いいたいことがあるの
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二人で夕食を作り、そして今。父と食事をしている。普段父とは夕食を食べる時間も食材も違うのでこうして、一緒に作り、食べることなんて本当に久々だ。更に父は滅多に酒を飲まないが、今日は特別だと言い酒を飲んでいる。
父が柱だった話。今は亡き母の話。私たちの話。普段なら絶対に話題にしないであろう話が父の口からすらすらと出てくる。
特に熱が入っていたのが母の話だ。
母は弟である清介を産んだ後すぐに亡くなってしまったようだ。
母の話をする父はとても楽しそうだった。目を細め、何処かを懐かしそうに見つめる姿がとても印象的だった。
楽しい夕食も終わり、就寝する時間になった。父に就寝の挨拶を済ませ自室に戻ろうとした時、父に呼び止められた。
「名前」
「なんでしょうか」
「こっちに来なさい」
父の言葉通りに動き、近づくとそっと抱きしめられた。
「父さん……?」
「……名前が鬼殺隊に入ったからにはいつ会えるかわからないからな。このぐらいさせてくれないか。いくらお前がどんなに強くなっても死ぬときは死ぬんだ」
「っ……」
「すまないな。不安にさせることを言ってしまって。俺が言うのもなんだが体には気をつけろ。それと」
「お前には小さい頃から色々と苦労をかけてしまったな。それと……鬼殺隊に入り、苗字家の当主になってくれて本当に感謝している」
涙が溢れてしまい、父の姿がぼやけて見える。父は私の目尻に溜まっている涙を拭き取ってくれた。そして、目を細めて頭を優しく撫でる。
「お前のことをいつまでも思っているからな。応援しているぞ」
父は優しい笑みを浮かべてそう告げた。
その晩。父は息を引き取った。
……父が亡くなった後のことはよく覚えていない。
たくさん。たくさん。たくさん泣いた。もう、これ以上涙なんてでないほど出し尽くしだと思っても、涙がぽろぽろと流れていく。
そういえば。沢山の人たちが家にやってきて、父に別れの挨拶をしていたっけ。
笑顔でいる人。泣き叫ぶ人。無表情の人。さまざまな人たちが来た。どの人も顔に見覚えがない人たちだ。
たくさんの人たちが父に挨拶をするたびに、あぁ、父は多くの人たちに尊敬され、愛されていて、それほど偉大な人だったと思い知らせれた。
最後の一人が父に挨拶を告げ、家から出て行った。なんだか、髪の色が派手な人だったなぁ。賑やかだった家が静寂に包まれる。
私は父の遺影に向かって就寝の挨拶を告げ、床についた。
部屋から見える月を眺めながら、今日も眠れそうにないなと溜息を吐き、目を瞑った。
「任務ー、任務ー、南南東へムカエー」
自主鍛錬をしていたところで鎹鴉が私の上をぐるぐると旋回しながら、任務を伝える。
鬼殺隊となっての初めての任務だ。くよくよしてられない。気を引き締めなければ。
身支度を終え、玄関の前に立つ。こうしていると最終選別の時のことを思い出した。
あの時は父が出迎えてくれたけど、もういない。
私は遠いところにいる父に伝わる様な声で言った。
「いってきます」
戸を閉める瞬間。
────────。
何処からか父の声が聞こえた様な気がした。
父が柱だった話。今は亡き母の話。私たちの話。普段なら絶対に話題にしないであろう話が父の口からすらすらと出てくる。
特に熱が入っていたのが母の話だ。
母は弟である清介を産んだ後すぐに亡くなってしまったようだ。
母の話をする父はとても楽しそうだった。目を細め、何処かを懐かしそうに見つめる姿がとても印象的だった。
楽しい夕食も終わり、就寝する時間になった。父に就寝の挨拶を済ませ自室に戻ろうとした時、父に呼び止められた。
「名前」
「なんでしょうか」
「こっちに来なさい」
父の言葉通りに動き、近づくとそっと抱きしめられた。
「父さん……?」
「……名前が鬼殺隊に入ったからにはいつ会えるかわからないからな。このぐらいさせてくれないか。いくらお前がどんなに強くなっても死ぬときは死ぬんだ」
「っ……」
「すまないな。不安にさせることを言ってしまって。俺が言うのもなんだが体には気をつけろ。それと」
「お前には小さい頃から色々と苦労をかけてしまったな。それと……鬼殺隊に入り、苗字家の当主になってくれて本当に感謝している」
涙が溢れてしまい、父の姿がぼやけて見える。父は私の目尻に溜まっている涙を拭き取ってくれた。そして、目を細めて頭を優しく撫でる。
「お前のことをいつまでも思っているからな。応援しているぞ」
父は優しい笑みを浮かべてそう告げた。
その晩。父は息を引き取った。
……父が亡くなった後のことはよく覚えていない。
たくさん。たくさん。たくさん泣いた。もう、これ以上涙なんてでないほど出し尽くしだと思っても、涙がぽろぽろと流れていく。
そういえば。沢山の人たちが家にやってきて、父に別れの挨拶をしていたっけ。
笑顔でいる人。泣き叫ぶ人。無表情の人。さまざまな人たちが来た。どの人も顔に見覚えがない人たちだ。
たくさんの人たちが父に挨拶をするたびに、あぁ、父は多くの人たちに尊敬され、愛されていて、それほど偉大な人だったと思い知らせれた。
最後の一人が父に挨拶を告げ、家から出て行った。なんだか、髪の色が派手な人だったなぁ。賑やかだった家が静寂に包まれる。
私は父の遺影に向かって就寝の挨拶を告げ、床についた。
部屋から見える月を眺めながら、今日も眠れそうにないなと溜息を吐き、目を瞑った。
「任務ー、任務ー、南南東へムカエー」
自主鍛錬をしていたところで鎹鴉が私の上をぐるぐると旋回しながら、任務を伝える。
鬼殺隊となっての初めての任務だ。くよくよしてられない。気を引き締めなければ。
身支度を終え、玄関の前に立つ。こうしていると最終選別の時のことを思い出した。
あの時は父が出迎えてくれたけど、もういない。
私は遠いところにいる父に伝わる様な声で言った。
「いってきます」
戸を閉める瞬間。
────────。
何処からか父の声が聞こえた様な気がした。