第05話 ピエールと紐パンツ
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ユーリ達が居なくなって、魔族似てねぇ三兄弟とイリヤが残された。
李「で?今の時間は誰が俺の監視役なわけ?」
ヴ「僕が案内してやる」
李「ヴォルフが?」
ヴ「不満か?」
李「いや、嬉しいよ?まだあんまり話してないし」
ヴ「そ、そうか、嬉しいか」
コ「俺は午前中に執務を終わらせますから、昨日お約束した裏庭への御案内は昼食後にしましょうv」
李「あぁ、頼む」
コ「ヴォルフ、イリヤを頼んだぞ」
ヴ「分かってる」
グ「ギュンターの勉強会が終わるまで部屋で執務をしているから、案内がてら私の部屋へ来るといい」
ヴ「分かりました」
そう言ってそれぞれが席を立った。
ヴ「さてと、まず何処から行くか…コンラートと庭に行くなら今は建物の中を案内するか…おい、イリヤは何処に行きたい?」
李「特には…城の案内って言うよりは、お前と話す方がいいな」
ヴ「………そうか、なら僕の部屋に来い」
李「え?いいの?」
ヴ「僕の事が知りたいのだろう?ならば僕の部屋を見せてやる」
そう言って2人はヴォルフラムの部屋へ向かった。
ヴォルフラムSide ――――
会って間もない客人を僕自身がいきなり自室に案内するなんて今までない事だ。
男でありながら信じられないくらい麗しいこいつは、その見た目に反してなかなかの男前だ。
ユーリとは種類の異なる誠実さと可愛さを持合わせていて、真っ直ぐに見つめてくる視線に僕は通常では無いくらいの胸の高鳴りを感じる。
…何故だ?
僕にはユーリという婚約者がいるのに…ユーリへの愛は確かなものだ。他の者との婚姻なんて考えられないくらいユーリを愛している。
なのに…こいつは僕の心を掻き乱す何かを持っている。
まぁ、手段としてはコイツを愛人にするという手もあったが、僕が行動する前にコイツは腹黒コンラートの婚約者になってしまった……。
僕だって命が惜しい、あの腹黒に歯向ってまでもイリヤを愛人にするのは危険が多過ぎる。
ユーリだって僕の愛を独り占めしたいに決まっている。
このまま義兄弟として仲良くやって行くのが一番良い方法だし、僕の身の安全も保てるというものだ。
中庭から自室までの間にある部屋を簡単に案内しながらイリヤを連れヴォルフラムは自室へとやって来た。
ヴ「ここが僕の部屋だ、入れ」
部屋の扉を開け、紳士的にイリヤを先に部屋へと入れた。
李「へぇ、お前らしい部屋だな」
ヴ「僕らしい?」
李「うん。何て言うか…絢爛ってゆうの?かと言ってゴテゴテじゃないし、趣味がいいな!お前によく似合ってる」
ヴ「そ、そうか」
李「ん?どうした?顔が赤いぞ、風邪か?」
ヴ「なっ、何でもないっっ!今、お茶を入れてやるから少し待っていろ」
李「うん。ありがとう♪」
ヴ「…………」
素直にお礼を言って微笑んだイリヤにヴォルフラムの鼓動が早くなる。
ななななな、何なんだあの可愛いさはっ!?物凄く素直で、可愛くて、キラキラしている。
駄目だ、駄目だ、駄目だっっ!!僕にはユーリという婚約者がいるんだ。それにコイツの後ろには、あの腹黒が控えている!惑わされるな!
僕は自分に言い聞かせ、お茶を入れたティーセットをテーブルに置きイリヤの向かいのソファーに腰を下ろした。チラリとイリヤを見ると優雅に僕の入れたお茶を口に運んでいる。
李「ヴォルフは読書が好きなのか?沢山あるな」
ヴ「あぁ、時間が空く時は読書をよくする」
李「眞魔国の書物か…面白そうだよな」
ヴ「イリヤも読書が好きなのか?此処に有るのはごく一部だが、血盟城の書物庫には一通りの書物が揃っているぞ、後で行くか?」
李「図書館みたいな感じかな?うん、行きたい。なぁ、あの布が掛けられたのは何?」
ヴ「あれは今、僕が描いている途中の絵だ」
李「絵?ヴォルフ絵も描くの?」
ヴ「見るか?」
李「え?いいの?」
ヴ「別に構わない」
そう言いながらヴォルフは掛けられていた布を外しイリヤに絵を見せた。
ヴォルフラムの感性は独特で本人にしか何が描かれているか理解出来ない。ユーリいわく地球で言う芸術家のピカソを想像して戴けると有難い。
李「すっげぇ~、なぁ、これユーリだろ!?」
ヴ「解るのか?」
李「解るよ?へぇ、よく描けてるな!あぁ、ユーリってこうゆう表情するよな」
ヴ「あぁ、僕はアイツのこの顔が好きだ」
李「ふぅん」
ニヤニヤと見つめられながら『愛だなぁ~』とイリヤに言われて、ヴォルフラムは何とも複雑な気持ちになった。
今までなら『当然だ!』と返していただろう。だが、その台詞はヴォルフラムの口から出る事は無かった。代わりに出たのは『お前も描いて欲しいか?』だった。
李「………嬉しいけど、いいの?ユーリ怒らない?」
ヴ「なっ、勘違いするなっ!僕からの婚約祝いだ」
李「あぁ!なるほど!」
この時のヴォルフラムは照れ隠しで言った自分の台詞に実は酷く傷付いていたりした。
少なからず好意を持っている相手の婚約祝いなど、考えたくもない。例えソレが身内で未来の義理の兄上になったとしても自分以外の男と結婚するのは素直に喜べない自分がいる。
イリヤに素直に『お前を描きたい』と言えば良かった。そうしたら勘の良いイリヤならうっすらと自分の気持ちに気付いてくれたかも知れないのに…。
チラリとイリヤを横目に見ると興味深々に書棚にある本の背を見ている。ヴォルフラムは自分の腑甲斐なさにふぅーっと溜息を吐き、自分のベッドに腰掛けた。
だいたい、ユーリがイリヤの様に素直に自分に甘えてくれたら、こんなにも心が乱れる事は無いんだ!
毎夜の様に僕が寝所を共にしているのにアイツときたら、やれ睡眠妨害だの何だのと僕に対する有り難みが足りなさ過ぎる。恥じらっているのは可愛いが、たまにはこんな風に素直に一緒に居る事を喜んでもらえる方が可愛げがある。
ヴォルフラムが一人で悶々と考えていると急に視界が半転した。
背中には柔らかいベッドがあり自分の視界には天井と自分を見つめているイリヤが映っていた。
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