FF14の創作小説(シロエの冒険譚)
とある部屋に日が差し込み始めベッドを照らした。そのベッドからは、ミコッテ特有の耳と細く短い銀髪が覗いている。
規則正しく動いていたそれは、もぞもぞと動き始め、いつも付けている眼鏡を探し手を伸ばした。数度失敗しつつ眼鏡をかけた青年は、まだ眠いまぶたをこじ開け部屋を見渡す。
朝日を浴びた部屋はきらきらと砂埃が舞っている。その空気を入れ替えるように青年は勢いよく窓を開けた。
アルデナード小大陸の南端、荒野ザナラーンにある砂の都「ウルダハ」
かつて鉱山都市として栄えたその都市は、現在は隊商行き交う交易都市国家として知られている。
商機を求めて多く人が訪れるこの国では、表の華やかさと裏腹に富裕層と貧困層の差が大きく治安は良い方とは言えない。誰かが困っていても見て見ぬふりをするのが当たり前のような場所である。
それが青年、シロエの住む国なのである。
身支度もそこそこに、部屋後にする。今日は、恩人の墓参りの日として仕事場の錬金術師ギルドに休みの申請をしている。
街の入り口で、頼んでおいたギャリッジに乗り込む。荷物確認の後、ギャリッジはゆっくりと街をでて東ザナラーンに向けて出発した。
自分以外にも一組の相乗りがあったらしく行商の荷物も含めると少し手狭のように感じる。
「お客さん、お一人で東ザナラーンまでって何しに行くんだい?」
御者が、他愛ない話を持ちかける。
「墓参りですよ。今日が命日なんです」
「今日ってことは、もしかして第七霊災の・・・?」
第七霊災は、5年前月のダラガブが落下し、それに伴う蛮神バハムートの出現と都市を焼き尽くすという大災害だった。亡くなった人は数多く、恩人もその一人となってしまった。
少しうつむいて黙ってしまった僕に御者は慌てて話を変える。
「そういえば、数日前に行き倒れを拾いましてね。身なりは少しボロボロだったんですけど面白い男でしたよ」
それからは、御者に相槌を打ち代り映えのしない景色を見ていた。
しばらくして、東ザナラーンのキャンプ・ドライホーンに着き御者と別れ、墓の管理をしているイリュド神父に会いに行った。
イリュド神父は静かに振り返りこちらに気づくと、
「久しぶりですね。お待ちしておりましたよ」
そう言って椅子をすすめてくれる。イリュド神父は、恩人が生きていた頃から交流があり素材採取などでこちら気に来た時には、よくお世話になっていた。
近況報告もそこそこに、墓参りに行く。綺麗とは言い難い墓を掃除し花と祈りをささげる。ザナラーンの強い日差しを、柔らかな風が少し緩和してくれているようだ。
昼が過ぎたころ、乗り合いのギャリッジが早めに出発するということで再度イリュド神父に挨拶しキャンプ・ドライホーンを出た。
行きと違い少し強めの風が吹く荒野を進み途中休憩を入れながらウルダハの街へ着いた。
いつもより騒がしいそこには、一人の女性を数人の男性が見下ろし、それを取り囲むように人だかりが出来ていた。
「何があったんですか?」
適当な人に聞いてみるとすぐに返答があった。
「なんでも、店の商品をあの女が盗んだんだと」
貧困層が飢えをしのぐために店の商品を盗む。よくある話だ。
女性が助けを求め周りを見渡す。一瞬目が合い、頭がぐらっとする。目の前に見たことのない光景が見え始め、先ほどの女性がお金を払って商品をもらっている。白昼夢のようなそれはとても長く感じるが実際には一瞬。
こちらを見ている女性から目をそらす。ここでは、それが”当たり前”。誰も助ける人はいない、そのはずだった。
「その女性。ちゃんとギル支払ってたぞ」
その声は、後ろからそしてはっきりと聞こえた。一瞬固まった空気。その空気を破るように前に歩き出る男性が一人。
瞳の奥にある強い意志のある光に、目が離せなくなった。
この街の暗黙の了解である”当たり前”に対しその男は何の躊躇も見せずに堂々と立っていた。まるでそれが”当たり前”かのように。
「俺にいちゃもんつけるのか?」
そう言いながら、後ろに控えていたゴロツキに合図を送る。そしてゴロツキ達は男に殴りかかる。それを受け流し反撃する様に衝撃を受けた。周りも盛り上がり大きな声に耳を塞ぎたくなる。
しかし、優勢だったのも最初のほうだけ。多勢に無勢、あと少しという所で押され始めてきたのである。それでも、男の目はとても真っすぐに前を見据え負けてたまるかとその闘志を燃やしているかのようだった。
「なんであいつは、あきらめないんだよ・・・」
俺の口から洩れる声は周りの声にかき消された。無意識に、腰の片手幻具に手を伸ばし後ずさる。いまにも負けそうな男にリジェネを掛けて走り去った。いったい自分は何をしているのか、”当たり前”から外れたらどうなるか、それは火を見るより明らかだ。
人通りの少なくなった路地を駆け抜け、しばらく走った角で壁に背中を預け息を整える。吐きそうになるのをこらえながら周りを見たが、あの人だかりのおかげで追いかけてくる人はいないようだ。
ほっとして、帰路につく。家に帰ったあとご飯も食べずに死んだように眠りについた。
翌日、空腹で目が覚めたので周りを警戒しながら市場で朝ご飯を買い、特に変わった様子もない街にほっとしながら錬金術師ギルドへ向かう。
「おはようございます」
ギルドに入って挨拶をし、仕事の内容を確認する。いつもの流れだ。
在庫管理から始まり、主要な研究や個人研究者からの要請に応じて材料を持っていく。足りないものに関しては、現地調達もある。これらのサポートをするのが俺の仕事だ。
同じ仕事をしている同僚が、
「昨日のすごかったよな!」
唐突な声掛けにびっくりしつつ返答を返す。外では良く見られるために敬語を忘れないようにしている。
「何かありましたか?」
「何って、昨日の喧嘩だよ!女性がもの盗んだとかで冒険者ギルドの前で喧嘩があったんだ。お前見てないのか?」
一瞬ドキリとしたが、あの後どうなったかも気になっていた。
「そんな事があったんですね。昨日は、墓参りでいなかったので合わなかったようです。喧嘩はどうなったんですか?」
「それがな、女性を擁護した方が最初は優勢だったんだが途中押され始めて、もうだめかと思ったときに巻き返して勝っちまったんだよ!」
「そうだったんですね」
二人が無事だったことに少しホッとしつつ、作業に戻る。あまり長く話していると周りから良くみられないのは学習済みだ。
規則正しく動いていたそれは、もぞもぞと動き始め、いつも付けている眼鏡を探し手を伸ばした。数度失敗しつつ眼鏡をかけた青年は、まだ眠いまぶたをこじ開け部屋を見渡す。
朝日を浴びた部屋はきらきらと砂埃が舞っている。その空気を入れ替えるように青年は勢いよく窓を開けた。
アルデナード小大陸の南端、荒野ザナラーンにある砂の都「ウルダハ」
かつて鉱山都市として栄えたその都市は、現在は隊商行き交う交易都市国家として知られている。
商機を求めて多く人が訪れるこの国では、表の華やかさと裏腹に富裕層と貧困層の差が大きく治安は良い方とは言えない。誰かが困っていても見て見ぬふりをするのが当たり前のような場所である。
それが青年、シロエの住む国なのである。
身支度もそこそこに、部屋後にする。今日は、恩人の墓参りの日として仕事場の錬金術師ギルドに休みの申請をしている。
街の入り口で、頼んでおいたギャリッジに乗り込む。荷物確認の後、ギャリッジはゆっくりと街をでて東ザナラーンに向けて出発した。
自分以外にも一組の相乗りがあったらしく行商の荷物も含めると少し手狭のように感じる。
「お客さん、お一人で東ザナラーンまでって何しに行くんだい?」
御者が、他愛ない話を持ちかける。
「墓参りですよ。今日が命日なんです」
「今日ってことは、もしかして第七霊災の・・・?」
第七霊災は、5年前月のダラガブが落下し、それに伴う蛮神バハムートの出現と都市を焼き尽くすという大災害だった。亡くなった人は数多く、恩人もその一人となってしまった。
少しうつむいて黙ってしまった僕に御者は慌てて話を変える。
「そういえば、数日前に行き倒れを拾いましてね。身なりは少しボロボロだったんですけど面白い男でしたよ」
それからは、御者に相槌を打ち代り映えのしない景色を見ていた。
しばらくして、東ザナラーンのキャンプ・ドライホーンに着き御者と別れ、墓の管理をしているイリュド神父に会いに行った。
イリュド神父は静かに振り返りこちらに気づくと、
「久しぶりですね。お待ちしておりましたよ」
そう言って椅子をすすめてくれる。イリュド神父は、恩人が生きていた頃から交流があり素材採取などでこちら気に来た時には、よくお世話になっていた。
近況報告もそこそこに、墓参りに行く。綺麗とは言い難い墓を掃除し花と祈りをささげる。ザナラーンの強い日差しを、柔らかな風が少し緩和してくれているようだ。
昼が過ぎたころ、乗り合いのギャリッジが早めに出発するということで再度イリュド神父に挨拶しキャンプ・ドライホーンを出た。
行きと違い少し強めの風が吹く荒野を進み途中休憩を入れながらウルダハの街へ着いた。
いつもより騒がしいそこには、一人の女性を数人の男性が見下ろし、それを取り囲むように人だかりが出来ていた。
「何があったんですか?」
適当な人に聞いてみるとすぐに返答があった。
「なんでも、店の商品をあの女が盗んだんだと」
貧困層が飢えをしのぐために店の商品を盗む。よくある話だ。
女性が助けを求め周りを見渡す。一瞬目が合い、頭がぐらっとする。目の前に見たことのない光景が見え始め、先ほどの女性がお金を払って商品をもらっている。白昼夢のようなそれはとても長く感じるが実際には一瞬。
こちらを見ている女性から目をそらす。ここでは、それが”当たり前”。誰も助ける人はいない、そのはずだった。
「その女性。ちゃんとギル支払ってたぞ」
その声は、後ろからそしてはっきりと聞こえた。一瞬固まった空気。その空気を破るように前に歩き出る男性が一人。
瞳の奥にある強い意志のある光に、目が離せなくなった。
この街の暗黙の了解である”当たり前”に対しその男は何の躊躇も見せずに堂々と立っていた。まるでそれが”当たり前”かのように。
「俺にいちゃもんつけるのか?」
そう言いながら、後ろに控えていたゴロツキに合図を送る。そしてゴロツキ達は男に殴りかかる。それを受け流し反撃する様に衝撃を受けた。周りも盛り上がり大きな声に耳を塞ぎたくなる。
しかし、優勢だったのも最初のほうだけ。多勢に無勢、あと少しという所で押され始めてきたのである。それでも、男の目はとても真っすぐに前を見据え負けてたまるかとその闘志を燃やしているかのようだった。
「なんであいつは、あきらめないんだよ・・・」
俺の口から洩れる声は周りの声にかき消された。無意識に、腰の片手幻具に手を伸ばし後ずさる。いまにも負けそうな男にリジェネを掛けて走り去った。いったい自分は何をしているのか、”当たり前”から外れたらどうなるか、それは火を見るより明らかだ。
人通りの少なくなった路地を駆け抜け、しばらく走った角で壁に背中を預け息を整える。吐きそうになるのをこらえながら周りを見たが、あの人だかりのおかげで追いかけてくる人はいないようだ。
ほっとして、帰路につく。家に帰ったあとご飯も食べずに死んだように眠りについた。
翌日、空腹で目が覚めたので周りを警戒しながら市場で朝ご飯を買い、特に変わった様子もない街にほっとしながら錬金術師ギルドへ向かう。
「おはようございます」
ギルドに入って挨拶をし、仕事の内容を確認する。いつもの流れだ。
在庫管理から始まり、主要な研究や個人研究者からの要請に応じて材料を持っていく。足りないものに関しては、現地調達もある。これらのサポートをするのが俺の仕事だ。
同じ仕事をしている同僚が、
「昨日のすごかったよな!」
唐突な声掛けにびっくりしつつ返答を返す。外では良く見られるために敬語を忘れないようにしている。
「何かありましたか?」
「何って、昨日の喧嘩だよ!女性がもの盗んだとかで冒険者ギルドの前で喧嘩があったんだ。お前見てないのか?」
一瞬ドキリとしたが、あの後どうなったかも気になっていた。
「そんな事があったんですね。昨日は、墓参りでいなかったので合わなかったようです。喧嘩はどうなったんですか?」
「それがな、女性を擁護した方が最初は優勢だったんだが途中押され始めて、もうだめかと思ったときに巻き返して勝っちまったんだよ!」
「そうだったんですね」
二人が無事だったことに少しホッとしつつ、作業に戻る。あまり長く話していると周りから良くみられないのは学習済みだ。
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