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FF14の創作小説(シロエの冒険譚)

 あれから数日、特に何事もなく日常が過ぎていた。

 研究者のサポートの合間に、ギルドに寄せられた比較的簡単な制作物の大量納品を制作する。

 ギルドに入り、始めはばらばらだった品質も今は一定に作ることが出来、それなりに依頼者には好評である。いつ入るかわからない研究者のサポートを気にしつつ一定に保つというのは、自分にとっていい訓練になっているようだ。

 また一本、依頼物を完成させ納品箱へ入れようとした時、

「こんにちは、モモディ女史から紹介を受けてきたんだが・・・」

 聞き覚えのある声、それは数日前に冒険者ギルド前で聞いた女性をかばった声と似ていて思わず振り返ってしまった。

 そこには受付に向かって紹介状を渡す一人の男性。あの時の強い光を宿した瞳をそのままに柔和に微笑み受付と話をしていた。

「丁度良かった。ギルマスにこちらの方を紹介してもらえる?」

 受付がこちらに気づき、声を掛けられる、

「いいですよ。こちらへどうぞ・・・・えっと、お名前は?」

 内心ドキドキしながら、聞いてみる。

「ヒロシといいます。今、事情があってウルダハに滞在しながら出来る仕事を探していて、モモディ女史に聞いた所、こちらで募集をしていると聞きお邪魔しました。」

 もっとくだけで話すのかと思ったが、しっかりと丁寧に返答するヒロシは、俺の事に気づいていないようだった。

 そうこうしている間に、ギルマスのデスクに着き声をかける。

「ギルマス、こちらヒロシさん。今回の募集を見ていらしたようです。」

 いつもより不機嫌なギルマスが、イライラしながら、

「あの受付め、面倒な事を押し付けてきたな」

 ぶつぶつと独り言のように恨み言を話していたが、ふと思いついたようにヒロシに一つの課題を出す。これが出来れば、ギルドに入れるようだ。

「必要なものは、そこに居るサポーターに言え」

 その言葉を最後に研究に戻っていく・・・。

 ここのギルドは、面倒ごとを押し付け合うのが好きなのか。ため息をつきたくなる心境を、息を吸う事で飲み込む。

 そして、ヒロシに向き直り、

「初めてという事で、よろしかったですよね。保管庫にある、貸出用の道具をお貸しします。手続きもあるので別室でお待ちください」

 それからヒロシを別室に案内したあと、貸出用の器具と素材それらの使用書類を持ち案内した部屋へ戻る。

 書類の説明とサインをしてもらい、器具の説明と簡単な作り方を説明する。今回の課題は、蒸留水。初歩の初歩ではあるが、これによって最終的に出来る薬の質が変わってくる大事な中間素材になる。

 説明をしていると、じっとこちらを見るヒロシと目が合う。

「あの、私の顔に何かついていますか?」

 気まずくなり、聞いてみた。

「いや、丁寧に教えてくれるんだなとおもいまして・・・。あちらの方は、器具と素材だけ渡されていたようなので」

 見ると、先ほどは居なかったギルド加入者と思しき人が一人。説明書を見て険しい顔で器具をいじっている。

 あれも貸出用のマークがついているからギルドの器具で間違いない。慌てて、その人に器具の説明をする。壊されては、また発注しないといけなくなってしまう。

「途中で離れてしまい、すみません」

 あやまる俺に、ヒロシは大丈夫だと言ってくれた。

 それから、蒸留水を作成し出来たものを見てみる。初めて作ったとは思えないほど品質に少し驚く。これなら合格だろう。不安そうにこちらを見るヒロシに問題がないことを伝え、ギルマスに持って行くようにうながす。

 去っていく背中を見送り、あと片付けをしながらもう一人の加入者をみてみるが、あきらめてギルドを去っていったようだった。

 門を叩くすべての人が、簡単に入れるようなものではないのだと再確認したのだった。





 次の日から、ヒロシはギルマス専属の助手として働くことになっていた。本職としてではなく、冒険者の副業としてなので毎日来るというわけではないようだった。

 ここ数日は自分の仕事をこなしながら、ヒロシに基礎を教えるようになっていた。最初に教えてから分からない事は俺に聞くようになっていたからだ。

「今度頼まれた薬品、これなんだがレシピあるか?」

 この頃になると、ヒロシは口調も砕け親しげに話しかけてくるようになっていた。

「これならありますね。今持ってきます」

 微笑みかけながら、そう返事をする。

 呑み込みが早く丁寧な作業。これはすぐに自分を追い越されてしまうだろうな、そんな事を思いつつ今回頼まれたという薬品の材料と作り方のレシピを渡す。レシピは、俺なりに注意を書き込んだもので、今はそれだけで作ることが出来るようになっていた。



 とある日、備品追加のため作業をしていると、

「シロエ、少し時間良いか?」

 振り向くと、ヒロシが作業を終えてこちらへ向かってくる。

 なんでも、冒険者の仕事のほうで長くウルダハを空けるとの事。ギルマスにも伝えたらしいが、小言を言われたらしい。目に浮かぶ情景に思わず笑いが浮かぶ。

「あまり無茶しないように頑張ってくださいね」

 サンキュと言いながら、クシャっと笑うヒロシにつられて笑う。

「そうだ、お守り代わりにそこのポーションあげますよ」

 そう言いながら、棚にあるポーションを渡す。

「それって、だいぶ前から残ってるポーションだよな?棚整理に俺を使うなよ」

 そう笑うヒロシは、ありがとうと言って出て行った。

 冒険者と言うのは、死と隣り合わせだいつ死んでもおかしくない最前線である。無事に帰ってくることを祈りながら、自分の仕事へと戻る。















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