hpmi (Ⅱ)
*マジック知らない人が書いたので描写がおかしな所があるかもしれません。
シブヤにある喫茶店の一つにマジックをこよなく愛する者が集う店があると乱数から聞いて行ってみればよく街中で乱数に会ってはナンパしている男、泰雅がオーナーだった。そいつは俺が訪れるなりカウンター席で腰掛けて何か雑誌のようなものを読んでいたのを止めて「ようこそ」と嫌味な笑顔を向けてくる。乱数は予め来る事を教えていたらしくその中に俺と幻太郎も連れて来ると言っていたかは分からないが俺はとにかく此奴が気に食わない。何故なら乱数に好意を持つ男の一人だがその好意の向け方が胡散臭くて厭らしいからだ。
マジックカフェと呼ばれるこの店はお茶をしながらマジックを楽しむ交流の場らしくオーナーをやっているというのだからどれくらいマジックが出来るかお手並み拝見しようとカウンター席に誘われるままつけば泰雅はシャッフルしてあるトランプカードを綺麗に扇状に並べて俺に一枚選ばせる。それがハートのキングだと後方にいる乱数と幻太郎に見せて何を引いたか分からないであろう泰雅にカードを見えないように山札の中に戻すと泰雅は念入りにカードをシャッフルし出す。
「帝統くんが引いたカードと、その属性と同じカードを三枚出してみせます」
「え…そんなの出来るの?」
また扇状にテーブルの上にカードが裏返しで広げられると泰雅はその中から一枚引く。スペードのキング。俺が引いたのはハートのキング。共通点といえばキングになるだろうがまさかキングを全て出してみせるという事だろうか。また一枚捲る。次はクローバー。そしてダイヤ。ここまで間違えずに順調に引けているが最後の最後にハートのキングを出してくるいう事か。泰雅は自身の指先をチラつかせるとパチと大きく指を鳴らす。そして俺の上着のポケットを指差す。もしかしてと嫌な予感がしてポケットの中に手を入れると中にはカードがありハートのキングだった。
「で?マジック伝授してくれって?」
「…どんなイカサマしたらこんなの」
「トリックな」
説明しながらカードを一つに纏めて俺からハートのキングを受け取るとシャッフルして札を丁寧に纏めて置くと珈琲を淹れるのに一旦気を向け始めて三人分の珈琲を用意し出す。俺はカードの札を持ち上げて表裏を見る。タネも仕掛けもって言うがまさにそうで。
三人分の珈琲をカップに注ぎ終えると乱数に差し出してる時に何かまたマジックをやるのかまたさっきのように人差し指をチラつかせてそこからパッと一輪の薔薇の花の飾りが出てくる。
「どうぞ、キングキャンディ」
「やってらんねぇ」
「帝統、マジックを覚えて披露してくれるというのは?」
「こんなの出来るわけねぇだろ。イカサマ」
不貞腐れながら珈琲に口をつけずに側に添えてあるビスケットをボリボリと食べる。その態度を見て幻太郎は珈琲飲みながら「お止めなさい自分が出来ないからと」と余計な一言を言ってくる。服についたビスケットの欠片をはらってテーブルに肘をつく。
「こうなったらカッコいいシャッフルの仕方だけ覚えて帰ってやる」
さっきまで弄ばれていたカードの札を纏めて持ち上げて泰雅の前に置く。真正面から睨み据える俺に泰雅は肩を竦めて乱数は「挑発しちゃってるよ駄目なパターンだね」と言っている。
「それよりさ、さっきの珈琲のフレーバーどうだった?」
「多分ベリー系でしょ」
「ブルーベリーな」
完全にスルーである。教えるも何も此奴、乱数に鼻の下伸ばしてるだけでまるで俺は此奴にとって付属のような扱いだ。潰れた様な声を上げて髪を掻き乱すと幻太郎がまたも注意してくる。
「ティータイムの時は大声を出さないで下さい」
「くそおぉ」
一人でやってやると泰雅を真似してシャッフルしてみるがこれがまた上手くいかない。それに泰雅は頬杖をついて馬鹿にしたように笑みを浮かべて俺の不器用な手元を見つめている。そうして乱数と幻太郎に用意していたのかケーキを差し出す。
「帝統くんをマジシャンに仕立てるなら乱数くんには毎日通ってもらわないと」
「これ以上此奴に馴れ馴れしくしてんじゃねぇよ」
「帝統、宣戦布告してもきっと勝てないよ」
「マジックで駄目ならマイクで勝負だ。イカサマ無しの真剣勝負だぜ」
マイクを取り出して見せると幻太郎と乱数はやれやれと呆れた表情を浮かべてくる。マジックとマイクでは次元が違うのは分かっているがここまでこてんぱんにされて悔しくて仕方なかった。それを哀れにも思ったのか乱数は「帝統」と一声上げる。
「取り敢えずボク達がケーキ食べ終わるまでいい子で待ってて。メッ!」
泰雅は俺等のやり取りを傍観して口元を押さえて笑いを堪えている。…まあ、俺は此奴の事全体的に苦手だって事も分かっただけでも得した気分にはなったって事だろうな。
(25.08.02)
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