ストーリー•序章
あれから数日、花の噂も収まってきた頃。
いつもの中庭にいると、クラウディアが焼き菓子をもってやってきた。
「体調大丈夫?」
心配そうに、こちらを見るクラウディアに、
「あぁ、もう大丈夫だ。心配かけたな」
そう言って頭をなでる。子供ではないと抗議の視線をよこすクラウディアに自然と笑みがこぼれる。
二人で焼き菓子を食べていると、ぽつりぽつりとクラウディアが話し始める。
「数日前にノルンが倒れてる時、お城の人が話してたの。魔障がまた酷くなってきたって。もし、ノルンが魔障に掛ってしまったらって思ったらすごく怖かった」
遠くを見るその目は、とても不安そうに揺れていた。
「この国には、きっと私みたいに大切な人が魔障に掛ったらって怯えている人が沢山いる。もしも、枯れない花が本当にあるならきっとみんな幸せになれるんだろうな」
膝を抱え、顔を埋めるクラウディアの背中をさする。
「魔障を相殺できる光魔法も研究が進んでる。今は焦るときじゃないさ」
クラウディアを安心させようと話していると、親友が歩いてくる。
「枯れない花は、本当に実在するかもしれない」
ふわりといつもの笑顔をしながら言うカミューの言葉を聞き、顔を勢いよく上げるクラウディア。
「本当に?」
「あぁ、詳しく話せないがとある報告が上がってきていてね。実在する可能性が高いと判断された」
クラウディアの顔は、さっきと違って生き生きしている。
「どこにあるの?」
待ちきれないといわんばかりに、カミューに近づく。
落ち着いてと言いながら話を続ける。
「まだ場所までは特定できていない。けれど、ジラーヴ隊と一部ロア隊が動いている。いい報告が聞けるかもしれない」
「私たちも行きましょう!伝承の花探し!」
今すぐにでも走りだそうとするクラウディアに腕をつかまれ、引きずられる。
王族がこうも強引でいいのかと思うが、そこは言ってはいけない気がした。
「王国の騎士に任せるべきだ」
慌てて言う、カミューの声を無視して歩くと、ため息が一つ。
「君たちだけだと何するか分からないからね。最初からついていくよ」
あきらめ混じりに言う親友に、クラウディアと一緒に笑う。
そう来なくては、と3人で今後の計画を考える。
まずは、城の中の情報集め。使用人や厨房の人、仲のいい騎士。
それぞれに話を聞いてみたが有力な情報は無し。
「なかなかこれといった情報出てこないわね」
眉をひそめクラウディアは言う。
「大体は報告を受けたけど、見逃してるのものもあると思ったんだけど特には無かったね」
「この際街に出てみるのはどうかしら?城より沢山の情報があるかもしれないわ」
名案という顔でクラウディアは言う。
「なら俺は、城で情報集めだな」
「なぜ?一緒に行きましょう?」
俺のその言葉に不思議な顔をするクラウディア。
「印を持つものは、城から出ることを禁じられている」
俺の言葉にはっとして目線が泳ぐ。俺は気にしてないが、気まずそうだ。
「なら、こっそり城を出ましょう」
なぜそういう考えに至るのか。しかし、その目は真剣で有無を言わせない力強さがある。
「僕は反対だ。と言っても2人は無理にでも決行するか」
半ばあきらめた声がカミューから聞こえる。
決行は明後日、それぞれの日程が合う日になった。
庭の草花を揺らしていた風が、背中を押すかのように吹いていた。
いつもの中庭にいると、クラウディアが焼き菓子をもってやってきた。
「体調大丈夫?」
心配そうに、こちらを見るクラウディアに、
「あぁ、もう大丈夫だ。心配かけたな」
そう言って頭をなでる。子供ではないと抗議の視線をよこすクラウディアに自然と笑みがこぼれる。
二人で焼き菓子を食べていると、ぽつりぽつりとクラウディアが話し始める。
「数日前にノルンが倒れてる時、お城の人が話してたの。魔障がまた酷くなってきたって。もし、ノルンが魔障に掛ってしまったらって思ったらすごく怖かった」
遠くを見るその目は、とても不安そうに揺れていた。
「この国には、きっと私みたいに大切な人が魔障に掛ったらって怯えている人が沢山いる。もしも、枯れない花が本当にあるならきっとみんな幸せになれるんだろうな」
膝を抱え、顔を埋めるクラウディアの背中をさする。
「魔障を相殺できる光魔法も研究が進んでる。今は焦るときじゃないさ」
クラウディアを安心させようと話していると、親友が歩いてくる。
「枯れない花は、本当に実在するかもしれない」
ふわりといつもの笑顔をしながら言うカミューの言葉を聞き、顔を勢いよく上げるクラウディア。
「本当に?」
「あぁ、詳しく話せないがとある報告が上がってきていてね。実在する可能性が高いと判断された」
クラウディアの顔は、さっきと違って生き生きしている。
「どこにあるの?」
待ちきれないといわんばかりに、カミューに近づく。
落ち着いてと言いながら話を続ける。
「まだ場所までは特定できていない。けれど、ジラーヴ隊と一部ロア隊が動いている。いい報告が聞けるかもしれない」
「私たちも行きましょう!伝承の花探し!」
今すぐにでも走りだそうとするクラウディアに腕をつかまれ、引きずられる。
王族がこうも強引でいいのかと思うが、そこは言ってはいけない気がした。
「王国の騎士に任せるべきだ」
慌てて言う、カミューの声を無視して歩くと、ため息が一つ。
「君たちだけだと何するか分からないからね。最初からついていくよ」
あきらめ混じりに言う親友に、クラウディアと一緒に笑う。
そう来なくては、と3人で今後の計画を考える。
まずは、城の中の情報集め。使用人や厨房の人、仲のいい騎士。
それぞれに話を聞いてみたが有力な情報は無し。
「なかなかこれといった情報出てこないわね」
眉をひそめクラウディアは言う。
「大体は報告を受けたけど、見逃してるのものもあると思ったんだけど特には無かったね」
「この際街に出てみるのはどうかしら?城より沢山の情報があるかもしれないわ」
名案という顔でクラウディアは言う。
「なら俺は、城で情報集めだな」
「なぜ?一緒に行きましょう?」
俺のその言葉に不思議な顔をするクラウディア。
「印を持つものは、城から出ることを禁じられている」
俺の言葉にはっとして目線が泳ぐ。俺は気にしてないが、気まずそうだ。
「なら、こっそり城を出ましょう」
なぜそういう考えに至るのか。しかし、その目は真剣で有無を言わせない力強さがある。
「僕は反対だ。と言っても2人は無理にでも決行するか」
半ばあきらめた声がカミューから聞こえる。
決行は明後日、それぞれの日程が合う日になった。
庭の草花を揺らしていた風が、背中を押すかのように吹いていた。
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