第06話 守るべき者との契約
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イリヤが再び知らない言葉で精霊達に二言三言話し掛けると、先に魔力との調和をする水・地・風・火の精霊だけが部屋に残りその他の精霊達はそれぞれの場所へと飛んでいった。
ギ「では、聖下には明日にでも眞王廟にて眞王陛下に御会いして戴きましょう」
李「解った」
ギ「陛下、こちらが正式な契約書となります」
有「うん。サンキュー」
ギュンターから渡された契約書にはさっき決まったばかりの精霊使いとの契約についての契約条件が書かれていた。普段は汁気が多いギュンターだけど流石は王佐、仕事に関しては抜かりない!
ギ「では、私はこれより早速、宴の準備に取掛からせて戴きます!ギュンギュンv ギュンギュンv」
有「おっ!いいねぇ~盛大に頼むよギュンター!何て言ったってイリヤは魔族の救世主だからな!」
ギ「はい陛下!私の力の限り全力で御用意させて戴きますッ!!」
ヴ「僕はイリヤに似合う服の用意をしよう!」
コ「俺とヨザックはイリヤの正式なお部屋の準備をv」
ヨ「イリヤちゃんに似合う可愛いお部屋にしなきゃ~v グリ江頑張っちゃう♪」
李「ちょっと待て!」
俺達がイリヤの歓迎会について盛り上がっているとイリヤが話を止めた。
ギ「聖下?宴に何か御希望がございますか?」
有「何でも言ってよ!あ、イリヤの好きなケーキも用意するよ!」
グ「あぁ、ケーキなら私がいくつでも焼いてやる」
李「盛り上がっているトコ悪いが、宴の必要はない」
「「「「「え゛っ!?」」」」」
村「…………」
コ「イリヤ…?」
ヨ「?」
グ「…どうした?」
李「部屋と…ケーキは欲しいけど、でも後は普通でいい」
有「そんな、遠慮しないでよ」
ギ「あぁ~聖下、なんたる奥ゆかしさでしょう(汁)」
ヴ「心配しなくてもお前に似合う最高級の服を用意してやるぞ!」
李「いや…お前達の気持ちは有難いが、宴とか大々的な事はしないでくれ」
ヴ「何故だ?」
ギ「そうですよ聖下!聖下は魔族にとって救世主、正式の場で聖下の御披露目も兼ね、魔族10貴族と共に盛大に宴の場を御用意させて戴きます」
李「だから…υソレはやめてくれ」
ギ「ですが…」
李「駄目だ!」
「「「「「…………」」」」」
イリヤが断るのも聞かずに俺達が騒いでいると、イリヤが少し強めに制止した。
李「悪いが、その気持ちだけで充分だ」
村「…………」
「「「「「…………」」」」」
有「イリヤ…?」
李「俺の存在を公にしないでくれ」
村「…………」
有「え…?」
李「特に、隣国…眞魔国以外の他の国には俺の存在を明かすな」
コ「イリヤ…」
村「そうだね…僕もイリヤの意見に賛成だ」
有「村田?何でだよ!?」
李「ユーリ、俺は眞魔国を守る為に契約を交わした。だが、俺の存在が他国に洩れれば、この国を救うはずの俺自身が戦いの根源になりかねない」
「「「「「…………」」」」」
有「なっ、何で!?だって、イリヤはすっげーいい奴なのに、何で戦いの根源だなんて…」
村「渋谷、イリヤの力はこの世に一つの力だ。魔族がイリヤの力を必要とした様に、その力の威力を知れば誰もが手に入れたい力でもある」
有「そんな…」
李「まぁ万が一、俺が他の国にさらわれたとしても…基本的には契約した以上、他の地で精霊の力を使う事は出来ないが…俺はなるべく戦いになる要素は避けたいんだ。この国の為にも、お前達の身の安全の為にも、精霊達の為にも…だから解ってくれ」
有「……うん」
「「「「「…………」」」」」
イリヤは…いつでも冷静で、いつでも自分の事より人の事を考えていて、いつでも最善の策を考えている。
契約を交わせた喜びに浮かれていた俺は…
これで魔族が助かったって、安心だって、ただそれだけしかなかった…
自分の国の事なのに、俺が魔王なのに……最低だ。
有「…………」
李「ユーリ、そんな顔をするな…俺も手探りなんだ」
有「え…?」
李「言っただろう、一つの国と契約を交わすのは初めてだって」
有「イリヤ…」
李「俺は…今まで人と関わらない生き方しかして来なかった。だから…どうしても警戒してしまうんだ」
有「…………」
なんでだよ、俺がこんな顔した所為でイリヤに一番言いたくない台詞を言わせてしまった。
イリヤの考え方は間違ってない。守るモノが大きければ大きいほど…大切なら大切なほど守る側は常に視野を広く、物事を深く考えなきゃいけない。
イリヤは俺よりもずっと大人だ……彼と会って、教えられた事が幾つもある。
いつかこの国だけじゃなくイリヤの力になれる様に…俺は今、俺に出来る精一杯の事をしよう。
有「イリヤ、俺もっともっと頑張るよ!善い王様になれる様に、イリヤも精霊達も安心してこの眞魔国で暮らせる様に」
李「ユーリ…」
俺は目の前にある契約書にサインした。皆がずっと幸せに暮らせる国になりますように心を込めて。
俺がサインを入れた後、イリヤもサインを入れ、正式に魔族と精霊使いの契約は交わされた。
サインを入れ終わったイリヤが俺の席まで来て手を差し出した。
李「これから宜しく」
有「イリヤ…うん。宜しくなッ!」
美しく微笑み手を差し出したイリヤに俺も手を差し出した。
だけど、イリヤの手が俺に触れる事はなく俺に覆い被さるようにイリヤはそのまま倒れた
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