第06話 守るべき者との契約
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契約の日の朝が来た。その日の朝も俺達は全員揃っての朝食を取った。
イリヤは3日間眠っていないのが不思議なくらい爽やかな顔で今日も美しく微笑んでいた。
約束の会合の時間は正午からだったので午前中の間に俺は皆の意見を聞くために、イリヤとイリヤに付き添っているヨザックを除いて魔族の打ち合わせをしていた。
有「え~と…じゃあ最後に、皆の気持ちを最終確認したいんだけど…俺としては今の眞魔国には精霊使いの力は必要不可欠で、イリヤ個人としてもこの眞魔国に居て欲しいと思ってる」
グ「異論はない」
ヴ「反対する理由もないしな」
ギ「私も陛下の御意見に賛成でございます」
コ「勿論、俺も賛成ですよv」
村「僕も渋谷の意見に賛成だよ。それに、精霊使いと言っても彼に魔族の血が流れているなら彼自身の為にも此処に居る方がいいだろうしね」
有「よしっ!満場一致だ!!」
村「ちょっと待って!」
俺がポンと手を打ち皆が席を立とうとした時、村田が皆を止めた。
有「村田?何?」
「「「「…………」」」」
村「まだ話があるんだ、精霊使いの力について…」
有「精霊使いの力?」
皆は再び元の席に着き、村田の言葉に耳を傾けた。
有「村田、精霊使いの力についてって?」
村「眞王廟で、眞王から当時、彼が精霊使いと契約をした時の話を色々と聞いたんだけどね。精霊使いはどうやらその代にたった1人しか存在しないらしいんだ」
有「へぇ~天然記念物みたいだね」
グ「精霊を操る者がそう多くは無いとは思っていたが…」
ヴ「見付けられたのが奇跡だな」
ギ「あぁ素晴らしいっ!!聖下に出会えた私は、何と幸せ者でしょう!!」
コ「それで猊下、イリヤの力とは?」
村「うん、それなんだけど…眞王もはっきりとした事はよく解らないらしいんだけど…彼が当時、契約を交わした精霊使いは土地の精霊を操る者だったらしいんだ」
有「ふ~ん…でも、戦争や宗主との戦いで荒れた土地を癒すならオッケーなんじゃないの!?」
村「うん。その当時はね、けど今回の場合は違う」
有「あっ!?そ、そうか…今回は水の精霊が必要なんだ」
「「「「…………」」」」
村「眞王が知る限り精霊は、全部で水・地・風とあるらしいんだけど、眞王の話だと通常の精霊使いは1つの精霊しか操れないらしいんだ。その代の精霊使いの力にもよるらしいんだけど、3つの精霊を操れる精霊使いは彼も見た事が無いそうだよ」
有「でもさ、イリヤが此処に居る間は水は戻っているし、草木だってあんなに…」
コ「だが、それでは根本的な解決になりません」
有「あぁ、そうだよなぁ~…イリヤが何の精霊を操れるのか?って事だよな!?」
村「そうなんだ。イリヤが操れる精霊が水、もしくは地ならば今回の事も解決出来るけど…」
グ「もし精霊が風ならば…」
シ―――――――ン…
イリヤとの契約が結べたとしても、イリヤの操る精霊が風ならば、いずれこの眞魔国の水は総て涸れてしまうだろう…村田の話しに魔族は全員口を噤んだ。
有「三分の一の可能性か…」
村「うん。ただそれはイリヤが既に精霊との契約を交わしていたらの話しだけどね」
有「へっ?」
ギ「猊下、それはどういう事ですか?」
村「精霊使いと言っても必ずしも精霊と契約をしているとは限らないらしいんだ」
有「そうなの?」
村「眞王も僕も、精霊使いと精霊がどうゆう関係性があって契約が結ばれるかは解らないんだけど…もしもイリヤがまだどの精霊とも契約を結んでいないのなら水の精霊との契約も出来るかもしれない」
有「そっか!じゃあ、もしイリヤがまだ精霊との契約を結んでいなかったら水の精霊との契約をお願いしてみるって事だな」
グ「なるほど…だが、精霊が必ずしもこの眞魔国の土地に居るとは限らない…」
コ「それに、俺達には精霊の姿は見えない…」
村「うん、そうなんだ。僕達には精霊の姿が見えないし、その存在が何処に在るのかも解らない」
この世にたった一人の精霊使いが、精霊に出会える可能性ってどれくらいなんだろう…。
天然記念物と天然記念物の融合…俺のへなちょこな脳味噌では考えられないほど複雑だ。
美人で男前で頭が良くて、精霊使いでコンラッドの婚約者で…俺がイリヤについて知ってるのはそのくらいだ。たかだか3日で知れる事はそれ位が限度かもしれないが、もっと一緒に居てもっとイリヤの事を知りたいと思っている。
イリヤは俺達の事をどう思ってくれてるのだろう…。
村「まぁ、とりあえずはイリヤが眞魔国との契約を結ばない事には話が進まないんだけどね。とりあえず契約が出来たとして、その先の事も皆には頭に置いておいて貰おうと思ったんだ」
「「「「…………」」」」
有「解ったよ、ありがとう村田。けどさ、俺は諦めないよ」
ヴ「ユーリ?」
有「もしも今の時点で、この眞魔国がイリヤの契約の条件に満たなくても、俺は皆と一緒に力を合わせて改善して行きたいし、もし契約が出来て精霊を探す事から始まったとしても…可能性がゼロじゃないなら俺は何でもするよ!」
村「うん、君ならそう言うだろうと思っていたよ」
村田がそう言うのと同時に、その場に居た魔族全員が笑みを浮かべながら“解っている”と頷いてくれて俺は嬉しかった。
なぁイリヤ、この眞魔国にはこんなに良い仲間達が居るんだ。
今まで君が生きて来た道を全部理解する事は出来ないかもしれないけど、君の背負っている荷物を俺達にも背負わせてくれないか?
苦しい事は÷人数、楽しい事は×人数。
それが俺の考え方なんだ。
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