風間夢
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次の日の朝。
席に座った途端、風間はやたら興奮した様子で私に話しかけてきた。珍しいこともあるもんだ。風間がこんなに興奮するなんて。
こんなに興奮するのは彼がカッパのミイラを手に入れたとき以来だったような。まぁ、それは結局ニセモノだったんだけどね。
「聞いてくれ!! 昨日僕は同志と会ったんだ。まさにアレは運命の出会いだったよ」
「何があったの?」
「昨日僕は七不思議の会に参加すると言っていただろ。そこに新聞部の一年が聞き手としてやってきてね。名は坂上修一。僕ほどではないけど中々のカッコマンだと思うよ。その坂上君がすごいんだ。なんと、長官のふりをしたニャリン星人を倒してしまったんだ。彼はスンバラリアの英雄だよ! まぁ、坂上君は地球人なんだけどね。でもそんなことはどうでもいい。一目見たときから彼は只者ではないと僕は思っていたんだよ。いやぁ、まさかあんなことになるとは……」
今日も始まったよ風間の長話が。いつもなら話半分に聞いて適当に相槌を打つのだけれど、今日はきちんと風間の話を聞いてあげることにした。このくだらない話を聞けるのもあとちょっとしかないから。
「そうそう、君に渡す物があるんだった」
そう言って風間はカバンから何かを取り出して私に差し出してきた。
「ふふん。聞いて驚け、これは幸運を呼ぶとってもありがたーい人形なんだ」
風間が私に差し出している人形は二十センチもある大きさで、見た目がその……風間とそっくりなのだ。風間本人をそのまま二十センチに縮めたような代物で完成度がやたら高い。私は当惑した。
「……これが?」
「そうだよ」
「これ風間だよね。もしかして自分で作ったの?」
「あぁ、僕が丹念に丹念を重ねて作った人形さ。僕が作った人形だよ? そんなの幸運が舞い降りるに決まっているじゃないか」
人形を掲げてドヤ顔をする風間を見てやっぱり話を聞かなくてもよかったのではないかと今更だけど思う。
「宇宙に一つしかない逸品だ。大事にしてくれたまえよ」
そう言って風間は私の手に例の人形を握らせる。
「うん……ありがとう。大事にするよ。ははっ……」
私は引き攣った笑顔を浮かべた。
放課後になり、帰ろうとする私の前を風間が立ち塞がる。なんだか嫌な予感がしつつも恐る恐る尋ねる。
「どうしたの?」
「旧校舎でこっくりさんをやろうじゃないか!」
「えぇ……? なんで?」
「昨日の七不思議の会で旧校舎にまつわる話を色々と聞いたんだ。話に影響されて旧校舎に行きたくなってきたんだよ。色々な噂が蔓延る旧校舎でこっくりさんをやったらとんでもないことが起きそうでワクワクするよね? では旧校舎へレッツゴーだ!」
風間は私の返事を待たずに旧校舎へ歩を進めている。
……やっぱりこうなってしまったか。私はため息を吐いた。何事も起きませんようにとカバンに手を入れて例の人形を握りしめ、祈る。そして、私は重い足取りで風間の後を追った。
旧校舎に着き、五百円玉を使ってこっくりさんをしたら風間曰く「最高級の悪霊」が降りてきてしまったそうだ。
頭に「死」の文字がチラつく中、質問をしたところ最高級の悪霊は質問に快く答えてくれたのだ。こっくりさんを終え、私達は何のトラブルも無く旧校舎から出られた。
あっさりとこっくりさんを終えて私は拍子抜けした。しかもあの曰く付きの旧校舎に訪れて何事もなかったことにも驚いた。
もしや例の人形の効果とか? ……そんな訳ないか。
わざわざと旧校舎へ出向いてこっくりさんをやったのに何も起きなかったことに風間は腹を立てていた。
それからいつものように風間と駄弁りながら帰り道を歩いていると何やら困っている様子のおばあちゃんと遭遇した。話を聞いてみるとおばあちゃんは道に迷っていて駅に向かいたいとのことだ。
道案内をするとおばあちゃんがお礼にと五千円を渡してくれた。お金を受け取った風間は先程まで腹を立てていたことを忘れて大層喜んでいた。
ちょうどお腹が減っていたので私達はそのお金を持ってファミレスで一緒にご飯を食べた。それからファミレスで風間と別れ、一人歩きながら今日の出来事を思い返す。
まさかこんなことになるなんて思いもよらなかった。やっぱり例の人形の効果が出た……のかもしれない。
カバンから人形を取り出して手に持つ。幸運の人形はにっこりと微笑んでいる。
風間望がいなくなるまであと二日。
席に座った途端、風間はやたら興奮した様子で私に話しかけてきた。珍しいこともあるもんだ。風間がこんなに興奮するなんて。
こんなに興奮するのは彼がカッパのミイラを手に入れたとき以来だったような。まぁ、それは結局ニセモノだったんだけどね。
「聞いてくれ!! 昨日僕は同志と会ったんだ。まさにアレは運命の出会いだったよ」
「何があったの?」
「昨日僕は七不思議の会に参加すると言っていただろ。そこに新聞部の一年が聞き手としてやってきてね。名は坂上修一。僕ほどではないけど中々のカッコマンだと思うよ。その坂上君がすごいんだ。なんと、長官のふりをしたニャリン星人を倒してしまったんだ。彼はスンバラリアの英雄だよ! まぁ、坂上君は地球人なんだけどね。でもそんなことはどうでもいい。一目見たときから彼は只者ではないと僕は思っていたんだよ。いやぁ、まさかあんなことになるとは……」
今日も始まったよ風間の長話が。いつもなら話半分に聞いて適当に相槌を打つのだけれど、今日はきちんと風間の話を聞いてあげることにした。このくだらない話を聞けるのもあとちょっとしかないから。
「そうそう、君に渡す物があるんだった」
そう言って風間はカバンから何かを取り出して私に差し出してきた。
「ふふん。聞いて驚け、これは幸運を呼ぶとってもありがたーい人形なんだ」
風間が私に差し出している人形は二十センチもある大きさで、見た目がその……風間とそっくりなのだ。風間本人をそのまま二十センチに縮めたような代物で完成度がやたら高い。私は当惑した。
「……これが?」
「そうだよ」
「これ風間だよね。もしかして自分で作ったの?」
「あぁ、僕が丹念に丹念を重ねて作った人形さ。僕が作った人形だよ? そんなの幸運が舞い降りるに決まっているじゃないか」
人形を掲げてドヤ顔をする風間を見てやっぱり話を聞かなくてもよかったのではないかと今更だけど思う。
「宇宙に一つしかない逸品だ。大事にしてくれたまえよ」
そう言って風間は私の手に例の人形を握らせる。
「うん……ありがとう。大事にするよ。ははっ……」
私は引き攣った笑顔を浮かべた。
放課後になり、帰ろうとする私の前を風間が立ち塞がる。なんだか嫌な予感がしつつも恐る恐る尋ねる。
「どうしたの?」
「旧校舎でこっくりさんをやろうじゃないか!」
「えぇ……? なんで?」
「昨日の七不思議の会で旧校舎にまつわる話を色々と聞いたんだ。話に影響されて旧校舎に行きたくなってきたんだよ。色々な噂が蔓延る旧校舎でこっくりさんをやったらとんでもないことが起きそうでワクワクするよね? では旧校舎へレッツゴーだ!」
風間は私の返事を待たずに旧校舎へ歩を進めている。
……やっぱりこうなってしまったか。私はため息を吐いた。何事も起きませんようにとカバンに手を入れて例の人形を握りしめ、祈る。そして、私は重い足取りで風間の後を追った。
旧校舎に着き、五百円玉を使ってこっくりさんをしたら風間曰く「最高級の悪霊」が降りてきてしまったそうだ。
頭に「死」の文字がチラつく中、質問をしたところ最高級の悪霊は質問に快く答えてくれたのだ。こっくりさんを終え、私達は何のトラブルも無く旧校舎から出られた。
あっさりとこっくりさんを終えて私は拍子抜けした。しかもあの曰く付きの旧校舎に訪れて何事もなかったことにも驚いた。
もしや例の人形の効果とか? ……そんな訳ないか。
わざわざと旧校舎へ出向いてこっくりさんをやったのに何も起きなかったことに風間は腹を立てていた。
それからいつものように風間と駄弁りながら帰り道を歩いていると何やら困っている様子のおばあちゃんと遭遇した。話を聞いてみるとおばあちゃんは道に迷っていて駅に向かいたいとのことだ。
道案内をするとおばあちゃんがお礼にと五千円を渡してくれた。お金を受け取った風間は先程まで腹を立てていたことを忘れて大層喜んでいた。
ちょうどお腹が減っていたので私達はそのお金を持ってファミレスで一緒にご飯を食べた。それからファミレスで風間と別れ、一人歩きながら今日の出来事を思い返す。
まさかこんなことになるなんて思いもよらなかった。やっぱり例の人形の効果が出た……のかもしれない。
カバンから人形を取り出して手に持つ。幸運の人形はにっこりと微笑んでいる。
風間望がいなくなるまであと二日。