第06話 守るべき者との契約
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契約が交されてから2日後、イリヤの体調も大丈夫と言う事で俺達は眞王廟に来ていた。
本当は一人で馬に乗れるイリヤを無理やり自分の愛馬に乗せたコンラッドはいつも以上にイリヤの身体をいやらしい手付きで撫でていた。
神聖なる眞王廟に行くにも関わらずコンラッドがこんな行動に出たのは、イリヤが何処へ行くにも欠かさず連れ歩くメイドイン・グウェンダル産のピエール2号の存在と村田から眞王廟は女人しか居ないと聞かされた時にイリヤが口にした言葉の所為だった。
李「おーv パラダイスだな♪」
この言葉がコンラッドの嫉妬心に油を注ぎ火を点けた。
男子校のむっさい場所から思えば女人だらけの眞王廟は天国の様な場所だ。
村田から話を聞いて目をキラキラさせたイリヤはやっぱり男の子だ。きっとイリヤ好みの巨乳で美乳な子がいることだろう…。
イリヤの男として当然の反応に俺としては賛同したいところだが、俺達は機嫌をそこねたコンラッドの黒魔術とも言えるオーラに普段の眞王廟までの道のりがえらく長いものに感じられ眞王廟に近付くにつれコンラッドの機嫌が悪くなるのでそれどころではなかった。
いつもよりきつく腰に回されたその腕はピエール2号を抱きかかえるイリヤの腕ごとコンラッドが抱きかかえていたのでピエール2号もずっと苦しそうに顔を歪めたまま眞王廟に着いた。
李「へぇ…此処が眞王廟か」
ギ「はい」
村「普段、僕がこっちの世界に居る時は此処に寝泊りしてるんだ」
李「ふぅん」
ギ「おや?陛下、どうされました?久し振りの乗馬でお疲れですか?ん?何ですグウェンダルやヴォルフラムまでそのようなだらしない顔を!ヨザック貴方もですか!?」
「「「「…………」」」」
村田と一緒に馬車に乗っていたギュンターは此処までの道のりに俺達に何があったのかも知らずにぐったりする俺達を見てくどくどと説教を始めた。
ギ「これから眞王陛下に御会いするというのに何と嘆かわしい。さ、陛下、シャキッとして下さい。シャキッと!」
有「解ってるよギュンター…俺達に追い討ちを掛けないで…(泣)」
あぁ…俺も馬車に乗れば良かった…。
中に入ると女性の兵士さん達を見てイリヤが『おー♪』と言って拍手した。
イリヤ、やめてくれ…それ以上コンラッドを刺激しないでくれ…。
一番奥の扉が開かれると、そこにはウルリーケが待っていた。
ウ「お久し振りです陛下」
有「久し振りウルリーケ!」
俺に挨拶を済ませたウルリーケは俺の後ろに居たイリヤを見た。
ウ「初めまして聖下、私は巫女のウルリーケと申します。どうぞウルリーケとお呼び下さい」
李「初めまして、俺の事はイリヤと呼んでくれ」
ウ「はい。イリヤ様、この度は眞魔国との御契約を交わして戴き有難うございます。我ら巫女達も貴方様を歓迎致します」
李「ありがとう」
ウ「眞王陛下がお待ちです。此方へどうぞ」
そう言うとウルリーケは眞王が居る部屋へと入っていった。
俺達もその後へ続き中へと入る。部屋の中は相変わらず薄暗く滝のように流れる水の音だけが部屋に響いていた。
俺が眞王の姿を見たのは宗主との戦いが終わったあの時だけで、それ以降は以前と変わらずウルリーケを通して会話しか出来ない。
今も本当は目の前に居るであろう眞王の姿は俺には見えない。魔族の中で眞王の姿が見え、声を聞けるのはウルリーケの他に大賢者の村田だけだ。
イリヤがウルリーケに案内され部屋の真ん中辺りで足を止めた。コンラッド達は後ろの壁際に立ち、俺は村田と一緒にウルリーケ愛用の水晶の前に居た。
イリヤは真っ直ぐに滝を見つめていたが、ふと後ろを振り返りヴォルフラムに声を掛けた。
李「ヴォルフ、お前にそっくりだな!」
ヴ「え?」
「「「「「Σ!?」」」」」
李「眞王だよ、瞳の色は違うがお前にそっくりだ!良かったなユーリ、ヴォルフは将来いい男になるぞ!」
有「……それ、どの辺を喜んでいいのか解んねぇよ!てか、イリヤ見えてるの!?」
李「見えてるよ?」
ウ「眞王陛下の御姿が御見えになるとは…」
村「…………」
眞『私の姿が見えるとは…』
李「そんなに驚く事なのか?」
眞『大賢者と巫女だけだ他の者には私の姿は見えないからな』
李「ふぅん…」
眞『大賢者から聞いてはいたが…本当に双白銀だな…美しい色だ』
李「お前の事も聞いてるよ、またこの土地に戻ってこれたと喜んでいたぞ」
眞『地の精霊か…』
李「あぁ」
眞『精霊使いよ』
李「イリヤでいい」
眞『イリヤ…我が眞魔国との契約有難く思うぞ』
イリヤが滝に向かって何やら独り言の様に話し始めた。きっと眞王と会話しているんだろうけど…
眞王の声が聞こえない俺にはイリヤが話している光景がちょっと異様に見える。
初めのうちはイリヤも声に出して会話していたが途中からテレパシーでも使っているのか無言で滝に身振り素振りだけを見せていた。30分位だったろうか、イリヤと眞王の話が終わったのが解った。
最後にイリヤが眞王に『解った。ありがとう…』と言ったのが聞こえたからだ。
無意識だったのか、暫く無言の会話が続いていたのにその最後の言葉だけは声に出ていた。
イリヤは俺達の側まで歩いて来ると村田の前で足を止めた。
李「村田」
イリヤが村田の名前を呼ぶと村田は黙って頷いた。まるで長年連れ添った夫婦みたいだなお前等…
“アンタ”“アイヨ”ってな感じだ。その光景をぼーっと見ていた俺の手を村田が急に引っ張った。
村「んじゃ渋谷、僕達はそろそろ行こうか♪」
有「え?行くって何処へ?」
村「何処って、嫌だな~地球だよ♪」
有「え…?」
何で今?とか思った瞬間、俺は無様にもバナナの皮も何もない床でコントの様に足を滑らせ眞王廟に流れる滝の中に落ちてそのままスタツアしてしまった。
嘘だろ村田ぁぁぁ!?
だってこれからだろ!?これからやっとイリヤの案内が出来るのにぃぃぃ~っ!!
李「頼んだぞ…村田」
2人が消えた水面を見つめイリヤは小さく呟いた。
李「ではウルリーケ、後は頼んだぞ」
ウ「はい聖下、陛下が戻られるまでモルギフは眞王陛下の下で清めさせて戴きます」
李「あぁ、宜しくな」
ウ「はい」
イリヤは踵を返し壁際に立つ魔族に微笑んだ。
李「皆、帰るぞ」
イリヤの言葉に全員が頬を緩めた。
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