hpmi (Ⅱ)
日光が照り付ける真夏の八月中旬。今日はFPで集まって次のラップバトルの作戦会議をしようと決めていたのにこういう時に限って帝統が中々来ない。何度眺めたか分からない時計を見て沈黙を割って「帝統遅いね」なんて口に出してしまえば部屋の空気は更に不安で満たされるばかり。
そんな時だ。事務所の扉に何か当たる音を聞いて帝統が来たのかと思ってつけようとしていたテレビのチャンネルを置いて扉先に向かい開けると扉下には蹲ってる帝統の姿。何だか顔が真っ赤で息切れしている。
「幻太郎、帝統いた!」
「中へ!」
***
暫く気を失っていた帝統の瞳がゆっくりと開く。まだ覚束ない視界でボクらを捉えると起き上がって頭の上に乗せてた水袋が落ちる。
「俺…生きてる?」
「そのようですね」
「良かったぁ帝統ー。今日は猛暑日だから早めに来てねって言ったでしょ」
まだクラクラするのか頭を押さえて小さく振って目を瞬かせる帝統に過去を振り返っても仕方ないと何故こんな状況になったのかを聞こうとする。けど帝統は目を合わせて口を開き話し出す。
「この前、世話になった情報屋グループの借金取りに追われてたんだよ。参ったぜ」
「こんな暑い中…」
帝統のサバイバルかつデンジャーな日々は真夏でも健在のようだった。喉が枯れてガラガラ声になってる帝統に気付いて幻太郎がすかさず台所からコップに注いだ水を持って来る。それを一気飲みして口元を手の甲で拭う仕草。生き返ると呑気に紡ぐ命知らずな男。
「ねぇ帝統、夏と冬の間はボクの家にいなよ」
さっきの瀕死状態の帝統を見てこのままじゃいけないかなと思って聞いてみる。帝統は苦笑いして空のコップをテーブルに置く。
「お前らに迷惑掛かるだろ」
「もう掛けてるよ」
ボクの率直な言葉に帝統は苦笑いから更に乾いた笑いに変える。その表情を見て何だか少し同情してしまって可哀想になってきて、ボクは帝統に身体を詰めると自身の膝の上をポンポンと触れて膝枕に誘う。
帝統の頭がボクの膝の上に乗る。そして乗せて何秒もしないうちに口元がニヤついて「ここは天国か」と呟く。それに台所で事を聞いて見ていた幻太郎がやって来て手に持ってたミニペットボトルを帝統の腹の上に落とす。
「ぐえ」
「炎天下の日に賭場で借金なんて死に方するもんじゃないですよ」
「まだ死んでねぇって」
目を細めて呆れた声で話す幻太郎に帝統はそんな顔すんなよと苦笑いする。ボクは帝統の長い前髪を梳いてあげる。
「頑張ったね帝統」
「ここは天国か」
幻太郎のもう片方の手にあった新しい水袋が帝統の顔面に落ちる。冷てぇと笑う帝統に溜息をつく幻太郎。
「いいですか。乱数も私も今日は次のラップバトルの作戦をする為に来たんです」
「お、そうか。じゃあやろうぜ」
「駄目だよ帝統、まだ寝てないとさぁ」
「そうですよ。なので路線変更して私は締切前の原稿、乱数は仕上げのデザインをすると決めたんですよ」
「俺が寝てる間に?」
うんうんと頷くボクと幻太郎に帝統は「それはご苦労なこって」と言い、その態度に幻太郎の手が顔上の水袋を顔前にまた戻して冷てぇと水袋越しに叫ぶ嗄れた声。
帝統のやり取りもこれくらいにするのか部屋から去って行く幻太郎。二人きりになった室内で膝枕しているボクとされてる帝統だけの世界になる。
それに帝統は頭を撫でているボクを見上げて自分の事しなくていいのかと聞くけどボクはそれに「今はまだこうしてるよ」と答えるのだった。
(25.09.24)
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