第03話 マのつく婚約者
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恐ろしい事実を聞かされて魔族一同が青くなっていると、ギュンターがめげずにイリヤに話し掛けた。
ギ「あぁ、何と言う事実!眞王陛下はこの時代に三人もの双黒の方を眞魔国に与えて下さいました。聖下の愛らしい御姿に、わだぐぢぃもぅ…しんぼぅだまりぃまぜん…」
王家の血を引いて、双黒で、頭が良くて、可愛くて……ギュンターじゃなくたって汁が出そうだ!!
ギュンターが再び汁を噴き出し倒れると、イリヤが隣りにいるコンラッドに話し掛けた。
李「なぁコンラート、あいつ何かの病気か?さっきから流血の量がハンパないぞ!」
コ「ギュンターは双黒フェチなんです。いつもは陛下への被害が凄いんですが…今日は、俺のイリヤの魅力に更に汁気が多いようですね」
婚約者に話し掛けられコンラッドはチャンスとばかりに腰に手を回して、必要以上に顔を近付けている。
……コンラッド…せめて、そのニヤけた顔だけでも止めてくれ。
李「…さっきからお前達が言う“ソウコク”って何だ?」
コ「双黒とは、髪の毛と瞳の色に黒を宿す人の事です。陛下や猊下、そして貴方の様にねv」
李「………それなら、俺は双黒じゃないぞ」
ギ「何ですと!?」
血を噴き出して倒れていたはずのギュンターがいきなり上半身を起こした……気持ち悪い。
コ「双黒じゃないって、どう見ても双黒にしか見えないけど?」
村「染めてるのかい?」
有「瞳はカラーコン入れてるとか?」
李「いや…染めてもいないし、カラーコンもしていない。まぁ、でも似たようなもんか」
グ「どういう意味だ?」
李「俺は今まで色々な旅をしてきた。世界中、何処へでもな。地球だけじゃない、異世界も随分と旅をした。ヨザック、お前なら解るだろ?」
ヨ「俺ですか?」
李「仕事がら国外の仕事もするんじゃないのか?そーゆー時、お前はどうしてる?」
ヨ「そりゃ、自分が何処の誰なのか解らないように変装を……」
李「そう、良い答えだ!ヨザックありがとう」
ヨ「いぇ…」
李「つまり、俺は行く先々でその土地に合った容姿になって、その世界の住人になりきっているわけだ!んで、たまたま最後に居た地球の日本人が黒髪、黒い瞳が多い土地だったからソレに合わせたってわけ!」
有「な、なんで、そんな事してんの?」
李「なんでって…、そりゃ自分以外の奴が皆知らない種族なんだぜ、自分の身を守る手段として仲間に溶け込むのが一番安全なんだ」
有「それは、何となく理解できるけど……じゃあ何でそんな面倒なことを点々と旅をして繰り返すの?一ヶ所にすれば知り合いだって、仲間だって出来るのに!」
李「それが一番、厄介なんだよ」
有「えっ!?」
李「いいかユーリ、俺には魔族の血が流れている。だから、普通よりも成長が遅いんだ。同じ年月を過ごして、自分だけ幼いままでは周りの人間が不信感を抱く。それに……それに、俺の本当の容姿は少し目立ちすぎるんだ。今まで色んな場所に行ったけど、俺が本来あるべき姿でいられる場所はそう多くない」
有「…………」
「「「「「「…………」」」」」」
李「Σあっ!そうか!!コンラートが俺を覚えてない訳だ!俺が21年前にコンラートに会った時、俺は丁度、今のヴォルフみたいに金髪に緑の瞳の姿をしていたんだった!」
ヴ「僕みたいに?」
李「あぁ、その時コンラートは俺に、今は離れた場所に居るが俺と同じ髪と瞳の色を宿した弟がいると言っていた」
コ「21年前…と言えば俺が地球のアメリカに居た頃……イリヤ、君はまさかあの時の!?」
李「やっと、思い出したか!」
コ「あぁ、あの頃も愛らしかったが、何て美しく成長したんだv」
コンラッドはギュッとイリヤを抱き締めた。
…今は純粋な再会の感動シーンだと信じたい。
有「あれ、ちょっと待って!コンラッドが会った時って21年前だよな?でも、今は村田と同じクラスで高校生だろ?計算合わなくね?ってかホントはいくつなわけ!?」
李「俺は…」
有「わーっっ、待った!やっぱ待った!やっぱ言わないで~」
李「…何なんだよ、お前」
コ「それでイリヤ、貴方の本当の姿は?」
李「え?見たいの?」
コ「えぇ、俺は貴方の総てを知りたい」
李「………いいけど、お前…俺の本当の姿知ったら俺の事、嫌いになるかもしれないぞ?」
コ「貴方を嫌いになる事なんて有り得ませんよv」
李「……本当か?」
熱々だな…。
ってかイリヤ、お前の本当の姿を知ってもしコンラッドが婚約解消してくれたら女の子との明るい未来が待ってるんじゃないのか!?
コンラッドの言葉にいじらしく頬をピンクに染めてお前が乙女になってどうする!!
あぁ、ほらそんな目潤ませて見上げたらコンラッドの鼻の下がデレデレだからっ!!
うわっ!グウェンダルまでデレデレだよ…怖ッ!!
コ「本当です。俺が貴方に嘘を吐いた事がありますか?」
李「……ない」
そりゃそうだろう……出会って数時間、嘘だらけの男なんて、どんだけだ!?
あっ!コンラッドがイリヤの頬を撫で始めた…。
コ「イリヤ、俺を信じて」
李「……うん」
イリヤが男じゃなかったら、美男美女のお似合いのカップルなのに……いや、美しいカップルな事には違いないけど…しかし、さっきまであんなに嫌がってたのに数分で既にラブラブってどういう事だ!?
満更でもなさそうな目でコンラッドを見つめているし……。
ヴ「……ユーリもアレくらい素直になれば……」
何だか貞操の危機を感じる言葉が聞こえた気がしたが…今は聞こえなかった事にしておこう。
李「£££££」
イリヤが良く解らない呪文のような言葉を発すると、イリヤの身体が白光に包まれた。
あまりの眩しさに一瞬目を閉じたが次に目を開けた時、さっきとは比べモノにならない位の美人がそこにいた。
腰まである白銀の髪、同色の長い睫毛の下には、これまた銀色に輝く瞳。
その総てが透き通る様に美しくて、天使みたいだ!!
生きてて良かった!こんなに美しい人に出会えるなんて…。
…………男だけど。
「「「「「「「…………」」」」」」」
李「……やっぱり、俺…変だよな?」
Σはっ!!!!!!!
あまりの美しさに全員が言葉を無くしていた。イリヤは自分の容姿に皆が見惚れているのも気付かずに、一人凹んでいる…。
コ「そうでは、ありません」
李「でもっ…皆、コンラートだってビックリしたじゃないか!やっぱり俺の容姿って変なんだろ!?」
コ「誤解です。皆、貴方の美しさに見惚れて言葉も出ないんです!」
ギュッ。とコンラッドがイリヤを抱き締めたと同時に“ぶぼっ”とギュンターが本日最大で全身の汁を噴き出した。
俺もやばい…ふと周りを見ると全員、顔を赤くして鼻と口元を押えて、耐えている。
李「コンラート、お前はどうなんだ?」
コ「全く問題ありません。それどころか益々、惚れ直しちゃいましたv」
李「………か?」
コ「え?」
李「だから……その……お前のタイプか?」
コ「勿論v 理想そのものですよ!今すぐにでも組敷きたいくらいですv」
李「……組敷かれるのは、お前だろ?」
コ「…………」
李「…………」
会話に若干のズレを感じる……イリヤが自分自身に気付くまで、このカップルの永遠のテーマになりそうだ。
ギ「でずが、ぜいががばぼくとばかり、だおがつごのびぼぉ…」
いつの間にか復活したギュンターが汁塗れになりながら何やらほざいているが……
ギュンター……何言ってんのか解んないよ……。
てか、コンラッドそろそろイリヤを離せよ!
村「兎に角、君に魔族の血が流れているなんて嬉しい誤算だよ」
グ「魔族の血が流れているならば話は早い」
ヴ「コンラートとの婚約でより一層関係も濃くなる」
有「そっかぁ~んじゃ、さっそく眞魔廟に行ってウルリーケに…」
李「ちょっと待て!」
有「ん?何?イリヤ何か他に質問でも?」
李「俺は、まだ魔族と…眞魔国と契約するとは言ってない」
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