第06話 守るべき者との契約
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村「兎に角、話が良い方向に行って良かったよ。それでイリヤ、これからの事を話したいんだけど」
李「あぁ」
村「前にも説明した様に今、眞魔国では原因不明の水涸れが起きている。イリヤが此処に来た事で応急処置的に今の所はそれも防げている様だけど…出来たら根っこの部分から改善をしたいんだ」
李「そうだな」
村「それには此処に居る全員と勿論、イリヤの力が重要になってくるんだけど…その前に、僕達は精霊使いの事について知らない事が多過ぎる。いくつか質問させてもらえるかい?」
李「おぅ、いいぞ!どんと質問しろ!」
村「先ずは、僕達が精霊使いと精霊について知っている事を話すから間違ってる事があったら教えて欲しい」
李「解った」
村「精霊使いはその代にたった一人の存在というのは本当かい?」
李「あぁ、そうだな精霊使いは一人だけだ。各精霊達もそれぞれ一体だけだからな」
村「その精霊使いについてだけど…以前、この眞魔国を創った初代魔王の眞王が、宗主との戦いの後に精霊使いと契約を交わした事があるんだ。その時に契約をしたのは土地の精霊を操る精霊使いなんだけど、契約は眞王の代だけだったからその後に眞魔国が精霊使いと契約を交わした事実は無い。それで…眞王の話によると、精霊は全部で3体、水・風・地の精霊がいて、殆どの精霊使いが1体の精霊しか操れないと聞いているんだけど…君はもうどれかの精霊と契約を交わしているのかい?」
李「あぁ…以前、この眞魔国が地の精霊との契約を交わしていた事は聞いている」
有「聞いているって誰に?」
李「地の精霊だ」
「「「「「えっ?」」」」」
有「地の精霊…って、イリヤは地の精霊と契約を交わしているの!?」
村「…そうか、もう精霊を連れているのか…」
「「「「「…………」」」」」
地の精霊と聞いて魔族一同の表情が焦りに変わった。
午前中の村田の話だと、精霊使いが契約出来る精霊は1体だ、あとはその精霊使いの持つ力によってらしいが、永くこの眞魔国を見守ってきたあの眞王ですら1体以上の精霊を連れた精霊使いを見た事が無いと村田は言っていた。
確かに永い目でみれば土地を改善していけばいつかは涸れた水も自然に湧く日がくるかもしれないが、それは果てしなく時間がかかる…俺の代だけで改善出来るかどうかだって危うい…。
有「な、なぁイリヤ、水の精霊とは契約出来ないのかな?も、勿論、この世に1体しかいない精霊を探すのは大変な事だって解ってるんだけど、もしソレが可能なら…」
李「まぁ待て!さっきの村田の質問の中にまだいくつかの訂正がある」
有「え…?」
李「まず…さっきの村田の話にあった精霊の種類だが、精霊は全部で10体いる」
「「「「「10体!?」」」」」
有「そんなに!?」
村「種類を聞いてもいいかい?」
李「あぁ、精霊は“水・地・風・火・氷・光・闇・夢・希望・愛”の10体だ」
イリヤから精霊の種類を聞かされた俺達は、その種類の多さに驚きを隠せないでいた。
有「な、なんか凄いな!」
李「さっきの村田とユーリの質問だが…」
有「へっ?」
コ「地の精霊との契約についてですか?」
李「あぁ」
精霊についての新事実に驚いて自分がさっき何を質問したかすっかりぽんと忘れていた俺にコンラッドが助け船を出してくれた。流石は名付け親、困った時にはコンラッドだ!
今日もイリヤの隣りをがっちりキープしてはいるが今の所は爽やかだ。
いいぞコンラッド!
その調子だ!
やっぱり爽やか笑顔が一番だ!
俺の脱線し始めた思考をイリヤの言葉が呼び戻す。
李「地の精霊との契約もしている」
あぁ…やっぱり…
もう契約しちゃってたか……
……………ん?
有「今、地の精霊との契約“も”って言った?」
李「言ったよ?」
村「他の精霊とも契約してるの?」
李「してるよ?」
「「「「「…………」」」」」
有「へぇ~…って、え゛ぇっ!?ほ、ほほほホントにッ!?だれっ、誰とっ!?」
李「それは…」
有「わぁぁぁ~ちょっ、ちょっと待った!まだ心の準備がッ!!すぅ~はぁ~っ」
村「渋谷…υ」
李「少し落ち着けよ…υ」
有「だだだだだって、さっきから緊張しっぱなしだったから…っ、すぅ~はぁ~っ…ハイ…ドーゾ…」
「「「「「………υ」」」」」
俺は深呼吸を数回してからイリヤを見た。
どうか、イリヤの契約してる精霊が水でありますように…
水でありますように…
水でありますように…
李「全部だ」
有「そう…全部か……Σ全部!?」
「「「「「 !!!!! 」」」」」
村「全部って、10体の精霊全部と契約を交わしているのかい!?」
李「うん。そうだよ?」
ギ「ぶほっっ!!」
予想外のイリヤの言葉に魔族一同は暫く言葉を発せ無かった。
村「精霊が10種いた事も驚きだけど、まさか10種とも契約を交わしていたなんて…イリヤ、君は一体…」
李「……精霊使いもその代によって持つ力も様々だしな」
村「…………」
「「「「「…………」」」」」
村田の問い掛けにイリヤは深く説明をしなかった。
あまり触れられたくない内容だったのか、村田もイリヤの答えに対してそれ以上の追及をしなかった。
部屋に少しの間、微妙な沈黙が続いたがイリヤが話題を変えて話し始めた。
李「とりあえず…先ずは精霊達が自由に働ける様に、この眞魔国に結界を張る」
「「「「「結界!?」」」」」
李「結界と言ってもお前達には何の影響もない。眞魔国の土地に精霊が住むのに他からの邪気を避け、精霊の身を守る為の結界だ」
「「「「「…………」」」」」
李「此処に着いた時点で、とりあえず俺が軽い結界を張っているんだが、眞魔国と正式に契約をするとなった今、キチンとした結界を張りなおす。そのためにはユーリの力が必要なんだが…」
有「俺の?」
李「ユーリ、魔王のお前にしか扱えない物はあるか?出来れば意志を持つ物がいい」
有「俺にしか扱えない…意志を持つ物…」
ギ「陛下、モルギフはいかがでしょう?」
グ「モルギフか…確かにあれなら王にしか扱えないし、意志を持つ…」
村「そうだねモルギフが一番適任かもしれないね」
有「よし!じゃあモルギフでいこう!…で、イリヤ、俺はどうすればいいの?」
李「そいつを発動させて俺の力と合わせて眞魔国の大地に結界を創るんだ」
有「……発動させて?」
李「うん」
有「モルギフを?俺が?」
李「お前が発動させなきゃ意味がないだろう?」
有「…………」
李「…………」
有「だっ、だだだだだって、モルギフが発動するのは人の魂を喰わないと発動しないし…」
コ「陛下、モルギフの故郷であるヴァン・ダー・ヴィーア島に行ってはいかがでしょう?」
有「あ!そっか!その手があったか!」
村「まぁ、それが一番いいかもね」
有「よし!じゃあ早速、ヴァン・ダー・ヴィーア島に行こう!」
李「あぁ、だがその前に、お前達にはまだやってもらう事がある」
有「何?」
李「結界を張る事もだが、涸れた水についても…改善させるには勿論、精霊の力が必要不可欠だが……その前に精霊達とお前達の力を調和させる必要がある」
有「魔力と精霊の力を?」
李「俺や精霊の力だけで水を元に戻す事は簡単だが、お前達は根元から改善したいのだろう?」
有「うん」
李「さっきも言ったが俺が眞魔国と契約をするのはユーリが王である間だけだ。俺と精霊だけの力で水を戻しても契約が切れた時には、俺が此処へ来る前の状態に戻ってしまう。眞魔国の未来を考えるなら契約が切れた後もそうならない様にお前達の持つ魔力を精霊の力と融合させて改善していけば精霊達がこの土地を離れた後も此処の自然は保たれる」
有「なるほど…で、融合させるって具体的にどうすればいいの?」
李「ユーリは確か水の魔力が使えるんだったな?」
有「うん。他にも色々と出来るみたいだけど水の魔力が一番コントロールが出来るかな…」
李「他の奴等はどんな魔力を使うんだ?」
ヴ「僕は火の魔力を使う」
グ「私は地の魔力だ」
ギ「私は風の魔力を使います」
コ「俺とヨザックは魔力を持っていないので…」
ヨ「魔力に関しては全くの皆無です」
李「村田、お前は?」
村「う~ん…僕の力はそれぞれの力を増幅させる事が出来るって感じかな」
李「なるほど…まず、グウェンとヴォルフとギュンターにはそれぞれ地・火・風の精霊と調和してもらう。その間、他の精霊には魔族の土地に順応してもらうから、3人の調和がとれた後、魔力の強いユーリと村田には全部の精霊達との調和をしてもらう。いきなり強い魔力に接するのは危険だからな」
村「解ったよ」
イリヤの話に全員が頷く。
いよいよ話が具体的になってきた。イリヤが眞魔国の未来の事を見越しての改善策を考えてくれた事が皆の心をより一つにさせていく。
有「でさ、イリヤ、精霊さん達は何処にいるの?てか、俺達にも見えるの?」
李「あぁ、今から紹介してやる」
『££££££』
イリヤが呪文の様な言葉を唱えるとイリヤの胸元が十字に白光し出した。
最初、十字に繋がって見えた光は小さな光りの粒に別れそれぞれが違う色に光り始めた。
イリヤの周りを囲む様にくるくると回ってからイリヤの掌でその光の粒たちが揺れていた。
李「先ずは水の精霊、ヴァッサーだ」
イリヤがそう言うと水色の光の粒がイリヤの掌の上で人型に変わった。
水色に透けるその身体は神秘的で美しかった。
「「「「「 !!!!! 」」」」」
有「こ、これが精霊…」
村「僕も初めて見たよ」
『水の精霊ヴァッサーと申します。宜しくお願いします』
有「しゃ、喋った!!」
李「今は俺の力を通じているからな、魔族語が話せる」
ギ「はぁぁぁ~vvナント素晴らしいッッ!」
李「次は、地の精霊、名はフェストラントだ」
水の精霊が光の粒に戻って、今度は茶色の光を放った精霊が形を変えた。
『我は地の精霊フェストラント以後お見知りおきを…』
風の精霊・ヴィント
火の精霊・フラメ
氷の精霊・アイス
光の精霊・リヒト
闇の精霊・ミッターナハト
夢の精霊・トラオム
希望の精霊・ホフヌング
愛の精霊・リーベ
イリヤに呼ばれて精霊達が代わる代わる掌の上で紹介されていった。
総ての精霊の紹介が終わると精霊達は最初の光の粒に戻りイリヤの側で揺れていた。
その姿に見惚れていると、イリヤが椅子から立ち上がり末席まで行くと魔族全員を見て美しく微笑み口を開いた。
李「我ら10種の精霊と精霊使いは魔王、渋谷有利とその側近達との間に契約を結び眞魔国の地を守る事を約束する」
光の粒に囲まれたイリヤが片膝をつき俺達に頭を下げそう言った。
村「ほら、渋谷、何か一言…」
肘で俺のわき腹を突く村田にハッとして俺は慌ててイリヤに頭を下げた。
有「ふ、不束者ですけど、宜しくお願いしますッ!!」
李「…………」
村「渋谷…υ」
「「「「「………υ」」」」」
最後の締めの言葉もぐだぐだな俺に全員が脱力した。
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