hpmi (Ⅱ)


シブヤのブッフェで人気の店では今のシーズンはアリスをテーマにした飾り付けや料理になっているようだった。その店に行ってみようかと朝から幻太郎と帝統と調査する気満々になっていれば店前で寂雷が女の人と話しているのを見掛ける。それを隠れて様子を見ていると二人は店内に入って行く。え、まさか寂雷がこういう店に入る?と意外に驚いてしまい立ち尽くして受付から会場へと行く二人の背を見て隣で事を同じく見ていた幻太郎と帝統の腕を引いてボク達も入店する。
中の内装は思ったより凝っていて所々に青と白、黒を基調としたアリスのモチーフや飾りや置物が点在している。幻太郎はスマホでそれらを撮っていて後でボク達にも送ると言うが今はそれ所じゃない。テラス席をとった寂雷と女の人の二人が話しながら仲良くケーキがメインのデザートを皿に取り分けているのを見てボク達も二人とは離れた位置からケーキ制覇を目指す。
それなりにデザートを取って席に戻ると寂雷達は既にテラス席に戻っていて会話をしながら様々な種類のケーキを食べている。それはボクらもそう。帝統なんか奢って貰うのを前提で山盛りのケーキを取ってきたしそれが消化されていくのを隣にテラス席の二人を頬杖ついて眺める。


「乱数、頬杖つくのはやめなさい」
「…女の人誰だろうな」
「食べないのですか。せっかく来たのに」
「食べるよ。でもさぁ」


一枚の皿の上のデザートがペロリと帝統に平らげられて一旦席を離れて直ぐに戻ってきた帝統が隣席に座る。


「ケーキ追加されてたぜ…って怖ぇな」
「乱数。そんな不満そうな目をするんじゃありません」
「そうだけど…」
「宜しいですか。我々は此処で騒動を起こす訳にはいかないんですよ」
「ボクがそういう事する奴に見える?」


此方を見ている帝統と幻太郎と目を合わせると二人は肩を竦めて笑ってみせる。


「見えなくもない」
「もー!ケーキ取りに行くよ」
「自分で取りに行けよ。俺は今取ってきた」


涼しい表情をしてケーキを食べ始める帝統。テラス席を見る。丁度寂雷が席を立ってボクもそれに合わせてデザートを取りに行く。寂雷は直ぐにボクがここにいるのに気付いたようで林檎のケーキを取っているボクの使用しているトングを次貸してくれとさり気なく話し掛けてきたのが始まりでお互いに認識し合う。


「寂雷さ、甘いのあんまり好きじゃないのに何でわざわざ来たの?」
「甘いのが嫌いなわけじゃない」
「はいはい。ドーナツね。つか甘納豆食べてればいいじゃん、家で」
「仕事先の知人なんです。どうしても外せない人なんですよ」


ミニドーナツを一つ取ると寂雷のトレイの上の抹茶ムースの横に乗せようとする。寂雷はそれから避けてトレイを遠ざけて拒まれる。


「…まあいいや。女の人のご機嫌取りが終わったら構ってもらうから」
「誰がですか」
「寂雷が。ボクに」


自分でも素なのか分からない声が出てそれにびっくりしてしまっている近くの女子がボクから離れていく。寂雷は林檎のケーキをトレイに乗せて「FPのメンバーで来ましたか」と聞いてくる。


「帝統と幻太郎ね。うん」
「お騒がせしてしまって申し訳ありませんでしたと伝えて下さい」
「それはボクの?それとも寂雷?」


寂雷から溜息が出る。ボクのトレイの上の大量のケーキを見てカロリーオーバーだと指摘してくる。それから身を翻して自席に戻って来る。帝統はまた一皿分食べ切ったようで店側としては大損してしまうなと思った。それでも帝統はボクの皿の上のケーキをまだ食べ進める。


「仲直りしましたか」
「…どうだろうね」


アリスのモチーフを撮ったのを見ている幻太郎が意味深な笑みを向けてくる。帝統もフォーク手に此方を見ていてもしかしてさっきからボクと寂雷の事気にしてくれていたのかもなと何となくだが察する。テラス席の微笑み合う寂雷と女の人を見てテーブルに頬杖をつく。


「頬杖はやめなさい」
「はぁい」




(25.09.19)



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