第02話 美少女or美少年
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ピンポンパンポーン♪
『本日、12時30分より演劇部によりますリア王が体育館にて上演されます。チケットをお持ちの方は、上演時間を過ぎますと入口が閉鎖されますのでお早めにお越し下さい』
村田健が通う高校は、この辺りでは進学校と名の知れた名門校。
……んで本日、学園祭だったりする。
因みに学園は成績別クラスになっていて、村田はSA(スペシャル・エー)クラスだ。
その中でも彼は1番や2番を行ったり来たりの秀才だ。
委員会での自分の受け持つ仕事を早々と終わらせ村田健はSAクラスへ急いでいた。
思ったよりも時間が掛かってしまった。渋谷との約束まであと15分、スタツア場所はこの時期使用されていないプール。目的の人物は今、クラスの出し物の当番中だ無理やり引っ張っていけば何とか間に合うだろう。
SAクラスは普通クラスとは違う建物にある。渡り廊下を走って自分のクラスに辿り着くと村田は目的の人物の名前を呼んだ。
村「おーいイリヤ!」
イリヤと呼ばれた人物は村田と1番2番を行ったり来たりしているもう一人の秀才だ。
村田が呼ぶとトコトコと教室の入口まで歩いて来た。
李「何?今、忙しいんだけど…」
村「実はイリヤに急用があって!兎に角、一緒に来て!!」
村田はイリヤの手を取るとプールに向かってダッシュした。
李「ちょっ!?何だよ、何なんだぁぁ~まだ交代まで30分あるんだぞ!指名だって沢山…」
村「理由は後で話すよ!兎に角、今は時間がないんだ!!」
訳が分からないまま村田に引っ張られイリヤはプールに来た。
李「はぁ、はぁ…おい!何なんだ!? 何でプールなんかに……え……?」
イリヤが村田に訳を聞いている途中で村田はイリヤをプールに突き飛ばした。
李「うわぁ!!」
ドボ―――――――ン。
2人が一緒に落ちたプールには静に波紋だけを残し2人の姿は水の中に消えた。
そろそろ約束の時間だ!
魔族似てねぇ三兄弟と汁だく大佐を連れて有利は血盟城の庭の噴水前で水に手を翳した。
水面が光り、徐々に波紋を作り出す。波紋はいつしか渦となってやがてふたつの影が水面に浮び上がった。
「とうとう来た!」と誰もが思った。
…………………が
初めてこの世界に来た人物は気絶するでもなく、はたまた自分が異世界に来た事にも気付いてもいない様子だ。
何故か超美少女が、ふりふりレースとリボンがいっぱいのゴスロリの服を着ていて、もの凄い剣幕で村田の胸倉を掴んでいる。
李「村田てめぇ~いきなりプールに突き落すとはどーゆう料簡だッ!!」
村「いゃ…コレには…わけ…が…くるしぃ……」
「「「「「…………」」」」」
村田が苦しがっていると超美少女は村田を噴水の中に叩き落とした……いたそー。
皆が超美少女のあまりの美しさと剣幕の恐ろしさに口を挟めないでいると、いきなりこっちに話し掛けてきた。
李「すまないがタオルを貸してくれ」
ギ「Σはっ、はい。只今!」
事前に聖下にタオルを渡す役目を買って出たギュンターがギーゼラに怒られた時のダカスコスみたいに背筋をこれでもかってくらいに伸ばした。
……ギュンター鼻血出てるぞ!
極度の緊張と予想外の恐怖にいつもの様に壊れる事はなかったが、汁気を完全に抑える事が出来ない王佐はおずおずと超美少女に持っていたタオルを差し出す。
ギュンターに一言「ありがとう」と言い受け取った。
滴が髪から白く透き通った肌を伝う。
(((((…ごくっ。綺麗だ!)))))
噴水に沈みかけた村田もグウェンダルに引き上げられた。
李「寒っっ」
ギ「これはいけません!コンラート早く湯殿に御案内を!」
超美少女が噴水から出ようと縁に足をかけるとコンラッドが激爽スマイルで紳士的に手を差し出した。
ためらう事なくその手を取り、噴水から出る瞬間、超美少女がふとコンラッドを見た。
李「おまえ………」
コ「はい?」
李「ふぅん……お前、良い顔で笑える様になったな」
コ「え……?」
有「………?」
超美少女はコンラッドに負けない笑顔でそう言うと縁から降りて湯殿へと案内するギュンターの後をついて行った。
俺とコンラッドは「?」を浮かべながら湯殿に向かう背中を見つめた。
……だからギュンター鼻血出てるってば!!
有「…………」
コ「…………」
有「……コンラッド、知り合いなの?」
コ「いぇ……初対面のはずですが…アレだけ美しい方を忘れるはずは……」
ヴ(……Σハッ、僕としたことが、うっかり見惚れてしまった…。)
グ「……とにかく、総ては風呂から上がってからだ!」
先に風呂から上がった村田はさっき胸倉を掴まれて叩き落とされた事なんか全く気にしていない感じで意気揚々と待っていた魔族たちに言った。
村「可愛いだろ~♪」
「「「「「…………」」」」」
村「僕の通う学園のイチ押しの美人だよv ファンクラブまであって親衛隊がいるんだよ~」
有「確かに可愛いよなぁ…いやぁ~日本人にもあんな美人いるんだなぁ~」
コ「はい。俺も手をつかまれた時は今までにないくらいドキドキしました」
有「えっ?ご婦人を魅了させてやまないコンラッドが!?」
ヴ「僕もあんなに見目の良いご婦人を見たのは初めてだ!」
グ「背丈も小さくて瞳は大きくて何とも愛らしいな」
ギ「私も直接この手でタオルをお渡し出来た事に感激しております」
村「………いや……あの…υ」
眞魔国にもファンクラブが出来そうな絶賛ぶりだ。
有「ってかさ!確かに美人だけど、まさかそれだけで連れて来たんじゃ」
村「まさか!いくら僕だって自分の好みだからって無闇に拉致ったりしないよ~」
有「拉致ったのかよ!?」
村「いやぁ~思ったより時間が無くってねぇ~。説明なしにとりあえず引っ張ってってプールに突落したんだ~良かったよ約束の時間に間に合って」
有「説明なしに落としたのかよ!?」
コ「なるほど……それであんなに…」
ヴ「怒るのも無理ないな…」
有「でも何であんなゴスロリの服なんか着て…」
村「ウチの学園、今日から学祭なんだよ!」
有「学祭!?」
村「そv 因みに僕たちのクラスはコスプレ喫茶v どうせこっちの世界に連れてくるなら皆にもサービスして見せてあげようかと…あの服を着る時を狙ったんだv」
精霊使いを迎えに行くと言ってた時のニヤけていたのはこれか!
……まぁ、可愛いけど。
有「で、彼女が精霊使いなの?」
村「あ~渋谷、さっきから言おうと思っ……」
村田が何かを説明しようとした時、湯殿から悲鳴が聞こえた!
よく聞こえないが何かを激しく叫んでいる。
何事かと皆で一斉に湯殿に向かった。
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