第06話 守るべき者との契約
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全員で昼食を済ませた後、約束の会合が始まった。
誰もが緊張した面持ちで席に着く中、イリヤだけがいつもと変わらない柔らかな表情だった。
会合のメンバーはこの前と同じ俺と村田、そして魔族似てねぇ三兄弟にギュンターが居て…何故かピエール2号がイリヤの隣りの椅子にちょこんと置かれていた。ヨザックだけは席には着かず壁に背をあずけ立っていた。
有「え~と…それでは、この間の続きの会合を始めますッ」
会合開始の俺の言葉に部屋の空気が一層と引き締まった。
俺は思いのほか緊張していた。男前のイリヤに合わせたい訳ではないが、ここはビシッと一言、簡潔に気持ちを伝えたい。ドキドキする鼓動を押える様にギュッと拳に力を込めて俺は正面に座るイリヤを見て言った。
有「だっ、第一印象から決めてました!宜しくお願いしますッ!!」
李「…………」
「「「「「…………」」」」」
村「渋谷…それじゃ、ねるとんの告白タイムだから…υ」
貴さんチェックならぬ健さんチェックが入った。
せっかく男前に決めようと思っていたのに…あまりの緊張に俺の脳味噌は沸騰した。
これではこの3日間、色々と考えてきた俺の気持ちは何処へやら…情けない気持ちでいっぱいだ。
半ばあきれた様な目で見るヴォルフラムやグウェンダルに、同情する様に眉を下げる名付け親と教育係り…
そこ!哀れむな!可哀想だろうが!俺の脳味噌が!!
項垂れる俺にイリヤはクスクスと笑っている。
有「うぅ…せっかく格好良く決めたかったのに…」
ヴ「へなちょこめ…」
有「返す言葉もございません…」
村「渋谷、君はいつもの様に君自身の言葉で伝えればいいんだよ」
有「ハイ…」
俺はふーっと息を吐いてから気を取り直して、イリヤを見つめた。
有「イリヤ、この3日間の魔族としての結論を伝えるよ」
李「あぁ」
有「俺は…俺達は、イリヤにこの眞魔国に居て欲しいと思っている。勿論、精霊使いとしてのイリヤの力も必要だけど、イリヤ自身も俺達の中では既に無くてはならない存在で、これからもずっと皆で仲良く出来たら嬉しい。だから、魔族との眞魔国との契約を結んで欲しい。それで、もしも今の時点でイリヤから見て何か足りない処があるなら、皆でそれを改善するチャンスを与えて欲しいんだ」
やった、今度は上手く気持ちを言えたぞ俺!偉いぞ俺!初めからこう言えば良かった俺…。
イリヤは大きな瞳で俺を真っ直ぐに見た後、会合の席に居る全員の顔を見た。
各自がそれぞれイリヤと目を合わせ、イリヤに微笑んだ。
全員の意思を確認し終えたイリヤは一度下を向いてから真っ直ぐに俺を見つめ直して口を開いた。
李「この3日間…俺はお前達と過ごして、此処の自然に触れて…俺なりに色々と考えた。まず、眞魔国についてだが…永年の戦によって荒れたとはいえ、此処の自然は他の何処と比べてもとてもいい状態だ。お前達がこの国を改善させていこうという思いも伝わった。お前たち一人ひとりの心根の善さも、それぞれの人柄も、とても暖かくて心地良い。此処で暮らせたらとても幸せだと思うよ」
イリヤの言葉を聞いて魔族全員から笑みがこぼれた。
有「じゃ、じゃあ契約は、魔族との契約はしてもらえるのかな?」
「「「「「…………」」」」」
李「2つだけ…契約するのに2つだけ条件がある」
「「「「「条件!?」」」」」
そうだった。眞王が以前、精霊使いと契約した時も精霊使いの条件があったと確か村田に頼まれて古書を調べたギュンターが言っていたのを思い出した。
確か眞王との契約の条件は、契約を結ぶのに“眞王以外の人物との接触をしない”というものだった。
今回のイリヤの場合は精霊使いをこの世界に呼んだ事から始まったからイリヤが精霊使いという事は既に城中に知れ渡っている。この場に居る者以外とは今の所、深く関わってはいないが俺達との接触はわりと多い…
有「何?イリヤの契約の条件って?俺達に出来る事なら何だってするよ!」
李「1つ目の条件は…俺は、この力を…精霊の力を戦いには使わない」
グ「それなら安心しろ」
コ「ユーリは戦争反対の永世平和主義ですから」
有「うん俺、戦争は絶対に反対だから、イリヤの力や精霊の力を戦いに使わないって約束するよ!」
村「それでイリヤ、もう1つの条件は?」
李「2つ目は…俺が契約するのはユーリ、お前が魔王の代だけだ」
有「へっ?」
李「現魔王のお前と、此処に居るお前の側近達が居る眞魔国と俺は契約を結ぶ」
コ「イリヤ…」
李「俺はお前達だから契約をするんだ。ユーリが王でお前を囲むこいつらが誰一人欠ける事の無いそんな国でいてくれ」
「「「「「…………」」」」」
“誰一人欠ける事無く…俺が契約するのはお前達だからだ”
真っ直ぐと向られた視線の中に嘘や偽りなんか一つも無くて、イリヤの言葉の中に俺の大好きな眞魔国と、魔族の仲間達がイリヤの中でも大切な仲間だと感じ取れた事が俺は凄く嬉しかった。
有「イリヤ…ありがとう。凄く嬉しいよ」
皆も凄く嬉しそうだ、各自がイリヤに思い思いの感情があるんだろう…イリヤがこの3日間、特別に外へ行く事をせず普段の俺達と接する事で俺達が望んでいた以上の交友関係が築けたのかもしれない。
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