第06話 守るべき者との契約
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
コンラートSide ―――――
イリヤを自室のベッドへ寝かせ、コンラートは不安げな面持ちで婚約者の額を撫でていた。
身体から出ていた光は治まり、今は静かに一定のリズムで呼吸し眠るイリヤに少し安堵しながらも、いつも自分を映す美しいその瞳が今は閉じられている事がコンラートをイリヤの側から離す事はなかった。
あれから2時間ほど経つがまだグウェンダルからの報告が来ない。今も陛下達はあの部屋でイリヤについて色々と聞いているのだろう…俺が、俺達が知らないイリヤについてとても気にはなるが、今はイリヤの側を離れたくない。
何故だろう…イリヤは眞魔国との契約も交わし、これからは晴れて婚約者として一緒に居られるのに今の俺はイリヤが消えてしまいそうでとても怖い。
もう大切な人は二度と失いたくない。ジュリアとはまた違う感情で俺はイリヤを愛し始めている。
その気持ちはもう引き返す事の出来ない感情だ。
何の力も持たない俺に彼を守る力があるかどうかなんて解らないが出来る限りの事をしたい。
コンラートが考え込んでいると繋がれた手に力が加えられた。
李「……ん……コ…ラート…」
コ「イリヤ?」
自分の名を呼んだ婚約者に呼び掛けるがその目が開く事はなく代わりに一筋の滴が零れ落ちた。
何故、イリヤは泣いているのだろう…
夢の中の俺は彼を困らせているのだろうか?
今度はコンラートが繋いだ手にギュッと力を込めた。
コ「イリヤ…愛してる」
イリヤの頬に流れる涙を拭いながら額にそっと口付けると部屋の扉が開かれた。
ユーリSide ――――――
精霊の話を聞き終えた俺達は、自分達の顔がイリヤの前に出れない状態だったので暫く目の腫れと顔の曇りが消えるまでコンラッドの部屋に行く事が出来なかった。
精霊が抜けたピエール2号は、ただの編みぐるみに戻りグウェンダルの腕に抱かれていた。
暫く経ってから全員でコンラッドの部屋へ向かい扉を開けたら丁度、コンラッドが眠るイリヤにキスしていた…。
有「…………」
「「「「「…………」」」」」
美しく眠るイリヤはまるで童話に出てくる眠り姫の様で、コンラッドは姫の眠りを覚ます王子様だった。
その光景に魔族一同は暫く固まり、コンラッドも突然入って来た俺達にビックリしていた。
そりゃ~ノックもせずに入った俺達が悪いけど…ビックリした後に何もそんな邪魔しやがってみたいな顔しなくても…υ
てかさ、何でコンラッドの部屋なわけ?
仮とはいえイリヤの部屋があるのに何で?
怖くてとても聞けないけど…。
俺が言葉に詰まっているとグウェンダルが眠っているイリヤの側にピエール2号を置いてからコンラッドに何か耳打ちした。コンラッドは一度、イリヤの額を撫でてから名残惜しそうにグウェンダルと部屋を出て行った。
きっとさっきの話をコンラッドに話すのだろう…誰もが一瞬、さっきの話を思い出し俯き掛けたその時、寝ているはずのイリヤの声が聞こえた。
李「…うぅ…」
有「Σイリヤ !?」
ギ「イリヤ様っ!!」
ヴ「目が覚めたのか!?」
ヨ「いぇ…まだ寝てらっしゃる様ですが…」
村「何かにうなされてるみたいだね…」
李「…っ、やだっ…ん…あッ…」
「「「「「…………」」」」」
有「……なんて言うか」
ヨ「ちょっぴりですが…」
ヴ「変な気持ちになってくるな…」
村「いいモン見れたね…」
ギ「ぶほっっ」
こんな時に不謹慎だけど…コンラッドが居なくて良かった。
李「ん…や…ぴ…」
………………ぴ?
李「ぴ…んく……デンブが…デンブが…」
「「「「「………υ」」」」」
イリヤ…久し振りの睡眠だというのに“差し入れ弁当デンブ事件”の夢を見るなんて…υ
俺は心底イリヤに同情した。
例えどんなに偉大な精霊使い様でも所詮は人の子、デンブはイリヤに大きなトラウマを作っている。
イリヤにとっては魔族よりも悪魔な存在、その名はデンブだ。
グウェンダルから話を聞き終わったコンラッドが戻って来たのは部屋を出てから1時間程だった。
コンラッドも俺達同様、やっぱり顔を戻すのに時間が掛かった感じだった。
ギュンターがイリヤの専用部屋を直ぐさま用意したがブラックモードになったコンラッドがそれを阻止した。まさかとは思うがコンラッド、寝てるイリヤに何かしないよね!?
イリヤの身の危険を心配する俺達をコンラッドは部屋から追い出し、結局イリヤの目が覚める事がないまま再び部屋の扉は閉められた。
俺達はイリヤの身体を気遣い、明日に予定していた眞王廟へ行く日を延期した。
.