくれたのはと見ると小学校時の同級生だった明日矢くんだった。明日矢くんとまさか居合わせると思わなくて二度見してしまうと明日矢くんは笑って同窓会以来だねと話す。
「何年ぶりだ…凄い久し振りに思える」
「時間過ぎるの早いよね。確か五年くらい?」
「そのくらいか…随分だなぁ」
駆けて来たからか秋冬頃なのに汗がどっと出てきて額をハンカチで拭う。その動作で慌てて駅に滑り込んで来た明日矢くんに気付かれて苦笑いで誤魔化す。
「まさか朝から遅れて遅延とか思ってた矢先に電車が動いてないって…変に慌てて損したよ」
「でも他人事じゃないよ。なんかさっきまで騒動だったみたいだから」
「え。そうだったのか。…でも俺にとっては課長に後で大目玉食らう方が困るな」
自分でも驚くくらい真剣に悩み事を口に出してしまえば明日矢くんはちょっと可笑しそうに笑っている。すると駅構内のアナウンスがかかる。もうすぐ出発出来るようだった。明日矢くんの隣に高身長の男性が寄って押されて俺との距離が近くなると少し甘い匂いがする。明日矢くんがガムを噛んでるようでその甘い匂いだというのが何となく分かった。
「また会おうよ。メルアド変わってる?」
「えと…」
「あ、一二三くん元気?」
ハッと思い出したような明日矢くんの表情の後に一二三の名が出てくると多分聞かれるだろうなとは思っていたから頷いて「元気元気」と言葉を返す。
「仕事が順調過ぎて…ナイトフィーバーしてるというか」
「ナイトフィーバー?」
「違う違う!そういう意味じゃなくて…あれ間違ってないのか、何だ俺、何言ってんだ」
さっきから何に慌てて俺は色々と誤魔化しまくっているんだと自分で自分が分からなくなってくると明日矢くんは特に俺の挙動不審振りに驚いた様子は無くまた何かを思い出したように小さく短く声をこぼして次は麻天狼やラップ関係の事を聞いてくる。その会話中にも二人、メルアドの交換をする。
「麻天狼って一度優勝したんだよね。おめでとう」
「有難う…もう一年も経つけどな」
「あ、送れた。サムネイルアイコンとかカッコいいな」
「これ麻天狼のロゴの俺用のバージョンなんだよ。贅沢だよな先生と一二三が作ってくれたんだ」
二人で何気無しにSNSメールのプロフ画面を見ているとピコンと着信音が鳴って一二三から連絡がくる。どうやら緊急事態発生で昼食の弁当を忘れたらしい。
「やべ、弁当忘れてきた!」
「弁当?え?もしかして…」
「あ、いやそういう理由じゃないよ?!俺はやましい事は何もしてないって、何言ってんだよ俺やべぇ!」
完全に何時もの独り言モードに入ってる頭抱えてる俺に明日矢くんはここでも特に驚いた様子も無く笑む。この子顔に出ないタイプだからあまり読めないんだよな。クールっていうか。
「朝からごめん」
「なんか二人が変わらず仲良くしてるんだなぁと思って」
「今度遊びに来る?」
「え、でも一二三くん気にしちゃうでしょ。きっと」
「一二三なぁ…そうだな一二三には今度ちゃんと話してから会った方がいいかもな」
一二三に明日矢くんの話をしたらどんな反応されるかなと思い、特に一二三と明日矢くんが仲悪かった訳でも無かったし多分大丈夫だとは思うとだけ言っておくと電車がホームに入って来る。車扉が開き中に雪崩れるように入って行く先頭の人達。けど明日矢くんは乗らないのか後退していく。
「え。乗らないのか?」
「はい。次くらいに乗ろうと思って。…ちょっと俺も会社に行く時間調整したいんで」
「?じゃあ、また何かあったら」
「うん。一二三くんに宜しく」
扉が閉まると車扉窓から明日矢くんの手を振ってる姿が見えて俺は満員電車の中でさっきまで隣で漂っていたガムの甘い匂いを思い出す。もしかして乗る時間を調整って何かあったのかなと思ってしまうがサラリーマンが大変なのは何処も同じなのだなと窓から流れる都会の景色を眺めながらふと思う。帰ったら一二三に今日の出来事と明日矢くんの話をしようと思った。
(25.12.06)
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