第05話 ピエールと紐パンツ
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ヴォルフラムの部屋を出て俺達はグウェンダルの部屋へと向かって歩いていた。
部屋を出る時にコンラートが何かをヴォルフに囁いてヴォルフの顔色が変わった事を俺は見逃さなかった…υ
コンラッド怖ぇ…
愛しい婚約者のためなら自分の弟にも容赦ない。
あれからヴォルフラムは何故か俺の後ろに隠れビクビクと震えているので俺は非常に歩きにくい……。
コンラッド…わがままプーをここまで怯えさせるなんて一体、何を言ったんだ!?
できれば、知りたくないけど…
前を歩くコンラッドはイリヤの突拍子も無い行動を防ぐ為か、イリヤを抱っこしたまま離さない。
時折、コンラッドの肩越しからこっちを覗くイリヤの頭をガシッと押え自分に向け直すという行動が繰り返し行われている。
何だか、段々一緒について来た事を後悔し始めた頃、俺達はグウェンダルの部屋の前に着いた。
コンコン。
李「グ~ウェン♪」
グ「……入れ」
イリヤがコンラッドの腕の中から小さくノックすると部屋の主が低い声で短く答えた。
ガチャ…
李「グウェン、遊びに来たぞ!」
グ「あぁ、待っていた……何故、お前達まで居るんだ?」
俺とコンラッドの姿を見ると眉間の皺が少し深くなった。
有「ちゃんと、授業は受けてたよっυただ…ギュンターが途中で居なくなっちゃっただけで…」
思わずコンラッドの後ろに隠れたので、俺の後ろに居たヴォルフラムも俺の背に続き扉の前で微妙に縦一列という不思議な光景になった。
俺の話を聞いてグウェンダルは、はぁーっと溜息を吐くと『まぁ、いい』と言って中に入れてくれた。
今日もゴットファーザーのテーマが似合いそうな渋みを効かせるグウェンダルは、不似合いな可愛い仲間達に囲まれ俺達を出迎えてくれた。
有「相変わらずファンシーなお部屋デスネ…」
グ「最近、何かと立て込んでいたので里親探しをしてなくてな…」
そう、こんなゴットファーザーのテーマがお似合いな彼の趣味は編みぐるみだ…。
集中力を高める為とか何とかで編み物を始めたらしいが、その作品たちはどれも奇怪なモノばかりで何の動物だか解らない……。以前、この部屋に来た時よりも増えているメイドイン・グウェンダルの仲間達は彼を囲む様に山積みされていた。
李「すっげぇ~可愛いなぁ~」
コンラッドの腕からヒョイと抜けイリヤがブタ?クマ?の様な編みぐるみを一つ手に取った。
李「可愛いなぁ~これグウェンが作ったのか?」
グ「あぁ」
うわぁ…孫におねだりされてるお爺ちゃんみたいなデレデレ顔だよ…υ
李「凄いなぁ~これ全部作ったのか?可愛いなぁ~」
グ「良かったら里親になってくれるか?」
李「え?いいの?くれるの?」
グ「あぁ、どれでも好きなのを持って行くといい」
李「じゃあ、俺コレがいい!」
ギュッと初めに手に取っていたブタクマをイリヤは抱き締めた。
か、可愛い…そんなお前が可愛いぞっ!!嬉しそうに頬擦りしちゃって、何て可愛いんだ!
李「こいつ俺がよく遊んでやったピエールにそっくりだ!」
有「ピエール!?」
『トレびあ~んv』と俺の頭の中で某マジシャンの声が谺した…。
ピエール…こんなブタクマにそっくりだなんて一体、どんな生き物なんだろう…。
李「可愛いなぁ~こっちの世界にもネコがいるのか?」
グ「あぁ」
有「Σえ゛ぇっっ!?ピエールってネコなの!? じゃなかった、それネコなのっ!?」
李「何言ってんだユーリ、どっからどう見てもネコじゃないか」
有「…………」
「「………υ」」
どっからどう見てもブタクマにしか見えないんデスケド……υ
俺が放心しているとグウェンダルがイリヤの頭を撫でていた。後ろから感じる黒いオーラが気のせいであって欲しい…。
俺達は向かい合わせのソファーに座ると、グウェンダルが紅茶とお手製ケーキを出してくれた。
グ「甘い物は好きか?」
李「うん。俺、甘いの大好きv」
グ「そうか」
嬉しそうに口に運んで、幸せそうに食べている姿がめっちゃ可愛いッ!!『美味しいv』とか言っちゃって女子高生みたいにケーキにはしゃぐ姿は何とも男心を擽る。
あぁ…イリヤ、何で男なんだ(泣)男にしておくには勿体無さ過ぎるその美貌。
全員イリヤの可愛さに釘付けだ。さっきまで俺の後ろで怯えていたヴォルフラムも今はグウェンダルの隣りでイリヤに見惚れている。
コ「イリヤ、唇にクリームが付いてますよv」
李「ん…」
イリヤの唇に付いたクリームを指で拭いコンラートはペロッとクリームを舐めた。
李「美味しいなコンラート」
コ「はいv とても甘くて美味しいですねv」
「「「………υ」」」
ソファーは向かい合わせとは言え、横に長く全員が座っても余るくらい広いのに、何故かイリヤはコンラッドの膝に乗せられてガッチリとホールドされている…。
イリヤはそれを特に気にする訳でもなく脇にメイドイン・グウェンダル産のピエール2号を抱え、ご機嫌でケーキを食べている。
あぁ、何もかもが気になる…
本当にそれはブタクマじゃないのか?とか、どうしてネコがピエールなのか?とか、ピエールは地球での鳴き声“ニャ~ニャ~”なのかそれとも眞魔国の様に“めぇめぇ”なのか、それともやっぱり“トレびあ~んv”と鳴くんじゃないのか?とか、コンラッドはいつになったらイリヤを離すのか?とか……。
誰か俺に説明して欲しい。
ケーキを先に食べ終えたグウェンダルが新しい紅茶を入れる為、席を立った。
ふと、イリヤを見るとグウェンダルを凝視している。
……………主に尻をυ
グウェンダルのパンツが気になっているのだろうか?
向かいの席に居たヴォルフラムもイリヤがグウェンを凝視しているのに気付き、その目線が尻に向けられているものと解ると
何とも気まずそうな顔をした。
プライドの高いヴォルフラムの事だ、きっとイリヤにズボンを下ろされた事とコンラッドの黒オーラが彼の心に深いトラウマを植え付けたに違いない。
俺達の微妙な雰囲気を読んだのかコンラッドがイリヤに言った。
コ「イリヤ、グウェンは軍服と同じモスグリーン色の紐パンですよ」
李「そうなの?」
コ「はい。因みにギュンターは彼の髪の色と同じ薄紫色の紐パンです」
李「ふぅん…」
グ「?」
それっきり、すっかり紐パンに興味を無くしたイリヤは2つ目のケーキに夢中になった。
この日の夜、目を血走らせ一晩中『ギュンギュンv ギュンギュンv』とギュンターが新品の紐パンを穿いて今か今かとイリヤを待っていたなんて俺達には知る由も無かった。
グウェンダルの部屋で満喫したイリヤはコンラッドに抱っこされ何処かへ行ってしまった。
俺はというと…眉間の皺が元に戻ったグウェンダルに執務室へ連行された。コンラッドに怯えたヴォルフラムも俺の護衛だと言って俺について来た。
はぁ…何だか色んな意味で疲れた…υ
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