hpmi (Ⅱ)
過ごしやすい季節になったからと湊に理鶯のキャンプ場に集合するようにメールをMTCメンバーに一斉送信されその日程に合わせて時間を作って久し振りに向かう。途中山道で視界に銃兎を見つけ話し掛けて二人でキャンプ場に行けば湊は既に来ていて理鶯と一緒に珈琲を飲んで一息ついていた。
「で。呼んだのは何か理由があんのか」
「見て下さい」
「あ?」
「この綺麗な赤と黄色のコントラスト!」
湊は簡易椅子から立ち上がると手を大きく広げて近くの木々を見るよう促してくる。当たり前のように思っていた木だが今は秋で鮮やかに色付いて衣替えしている。つまりはこの景色を見せにわざわざ呼んだという事か。俺は木々を見上げて秋の良さを伝えようとしている湊の横に来て椅子に座って珈琲を飲んでる理鶯から自分の分も作るよう言うと「聞いてるんですか」と叱られる。
「あー聞いてる」
「どうしてこの美しさが分からないんですか。ほら、もっとよく見て」
「わーったから、珈琲飲ませろ」
「珈琲は後です。今は森巡りに行きますよ。理鶯さん、紅葉のベストポイントに連れて行って下さい」
「了解した。左馬刻、銃兎行くぞ」
理鶯も湊側に移ってしまって仕方なく珈琲はおあずけで銃兎の腕を掴んで引いて四人で森の散策に出掛ける。いつも理鶯は通っているであろういつ猪やらが出てもおかしくないというか確実に出る獣道を歩くこと五分。湊は立ち止まってしゃがむと下に落ちてるドングリと松ぼっくりを拾い袋に入れ出す。
「ガキかよ」
「…だがこの見事な紅葉、映えるな」
ドングリを拾ってる湊の隣で銃兎が掌を開いてヒラヒラと舞い落ちてくる紅葉を見上げながら呟く。俺としては紅葉もそうちゃっそうだがこの男の方が映えるような気がしている。その横顔を見て呑気に袋の中を見ている湊の肩に手を乗せて笑んで耳打ちする。
「湊、此奴の写真高値になるぜ」
「さり気なく問題発言したな左馬刻」
「それはそうと…」
「それはそうとって何だ」
「どっかに胡桃とかナッツ系落ちてねぇか?酒のつまみになる」
近くの木々の上の子リスを見ていた理鶯が「それなら此方だ」と言って先導して歩き出し方向転換して落ち葉の赤い絨毯の上を歩き出す。枯れ葉を踏む音と鳥の囀りが良いサウンドになってチルでしかない空間を進んで行くと湊が何かを見つける。茸だ。しゃがんでそれを取ろうとする湊。だが理鶯がその視界に手を出して制する。
「それは毒性がある」
「?そうなんですか」
「定番フレーズだな」
「此方の方が良いだろう」
理鶯の指先が隣の木の茸を指差す。紫の白い斑点のある茸だ。
「明らか此方の方が良いだろが!」
「何故だ。森の中なら何でも知っている」
「茸チョイス狂ってんだろ!」
必死に自分の意見を通そうとすると湊はしゃがんだまま赤茶の茸と紫の茸の方を交互に見て頷く。
「どっちも持ってこ」
「やめろ」
「小官の言う通りにしておくといい。此方が安全だ」
「安全に保障はあるのですか。憶測で考えていませんか。幾ら森を熟知している理鶯でも茸と獣狩りとは訳が違う。大人しく得体の知れない方を手放し…」
「今検索かけたら此方はラブパープルって名前だそうです」
「絶対やめろ」
スマホで高速検索かけた湊がニコニコと楽し気に笑っているのを見てこれ以上続けても埒が明かないと腕を掴んで無理矢理立ち上がらせる。湊はポケットにスマホをしまうと上から降ってきた紅葉をキャッチしてそれを見つめて「じゃあ」と何かを思い付いたように声に出す。
「これでMTCに押し葉にしてファンレター送ります」
「…湊とは何時でも話せんだろ」
湊が俺の方に振り返る。そしてはにかんで笑むと紅葉をハンカチに包んで木の上を器用に走り回るリスの親子を見上げる。
「四十枚」
「いらねぇよ!そんなに一度に送ったら迷惑メールに入っちまうだろが!」
声を荒らげて叱ると湊ははしゃぎながら冗談ですよと見えてきた胡桃の木の方に駆け出す。それに銃兎は呆れたように笑んで「お前らといると危険視を通り越してチームの弱みが出来まくりだな」と言うのだった。確かに気苦労が耐えない。
(25.10.05)
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