hpmi (Ⅱ)
三ヶ月前くらいにナゴヤのインタビューの時にナゴヤのご当地グッズをデザインして作っているという企画者の男性に話し掛けられた。話し掛けられたのは獄さんで聞けばBATもグッズ企画に参加しないかというものでその日に旅先でよく見かける近場の道の駅の一つに車を出してもらいそこへ行ってどんな物を企画して店に出しているのか完成品を見せてもらった。どれもお菓子の品名のネーミングセンスとかパッケージデザインなんかも可愛らしく菓子自体のデザインもよく考えられていて到底ここまでの物を簡単には出来ないだろうなと思った。でもナゴヤディビジョンのBATだからこそ出せる味があるとその男性は言ってくれてそれに機嫌を良くしたのか空却さんがデザイン作りにリーダーとして了承をしたのだ。
当日になって教えてもらったデザイン会社にやって来ると作る企画は菓子土産かと思っていたのがまさかのストラップだった。企画のデザインに必ず必要になのは「ナゴヤ」というテーマを入れる事でそれをふまえて考えるのなら何でも良いとの事だった。その説明を聞いて他の人の作品も見せてもらった後、俺達はまた二ヶ月後デザインを各々考えて持ってやって来ると獄さんは手に何もなくてどうしても仕事が忙しくて企画者に来る前に電話で予め言っていて断念したようだった。
そうして会社内へと特別に通してもらい、企画室でデスク前でデザインを見てもらう今に至っている。
「うーん。空却くんのナゴヤ城と鳥だけど…ちょっと城のデザインが曖昧かな」
「……」
「あ、いや。悪いとは言ってないよ?でも何と何をデザイン性に組み込むかでガラリと変わってくるから」
男性はバッサリと空却さんの描いたデザインを却下すると空却さんのデザイン紙をデスクの上に置いて今度は俺のデザインを見てくれるようだった。俺は鞄からタブレットを出すとそれで作成したデザインを見せる。その行動に驚いていたのは獄さんと空却さんだった。
「うん、いい。金シャチと猫をデザインも良いし何より金シャチが良い」
「あ、有難う御座います!」
「へぇ…プロ顔負けだよ。凄いね、カラーバリエーションも良いしデザインと色使いも繊細で」
何だか褒めちぎってくる企画者の人に俺は隣からの視線が少し痛くてその方をチラと見て謝ろうとするけどその代わりに視線を逸らされる。表情に出さないようにして笑顔でいると企画者の人は俺のデザインを見て顎に添えてた手を自身の珈琲マグへと持っていくと一口飲み有難うとタブレットを返す。
「この金シャチ猫のデザインを是非とも採用したいよ」
「……」
「あ…空却くんのも良かったよ。うん」
空却さんの気難しい顔を見て企画者の人と察したのか慌ててフォローしようとするけど空却さんとしては嘘ついてまで褒めてもらいたくなかったようで「十四のでいく」と出してもらった茶菓子の一つを食べて賛成してくれる。
そして次のステップの段階に進んでデザインの考案の後は商品化する次の詳しい段取りとかの説明があるようだったけど獄さんが仕事の時間オーバーで仕方なくそのまま事務所に戻って行ってしまった。
それから一時間程企画の話をして大体これからの流れが分かってきた所で俺達はそろそろお暇する事にしようと一言言って席を立とうとする。けれど部屋を出ようと扉に手をかけると待ち構えていたように女性が資料を持って「BATの方ですか」と聞いてくる。
「あの、良かったらフード企画のデザインも考えてみませんか?さっきの十四くんが作ったの凄い良かったので」
どのタイミングで俺のデザインを見たのか不思議に思ってしまうがどうやらストラップ企画者の男性とさっき男性のタブレットにデータの転送して渡した後にそのデータをPC上にアップしそれを見られてしまったようだった。それに俺はどう答えていいか迷っていると空却さんが「機会があったらな」とはっきりと断る。俺の手を引いて企画室から出ると会社を離れて少しして手を離されお互い無言になって気まずい雰囲気になってしまう。
「金シャチの猫の色違いサンプルを見にまた来る時は獄はきっと行けねぇなぁ」
「え…どうして」
「アイツ、仕事増やしたんだよ。めちゃクソ忙しいんだってよ」
顳かみを掻きながらガムを噛み出す空却さんに獄さんまた仕事で倒れたりとかしないかなとか考えてしまう。
「つか十四、デジタル画描けたんだな」
「え?あ…はい。学校に行けてない間はずっとこもって絵描いてたんです」
成る程なと空却さんは特に俺が採用されたのに怒った様子じゃなかった。もしかして俺がタブレットを出した瞬間から勝ち目とか、そんな事を考えていたのかもしれない。
「まあ獄には俺からサンプル出来たら伝えとく。あまり獄の事気にしてしょっちゅうメールとかすんなよ」
「……そう、ですよね」
こういう所でもはっきりと思った事を言うのは空却さんらしかった。でもそういう所は包み隠さずで友達として付き合いやすく感じる。獄さんも空却さんも全てを話す訳じゃないけどそれとなくでもちゃんと傍にいてくれるって思う。
「(ああ、それでも)」
獄さんにずっとメール送れないのは見てもらえないのは辛いかなって思ってしまう。そしてどうか仕事で忙しい獄さんも冬にも修業がある空却さんも無理し過ぎないようにって。
その俺の表情を読み取ったのか空却さんが「でもクリスマスには何か話しておけよ」って言ってくれる。クリスマスに仕事の邪魔はしたくないけど少しでも俺の想いが伝わりますようにって願うに尽きなかった。
(25.12.04)
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