ストーリー•序章
しばらく歩くと見慣れた廊下に入っていた。小さい頃よく歩いた廊下。
窓が少なく、暗めな廊下は外からの干渉を拒むかのよう。
重厚な扉の前、頭の隅で警鐘が鳴る。
駄目だとわかっていてもいうことを聞かない体は、ゆっくりと目の前の扉を開ける。
ランプに照らされた室内は廊下同様薄暗く、古い書物とインクの臭いが鼻を突く。
その暗い部屋にいくつかの白い笑いを称えた口とギラギラとした目が浮かびこちらを捕らえる。
「これはこれは、印持ちのノルン様」
「来ていただけるとは光栄」
「また、私共の研究に是非お手伝いをお願いしたい」
にやにやしながら近づいてくる魔術師たちに、はっとした俺は、その場の空気に飲まれないように言い放った。
「お前らの手伝いをする気はない。枯れない花の話お前らが流したのか?」
睨むように言う俺に、にやにやとした顔をはりつけたまま、
「えぇ、魔物は結界で防げますが魔障はあの結界では退けられない。私どもはこの国を救いたいのです」
わざとらしく手を広げながら言う。
「そこで、古くから伝わる伝承に目を付けたのです!”火のないところに煙は立たない”というでしょう?私共はそこに目を付けたのです」
「あなたの力をお借りできれば、きっと早く魔障を取り払うことができるでしょう。多くの人が助かるのです」
余裕を浮かべる魔術師たちに、
「何度も言うが、お前らを手伝う気はない」
イライラしながら答えていると、後ろから大きな声が聞こえた。
「ノルン何をしているんだ。午後は、公務の補佐があるといっただろう。すぐに来い」
怒気を含んだ、カミューの声。理解する前に腕をつかまれ、引きずられる。
「カミュー?」
返答はない、部屋をもう少しで出るというところで耳元で声がした。
「我々からは逃れられない、必ずまたここへ来る。お前の意思に関係なく・・・」
ぞっとした。それと同時に背中に何かが触れたと思った瞬間、意識は歪み目の前が暗くなっていく。
遠くで、カミューが俺の名前を叫んでいるのが聞こえた。
目が覚めると、見慣れた俺の部屋の天井。
ボーっとする頭を振りながら体を起こすと金髪が視界の端に映る。
「あれ?お前公務じゃないのか?さぼるなよ」
俺が、思ったことを言うとカミューの顔が怒りに染まる。
「公務はもう終わった。というかあれから3日たってる」
は?と俺は間の抜けた声を出していた。
「あれほど、近づくなといっただろう。ノルン、君は絶対にあそこに近づいてはいけない。昔みたいに戻りたいのか?」
言葉に詰まる。戻りたいわけがない。
「クラウディアには、風邪だと伝えている。この部屋に近づかないように、とも」
「心配かけさせないでくれ。印持ちがどんな扱いを受けてきたか。僕は知っているんだから」
何も言えずにうつむく。そんな俺に、
「それで?魔術師たちは、ノルンが自分から来たって言ってたが実際どうだったんだ?」
状況整理をしたいのだろう。不機嫌な顔そのままに質問してくる。
「食堂に向かおうと思って歩いてたんだが、いつの間にかあの部屋に向かってた・・・」
部屋を出る時に聞こえた声について、言うか悩んでいると控えめなノックがあった。
カミューが出ると公務の続きをということだったらしく、一言いって部屋を出て行った。
見舞いにと置いていったフルーツを食べながら、心が沈んでいくのが分かった。
窓が少なく、暗めな廊下は外からの干渉を拒むかのよう。
重厚な扉の前、頭の隅で警鐘が鳴る。
駄目だとわかっていてもいうことを聞かない体は、ゆっくりと目の前の扉を開ける。
ランプに照らされた室内は廊下同様薄暗く、古い書物とインクの臭いが鼻を突く。
その暗い部屋にいくつかの白い笑いを称えた口とギラギラとした目が浮かびこちらを捕らえる。
「これはこれは、印持ちのノルン様」
「来ていただけるとは光栄」
「また、私共の研究に是非お手伝いをお願いしたい」
にやにやしながら近づいてくる魔術師たちに、はっとした俺は、その場の空気に飲まれないように言い放った。
「お前らの手伝いをする気はない。枯れない花の話お前らが流したのか?」
睨むように言う俺に、にやにやとした顔をはりつけたまま、
「えぇ、魔物は結界で防げますが魔障はあの結界では退けられない。私どもはこの国を救いたいのです」
わざとらしく手を広げながら言う。
「そこで、古くから伝わる伝承に目を付けたのです!”火のないところに煙は立たない”というでしょう?私共はそこに目を付けたのです」
「あなたの力をお借りできれば、きっと早く魔障を取り払うことができるでしょう。多くの人が助かるのです」
余裕を浮かべる魔術師たちに、
「何度も言うが、お前らを手伝う気はない」
イライラしながら答えていると、後ろから大きな声が聞こえた。
「ノルン何をしているんだ。午後は、公務の補佐があるといっただろう。すぐに来い」
怒気を含んだ、カミューの声。理解する前に腕をつかまれ、引きずられる。
「カミュー?」
返答はない、部屋をもう少しで出るというところで耳元で声がした。
「我々からは逃れられない、必ずまたここへ来る。お前の意思に関係なく・・・」
ぞっとした。それと同時に背中に何かが触れたと思った瞬間、意識は歪み目の前が暗くなっていく。
遠くで、カミューが俺の名前を叫んでいるのが聞こえた。
目が覚めると、見慣れた俺の部屋の天井。
ボーっとする頭を振りながら体を起こすと金髪が視界の端に映る。
「あれ?お前公務じゃないのか?さぼるなよ」
俺が、思ったことを言うとカミューの顔が怒りに染まる。
「公務はもう終わった。というかあれから3日たってる」
は?と俺は間の抜けた声を出していた。
「あれほど、近づくなといっただろう。ノルン、君は絶対にあそこに近づいてはいけない。昔みたいに戻りたいのか?」
言葉に詰まる。戻りたいわけがない。
「クラウディアには、風邪だと伝えている。この部屋に近づかないように、とも」
「心配かけさせないでくれ。印持ちがどんな扱いを受けてきたか。僕は知っているんだから」
何も言えずにうつむく。そんな俺に、
「それで?魔術師たちは、ノルンが自分から来たって言ってたが実際どうだったんだ?」
状況整理をしたいのだろう。不機嫌な顔そのままに質問してくる。
「食堂に向かおうと思って歩いてたんだが、いつの間にかあの部屋に向かってた・・・」
部屋を出る時に聞こえた声について、言うか悩んでいると控えめなノックがあった。
カミューが出ると公務の続きをということだったらしく、一言いって部屋を出て行った。
見舞いにと置いていったフルーツを食べながら、心が沈んでいくのが分かった。