ストーリー•一章
いつもの稽古が終わったころ、俺はカミューの部屋へ向かっていた。
昨日の雨が嘘のように晴れ渡り、いつもより植物が生命力に満ちているように見える。
カミューの部屋の前には衛兵が二人。挨拶をして中に入れてもらう。
中ではもう、カミューとクラウディアがそろっていた。
「遅い!もうずっと待ってたんだから」
「そんなこと言っても、仕方ないだろう。稽古をサボるわけにはいかない」
膨れるクラウディアに、言葉を返しながらカミューに目を向ける。
「それで?隠し通路はどうだった?」
「問題ないよ。城の脱出用の通路は把握できた」
何があるかはわからないので剣の準備もしっかりして、カミューの部屋にある入り口から隠し通路へと入っていった。
暗くじめじめした通路に魔術のランタンが揺らめく。
「クラウディア。ちょっと歩きづらいんだけど・・・」
カミューにぴったりくっついて後ろを歩くクラウディア。
暗がりが怖いのか時々小さな肩を震わせていた。
カミューの指示で先頭をしばらく歩くと、水路とつながる道へと出た。
そろそろ外が近いらしく、暗闇に慣れた目は外からの陽光を捕らえる。
水路の外は、街の裏路地へと繋がっていて大通りも近いのかにぎやかな声が聞こえる。
カミュー達と声のするほうへ進み、角を曲がって大通りへ入る。
祭り以外での城の外、覚えているのはおぼろげな赤やオレンジに包まれた古い建物。
角を曲がってその瞳に入ってきたのは、みずみずしい果物や野菜、見たことのないアクセサリーや小物、出店もありとても香ばしいかおりが辺りに漂っている。
子連れの親子に、物を売る店主、人々が行きかう大通りはとても鮮やかで活気にあふれていた。
それらに圧倒されて立ち尽くしていると、
「さすがにこの格好だと、目立つね。服屋で、目立たないよう見繕ってもらおう」
カミューが提案することで、はっとし目的を思い出す。
それから適当な服屋へ移動し、服を見繕ってもらう。
「お金は大丈夫。市場の金銭感覚を養うようにと預けられてるお金があるからね」
そう言ってカミューが、支払いを済ませてしまった。
こんな時自分のお金があればと思うが、城から出る事を禁じられている俺にお金が手に入るわけもなく。
カミューの申し出を断る事は出来なかった。
カミューと俺は動きやすく軽い服を選んでもらった。
クラウディアは、少々時間がかかったものの一着を選んだようだった。
しばらく歩き、適当な店を見て回り枯れない花の情報を集める。
「お嬢さん綺麗だね。串焼きを一本どうだい?おいしいよ」
その言葉に、クラウディアは目を輝かせる。
普段屋台の食べ物を食べることが出来ないクラウディアにとって、新鮮な経験だったらしい。
俺は、カミューを見て肩をすくめる。
苦笑しながら屋台の店主に、串焼きを3本注文するその姿はとても王族には見えない。
「親父さん、ここら辺で枯れない花の噂とかって聞いたことある?例えば、誰かが実際に見たとか」
串が焼き終わるまでに時間があるため、本来の目的を聞いてみる。
店主は考え込みながら、特にそういった話を聞いたことがないという。
3件目が空振りに終わり、買った串もあったので座れるところを探す。
丁度良い木陰があったので、そこで食べ始める。
最初はうまく食べれず苦戦していたクラウディアも最後まで食べてご満悦のようだった。
カミューが軽い飲み物を渡すのを見ながら、
「街には、あまり噂が流れていないのかもしれないな」
そういう俺に、飲み物を飲み終えたクラウディアが言う。
「結論を出すには、早いわ。この街はまだまだ広い。他の地区なら違う話が聞けるかもしれないじゃない」
「なら、また日を改める必要があるね」
濃く、そして長くなった影を見つめ、二人に頷き街を後にした。
昨日の雨が嘘のように晴れ渡り、いつもより植物が生命力に満ちているように見える。
カミューの部屋の前には衛兵が二人。挨拶をして中に入れてもらう。
中ではもう、カミューとクラウディアがそろっていた。
「遅い!もうずっと待ってたんだから」
「そんなこと言っても、仕方ないだろう。稽古をサボるわけにはいかない」
膨れるクラウディアに、言葉を返しながらカミューに目を向ける。
「それで?隠し通路はどうだった?」
「問題ないよ。城の脱出用の通路は把握できた」
何があるかはわからないので剣の準備もしっかりして、カミューの部屋にある入り口から隠し通路へと入っていった。
暗くじめじめした通路に魔術のランタンが揺らめく。
「クラウディア。ちょっと歩きづらいんだけど・・・」
カミューにぴったりくっついて後ろを歩くクラウディア。
暗がりが怖いのか時々小さな肩を震わせていた。
カミューの指示で先頭をしばらく歩くと、水路とつながる道へと出た。
そろそろ外が近いらしく、暗闇に慣れた目は外からの陽光を捕らえる。
水路の外は、街の裏路地へと繋がっていて大通りも近いのかにぎやかな声が聞こえる。
カミュー達と声のするほうへ進み、角を曲がって大通りへ入る。
祭り以外での城の外、覚えているのはおぼろげな赤やオレンジに包まれた古い建物。
角を曲がってその瞳に入ってきたのは、みずみずしい果物や野菜、見たことのないアクセサリーや小物、出店もありとても香ばしいかおりが辺りに漂っている。
子連れの親子に、物を売る店主、人々が行きかう大通りはとても鮮やかで活気にあふれていた。
それらに圧倒されて立ち尽くしていると、
「さすがにこの格好だと、目立つね。服屋で、目立たないよう見繕ってもらおう」
カミューが提案することで、はっとし目的を思い出す。
それから適当な服屋へ移動し、服を見繕ってもらう。
「お金は大丈夫。市場の金銭感覚を養うようにと預けられてるお金があるからね」
そう言ってカミューが、支払いを済ませてしまった。
こんな時自分のお金があればと思うが、城から出る事を禁じられている俺にお金が手に入るわけもなく。
カミューの申し出を断る事は出来なかった。
カミューと俺は動きやすく軽い服を選んでもらった。
クラウディアは、少々時間がかかったものの一着を選んだようだった。
しばらく歩き、適当な店を見て回り枯れない花の情報を集める。
「お嬢さん綺麗だね。串焼きを一本どうだい?おいしいよ」
その言葉に、クラウディアは目を輝かせる。
普段屋台の食べ物を食べることが出来ないクラウディアにとって、新鮮な経験だったらしい。
俺は、カミューを見て肩をすくめる。
苦笑しながら屋台の店主に、串焼きを3本注文するその姿はとても王族には見えない。
「親父さん、ここら辺で枯れない花の噂とかって聞いたことある?例えば、誰かが実際に見たとか」
串が焼き終わるまでに時間があるため、本来の目的を聞いてみる。
店主は考え込みながら、特にそういった話を聞いたことがないという。
3件目が空振りに終わり、買った串もあったので座れるところを探す。
丁度良い木陰があったので、そこで食べ始める。
最初はうまく食べれず苦戦していたクラウディアも最後まで食べてご満悦のようだった。
カミューが軽い飲み物を渡すのを見ながら、
「街には、あまり噂が流れていないのかもしれないな」
そういう俺に、飲み物を飲み終えたクラウディアが言う。
「結論を出すには、早いわ。この街はまだまだ広い。他の地区なら違う話が聞けるかもしれないじゃない」
「なら、また日を改める必要があるね」
濃く、そして長くなった影を見つめ、二人に頷き街を後にした。
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