いいたいことがあるの
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そこはこの世のものとは思えない程美しかった。
藤襲山に着いた私はその光景に圧倒されていた。私たちを囲うようにして咲き、藤の花の芳しい香りが鼻をくすぐる。
周りを見ると私と同じくらい年頃であろう人たちが集まっている。
辺りをあちこち見渡していると、狐のお面と耳飾りを付けた少年と目が合った。
少年はにっこりと微笑み、手を振る。
私もそれに応えるように笑い、会釈をした。
久しぶりに口角を動かした気がする。
「皆さま。今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます……」
突如、黒髪の少女? 少年? が話し始めた。その言葉に続くように白髪の少年? 少女? も話し出した。
二人の話を聞くと、この山で七日間生き抜くことが最終選別の合格条件ことがわかった。
「……では行ってらっしゃいませ」
二人の話が終わり、人々は一斉に動き出し、みんなぞろぞろと山の中へ入っていく。
私は深く、深く息を吸い、吐いた。
鬼狩りになる覚悟はとっくの昔に決めているのだ。鬼の気配が充満する山の中へ歩を進めた。
山の中に入った途端、鬼の気配がより一層強くなった。辺りを注意深く見渡しながら、東へ向かおうとした。
突如、ガサガサと草木を分ける音が聞こえ、身を潜める。その音が聞こえた方へ目を向けるとと鬼がのそのそと歩いているではないか。
どうやら鬼は私の存在に気付いていないようだ。
先手必勝。殺される前にやらなくては。
影の呼吸 壱ノ型 含沙射影
鬼の首が飛ぶ、鬼は呆けた顔をしてこちらを見ている。自分の首が飛んだことを理解していないようだ。
鬼の首がぼとりと地面に落ちた。鬼はようやく、自分の首が切られたことに気づいたようだ。
「……っ、よくも首を切りやがったなぁ!!!このガキが!!!」
私への罵詈雑言が止めどなく流れる。血で汚れてしまった刀をそっと拭き取り、鬼に背を向ける。
罵詈雑言がだんだんと小さくなる。
ちらりと後ろ見るとそこには、鬼はもういなかった。
鬼の消滅を確認し、私は東の方へ進む。何処からか鬼が出てきて、その度に首を切る。
もう、何体倒したか覚えていない。
疲労が蓄積しており、流石にこれ以上行動をするのは危険だ。
隠れそうな場所を見つけることができた。そこで一休みすることにする。
この試練は想像以上に辛く、厳しい。
気が滅入ってしまう。思わず大きな溜息を吐いてしまった。
……でもよくよく考えてみると、この十年程毎日のように父から受けてきた地獄の鍛錬よりかは、こっちの方がまだ、ましかな……
藤襲山に着いた私はその光景に圧倒されていた。私たちを囲うようにして咲き、藤の花の芳しい香りが鼻をくすぐる。
周りを見ると私と同じくらい年頃であろう人たちが集まっている。
辺りをあちこち見渡していると、狐のお面と耳飾りを付けた少年と目が合った。
少年はにっこりと微笑み、手を振る。
私もそれに応えるように笑い、会釈をした。
久しぶりに口角を動かした気がする。
「皆さま。今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます……」
突如、黒髪の少女? 少年? が話し始めた。その言葉に続くように白髪の少年? 少女? も話し出した。
二人の話を聞くと、この山で七日間生き抜くことが最終選別の合格条件ことがわかった。
「……では行ってらっしゃいませ」
二人の話が終わり、人々は一斉に動き出し、みんなぞろぞろと山の中へ入っていく。
私は深く、深く息を吸い、吐いた。
鬼狩りになる覚悟はとっくの昔に決めているのだ。鬼の気配が充満する山の中へ歩を進めた。
山の中に入った途端、鬼の気配がより一層強くなった。辺りを注意深く見渡しながら、東へ向かおうとした。
突如、ガサガサと草木を分ける音が聞こえ、身を潜める。その音が聞こえた方へ目を向けるとと鬼がのそのそと歩いているではないか。
どうやら鬼は私の存在に気付いていないようだ。
先手必勝。殺される前にやらなくては。
影の呼吸 壱ノ型 含沙射影
鬼の首が飛ぶ、鬼は呆けた顔をしてこちらを見ている。自分の首が飛んだことを理解していないようだ。
鬼の首がぼとりと地面に落ちた。鬼はようやく、自分の首が切られたことに気づいたようだ。
「……っ、よくも首を切りやがったなぁ!!!このガキが!!!」
私への罵詈雑言が止めどなく流れる。血で汚れてしまった刀をそっと拭き取り、鬼に背を向ける。
罵詈雑言がだんだんと小さくなる。
ちらりと後ろ見るとそこには、鬼はもういなかった。
鬼の消滅を確認し、私は東の方へ進む。何処からか鬼が出てきて、その度に首を切る。
もう、何体倒したか覚えていない。
疲労が蓄積しており、流石にこれ以上行動をするのは危険だ。
隠れそうな場所を見つけることができた。そこで一休みすることにする。
この試練は想像以上に辛く、厳しい。
気が滅入ってしまう。思わず大きな溜息を吐いてしまった。
……でもよくよく考えてみると、この十年程毎日のように父から受けてきた地獄の鍛錬よりかは、こっちの方がまだ、ましかな……